抄録
【目的】本研究は膝関節の持続牽引に伴う関節裂隙の距離変化(離開距離)を解析し,関節牽引を効果的に行うための示唆を得ることを目的とした。【方法】健常成人42名を牽引強度が異なる3群(100・150・200 N群)に割りつけた後,50°屈曲位に設定した膝関節を牽引し,牽引前と牽引中(5・10・30・60・120・180秒)の関節裂隙の超音波画像から離開距離を解析した。【結果】3群ともに牽引開始直後に有意な離開が生じていたが,100 N群では離開距離の経時的変化を認めず,150・200 N群では,牽引開始から10秒後以降に離開距離の有意な経時的増大を認めた。5・10秒では3群の離開距離に有意差を認めなかったが,30秒以降では,150・200 N群の離開距離は100 N群より有意に大きかった。【結論】関節牽引を用いて膝関節の結合組織の伸長を得るためには,100 Nより大きな牽引強度と10 秒より長い牽引時間が必要なことが示唆された。