理学療法学
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視空間認知障害と病態失認を呈した症例に対する包括的リハビリテーション介入
—Anton症候群とBalint症候群への対応—
笠井 翔吾 井口 悠也堀 太貴影治 照喜丸笹 卓也
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 12527

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抄録

【目的】可逆性脳血管攣縮症候群による両側頭頂後頭葉梗塞でAnton症候群とBalint症候群を呈し,特徴的な症状により日常生活動作(Activities of Daily Living:以下,ADL)が高度に低下した極めて稀な症例を経験したため考察を踏まえて報告する。【症例紹介】70歳代,女性,入院前ADLは自立していた。可逆性脳血管攣縮症候群による両側頭頂後頭葉梗塞の発症後から病態失認と視空間認知障害に伴う障害物への衝突によりADLに介助を要していた。【経過】脳梗塞発症11日目に当院へ転院し,翌日よりリハビリテーションを開始した。退院後生活への順応を目的とし,病態の理解を促しつつ,残存した機能を用いた代償戦略の獲得や家屋訪問による環境設定を行ったことで発症69日目に自宅退院に至った。実際の生活状況に応じた多職種による支援を今後も継続する必要がある。【結論】これらの症候群についての知見を広げ,周知していくことで,体系的な介入への一助となる可能性がある。

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