論文ID: 12003
【目的】福山型先天性筋ジストロフィー(以下,FCMD)における運動能力の経時的変化を検討する。【方法】対象はFCMD 患者57 名。運動能力は粗大運動能力尺度(以下,GMFM)で評価した。対象を遺伝子型で分け,各個人別にGMFM スコアの推移をみた。全症例を臨床的重症度別に,月齢とGMFM スコアの回帰分析を行い,GMFM スコアのピーク年齢を検討した。【結果】経時的変化は上昇相と下降相とに分かれ,遺伝子型では,複合ヘテロ接合型は,得点されたGMFM スコアの幅がホモ接合型より大きかった。ピーク年齢は,重症例で20 ヵ月,典型例で48 ヵ月,軽症例で68 ヵ月だった。典型例でのピーク時のGMFM スコアはホモ接合型で28,複合ヘテロ接合型は18 だった。【結論】FCMD の運動能力の経時的変化は二相性であった。臨床的重症度別ではピーク年齢に違いがみられ,典型例では複合ヘテロ接合型の方がホモ接合型より運動能力が低い傾向だった。