論文ID: 11240
【目的】多発性単神経炎とステロイドミオパチー(以下,SM)を呈した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下,EGPA)患者への理学療法(以下,PT)について報告することである。【方法】症例はEGPA を発症した40 歳代男性で多発性単神経炎により感覚障害を伴う右下垂足と左握力低下に加え,SM が疑われる近位筋力低下を呈していた。入院13 日目より開始したPT ではステロイド量および好酸球数を指標として病勢に応じて低強度の運動からはじめ,下垂足には早期から短下肢装具を使用した。SM に対する筋力強化の是非には議論があるためADL 維持程度に留めた。【結果】右下垂足と左握力低下は残存したが,近位筋力は改善し,装具装着下での歩行が可能となり,入院50 日目に退院した。【結論】EGPA に対し,1)病勢に応じた運動負荷の調節,2)多発性単神経炎による局所症状への対応,3)SM の可能性に留意すること,以上を考慮してPT を実施した。