2016 年 13 巻 p. 69-87
本研究は、グローバルニッチトップ企業を生むメカニズムを解明することを目的に、高知県の紙産業における代表的なグローバルニッチトップ企業(以下、GNT企業)2社を対象に、合意法を用いた比較事例研究を行った。
その結果、①非コスト競争市場への参入、②既存技術の改良、③ユーザーニーズへのきめ細やかな対応、④技術・製品開発と連動した積極的な設備投資、⑤技術・製品開発と設備投資を牽引する経営者の強力なリーダーシップ、の5つが、GNT企業へと成長するために必要な戦略であることが分かった。
また、これらの戦略の多くは、産業集積やクラスターの特徴である「地域内ネットワーク」ではなく、「地域外ネットワーク」により実現されていることから、GNT企業の成長メカニズムが、産業集積やクラスターに大きく依存していないことを解明した。さらに、GNT企業の育成には、「地域内ネットワーク」を強化するクラスター政策よりも、むしろ、地域外の要素や資源とのマッチングを支援する方が効果的である可能性があるとの示唆を得た。