イノベーション・マネジメント
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研究ノート
組織哲学研究序説
―イノベーション創出の基礎理論―
洞口 治夫
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2022 年 19 巻 p. 113-126

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要旨

組織は哲学の主体となりうる。伝統的な意味での哲学が、個人による知的な問いかけを行うのに対し、本稿では、組織が哲学を構築し、その内容を言語化しうることを主張する。組織は知識を創造し、組織学習、組織文化、組織行動に影響を与える。組織の規模、組織規範を再構築するうえでも、組織哲学が必要となる。組織を重要な分析単位とする学問領域には、政治学、経営学、法学、心理学、経済学、社会学があり、組織哲学の考察を通じて学際的な研究が構築されうる。組織の構成要員としてAI(人工知能)が加わる時代を迎え、人間を個人として捉えた哲学だけではなく、組織を主体とする哲学が新たに構築されるべきである。

Abstract

An organization can be the subject of philosophy. Philosophy in the traditional sense is about individuals asking intellectual questions but, in this paper, we construct an organization-based philosophy and argue that its content can be expressed verbally. Organizations create knowledge and influence organizational learning, organizational culture, and organizational behavior. Organization-based philosophy is also necessary in rebuilding the scale and norms of an organization. Political science, business administration, law, psychology, economics, and sociology are disciplines that see organizations as important units of analysis, and interdisciplinary research can be constructed from these disciplines through the organizational philosophy lens. We are entering an era in which AI (artificial intelligence) is becoming a constituent of organizations. This calls for a new organization-based philosophy to be added to the philosophy that sees human beings as individuals alone.

1.  はじめに

哲学は、個人による世界観の探究という性格を持つ。デカルト(1637)が、「私は考える、それ故に私は有る」(訳書、p.45)という命題を述べたとき、その主体である「私」は個人であった1。対話によって記述された哲学2においてすら、その思弁の中心となるのは個人への問いかけである。哲学は、個としての人間がいかに生きるべきか、人間が何に貢献するべきか、を問う3。その問いかけの流儀には唯物論と唯心論4とがあり、人間を取り囲む物質的な制約を重視する考え方と、個人の心のあり方を中心に行動を構想する思考方法とが対立してきた。そのいずれの場合も、中心を占めるのは個人である。

本稿では、哲学と組織との関係を考察する。すなわち、伝統的な意味での哲学が、個人による知的な問いかけを行う、という学問的常識を離れて、組織による哲学の問題領域を探る。組織が、哲学の主体となりうること、また、その場合に組織が哲学を言語化しうることを主張する。その時、組織が主体となる哲学が、人間の構成する組織に対してどのような問いかけを成しうるのかを考察する。思考しうる組織が、独自の哲学を持ちうることを論証するのが、本稿の目的である5

組織の定義を行った初期の著作としては、バーナード(Barnard, 1938)がある。組織論の源流とも呼ばれる、その著作では「意識的に調整された個人的な活動ないし影響力のシステム」6を、組織の定義としている。「意識的に調整された」(consciously coördinated)という表現の背後には、複数の人間が存在している。公式組織の定義では、相互のコミュニケーション、行動で貢献する意志、共通した目標を達成すること(Barnard, 1938, p.82)を挙げている。どのような意識を持って、何を、どう調整するのか、という問題について、バーナード(Barnard, 1938)は、その著作の各章を通して議論を積み上げている。本稿では、さらに組織を主体とした哲学のあり方について議論する。その論点の摘出が必要なのは、21世紀の社会科学に必要な学際的要件は何なのかを問い、組織哲学を中心とした新たな分析視角を打ち立てようとする試みが必要であると考えるからである7

科学の各領域は、専門的な研究テーマを細かく包摂した学術雑誌を持ち、従来の研究領域における分析水準に精通した査読者が論文掲載の可否を決める。社会科学を含め、そのような制度のもとにおいては複数の学問分野を架橋した問題提起をすることは極めて難しい。すでにバーナード(Barnard, 1938)が示唆しているとおり、国家のもとの国民は組織のメンバーである(p.71)。すなわち、国家は組織に他ならないが、国家がどのような組織哲学を形成するかという側面において、国家の体制が異なることになる。

