2015 年 12 巻 p. 1-16
現在、上場企業において上級管理職についている女性は全体の1.2%と(内閣府男女共同参画局編,2011)非常に少ないながらも存在する。彼女達はどのようにして昇進の道を歩んできたのだろうか。Granovetter(1973)が指摘したように、昇進において人的ネットワークの存在は非常に大きな影響力を持つ。本論では女性がどのような人的ネットワークを構築すれば、企業において昇進を可能にするのかについて内部昇進をした女性上級管理職へのインタビュー調査をもとに考察した。その結果、女性自身が地位を目標としてではなく、業績を上げる能力を持っていること。少数派(トークン)としての優位さを誠実な仕事と人との対応で活かしながら、社内外で仕事を通じたネットワークを形成し、それが仕事に役立っていたこと、そして男女差無く業績を評価する男性上司の存在があった。