理学療法学
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段階的な目標設定の共有が視床出血後の依存的行動を変容させた一症例
大谷 武史木村 大輔平松 佑一海部 祐史
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論文ID: 11871

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抄録

【目的】脳出血後に希に生じる人格変化と依存的行動を呈した症例に対し,目標設定ツールを用いた理学療法を実施し良好な結果が得られたので報告する。【症例】症例は背内側核を中心とした右視床出血を呈した60 歳台の女性である。ADL 自立の阻害因子であった依存的行動の背景には人格変化と高次脳機能障害の影響が考えられ,加えて不安と自己効力感の低下を認めた。【方法】行動変容を促すためGoal Attainment Scale を用いて段階的に目標設定し,結果を2 週間毎に共有した。行動変容の背景要因を明確にするために目標達成度,自己効力感,神経心理学的検査,運動機能を評価した。【結果】自己効力感,神経心理学的検査,運動機能が改善し退院時目標を達成した。一方で,一部の改善を認めたものの人格変化は残存した。【結論】行動の計画や実行に目標設定ツールを用いて達成経験を共有したことが自己効力感を高め依存的行動の変容につながったと考えられた。

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