以下、第1節では、組織哲学という問題領域を打ち立てるために、「組織は思考する」、という見解を支持する従来の諸学説をまとめる。具体的には、集合知、組織学習、組織文化、組織行動に関する議論である。次に、経営哲学と呼ばれる学問分野と組織哲学との問題領域の違いを説明する。第2節では、組織哲学が応用されうる問題領域を三点説明する。すなわち、組織原理の比較分析、組織規模の方針決定、組織規範の開発である。より具体的には、政治組織における人間の平等と企業組織における意思決定権の不平等、組織規模拡大の誘因と昇進基準設定との関係、都市文明における倫理規範の変容である。第3節では、組織哲学が重要な意味を持つと考えられる複数の学問分野を指摘する。日本においては経営学、アメリカの学会ではマネジメントと呼ばれる学問領域において、組織が定義され、その機能と構造とが研究されてきた。経営学以外には、政治学、経営学、法学、心理学、経済学、社会学がある。これらの研究領域の一部を紹介することによって、社会科学における組織哲学の必要性を示す。むすびとして、知識階級の出現をみたネット社会における組織哲学の意義についてまとめる。その際、宗教と組織哲学との関係について若干の考察を加え、AI(人工知能)組織論へのアプローチを示唆する。

2.  思考する組織の存在

2.1  集合知と組織学習

組織は知識を創造する。ポランニー(Polanyi, 1966)による暗黙知の概念をもとに、暗黙知から形式知への転換によって知識創造を定義したのは、野中(Nonaka, 1991)および野中・竹内(Nonaka and Takeuchi, 1995)である。彼らの理論では、個人が持つ暗黙知が製品開発の出発点であるが、それが製品開発チームのなかで連結される、という。個人の持つ言葉にできない知識として定義される暗黙知が、言語化されて形式知になることで連結可能な知識となる。

洞口(2009Horaguchi, 2014)では、より直接に、組織間関係集団による知識の創造を議論した。スロウィッキー(Surowiecki, 2005)の議論に依拠しつつ、異なる組織間の協業による知識の創造を集合知と呼び、組織間の協業タイプを議論したが、そこでは双利共生(協力)と競合(競争)だけでなく、片利共生、偏害、寄生という五つの協業関係ないし組織間関係がありうることを示した。組織の思考は、組織に属する個人が交代しても継続する可能性がある。

組織学習も、また、ひとつの研究分野として成立している。個人ではなく、組織が歴史的な経路のなかで学習することは、個人による学習とは異なった成果が生まれる可能性がある。組織学習という概念が成立するためには、組織が学習しうる、という大前提がある。フィオル=ライルズ(Fiol and Lyles, 1985)は、高次元の組織学習は戦略と類似してくる、と述べている(p.811)。

組織哲学とは、組織文化を変化させる意図をもった組織構成員が、その変化の方向を指し示すための基盤とする考え方である。マーチ=オルセン(March and Olsen, 1975)は、組織学習を牽引する信念と選好の階層性(hierarchy of beliefs and preferences, p.151)があり、組織学習のサイクルが完璧に終わらない可能性(the learning cycle is not complete, p.158)を示唆している。さらに、「曖昧な状況下で信念を発展させていくことは、おそらく、それに関連する価値観と認識について、事前に存在する構造の重要性を強調することになる」(p.161)8としている。筆者が組織哲学というとき、その内容は、この引用文に対応している。すなわち、組織哲学とは、組織学習の方向性を定める意志の言語化である。経営戦略は、企業が何を行うべきかを規定する考え方であるが、組織哲学はその基盤にあって大きな図式を描く思考である。往々にして組織哲学は暗黙知として語られることがないまま組織内に存在する。

2.2  組織文化と組織行動

組織哲学は新規な単語に聞こえる。しかし、組織を冠した研究領域はあり、その研究領域で利用される独自の概念もある。そうした用語法に共通するのは、組織がたんなる個人の集合体としてだけではなく、組織としての独自性を持つという主張である。組織哲学が問題領域として成立するためには、まず、組織が思考しうることが論証されねばならない。

組織文化(organizational culture)も研究領域として成立している。文化を人々の間に定着した一定の情報処理方法、共通した認識の方法であると定義した場合9には、組織文化とは、組織の参加者に共通した情報処理方法、共通した認識の方法が存在していることを意味している。組織文化の例としては、ある組織に所属して働いた場合、その組織特有の用語や単語があり、独特な意思決定方法や意思決定手続きが採用されていることなどがある。組織学習が、組織構成員による明示的な学習過程を前提としているのに対して、組織文化は、組織構成員にとって無意識のうちに構成されている状況を指す場合がある。

組織行動(organizational behavior)は、分析対象としての概念であるとともに、学問分野としても成立しており、心理学との近接性を特徴としている。組織行動の場合、「組織」の「行動」だけでなく、「組織内」の組織参加メンバーの「思考」にもとづいた「行動」という意味を持っている。

組織は、学習し、文化を持ち、知識を創造しうる。そのような機能があることを認めるならば、その機能の外側に存在して機能の方向性を定める思考プロセスが必要であることになる。そのような外在的で、アドホックな要請があるために、組織哲学が必要となる。野中・竹内(Nonaka and Takeuchi, 1995)の思考モデルにおいて、どのような暗黙知を獲得しようとするか、洞口(2009)の組織間行動モデルにおいて、どのような協業の目的を設定するか、などは、組織哲学による問いかけと回答によって設定される。こうした問いかけと回答は、洞口(2009)が「暗黙の戦略」(p.135)と呼んだように、多くの場合、言語によって表現されることがない10。以下に、それが部分的にではあれ、言語によって表現されうる場合を示したい。

3.  組織哲学の顕示

3.1  組織原理の比較分析―国家と企業―

組織哲学にとっての第一の課題は、組織原理の比較である。以下では、国家と企業との例示的比較を試みる。バーナード(Barnard, 1938)は、アメリカという国家の市民であることは、組織とのつながり(organization connection)を持つことである、と例示している(p.71)。国家がどのような意味で組織なのかについて、バーナードは説明をしていないが、バーナード(Barnard, 1938)が、「行動で貢献する意志」と「共通した目標を達成すること」(Barnard, 1938, p.82)を挙げていることから、次のような解釈が可能である。すなわち、国家は領土を確定し、その領土内に居住する意志を持つ人々と共通した言語を用いてコミュニケーションを行う。国民には納税という行為が義務化され、国庫収入への貢献が求められる。安全な生活を行うという共通目標のために、国民が利用する公共財支出とその支出のための制度が整えられる。制度には、行政、教育、警察、病院などが含まれる。

国家と企業は、双方ともに組織の一形態であるが、それらの組織原理を比較すると大きな違いがあることがわかる。政治システムにおいて民主主義的な投票が行われる場合には、一人に対して一票が与えられる。他方で、企業のガバナンス・システムにおける株式会社形態の場合には、その株主総会で与えられるのは株主の保有する株式数に応じた投票権である。一人一票という政治システムに比較して、保有株式総数に応じた個人ないし法人の意思決定権が認められている、という意味で、企業システムでは意思決定権が偏在していることになる。この偏在の理由は、保有株式総数が、企業倒産という潜在的リスクの代理変数となっていることに求めることができる。高い倒産リスクを抱える株主ほど、当該企業に対する利害関心を高め、発言権を有するのである11。組織哲学という超巨視的組織論(meta-organizational perspective)的な方法論がこれらの比較を可能にする。

経済活動における平等を重視する立場は、セン(1999)にみることができるが、彼は平等が複数の選択機会集合から計測される、という前提に立って機会の平等を目指すべきである、とした。企業経営における平等の不存在は、スミス(Smith, 1776)の分業論にも見出すことができる。この点は、ロビンソン(Robinson, 1962、第2章)の指摘によるが、分業によって「専業化」(specialization, p.30)が登場し、価値の比較が難しくなったことを指摘している。企業という組織においては、人々は不平等に賦与された能力に応じて働き、その作業を評価するうえでの平等が求められることになる。これは、オリンピックのようなスポーツの領域において1位、2位、3位という順位に入賞したときに、それを不平等であると論難しないことに似ている。

国際比較を行えば、国家の組織運営に大きな違いがあることを認めることができる12。企業経営やそれを取り巻く法制度にも、国際的な違いがある。組織哲学の探究をすることは、それらを類型化し、概念化することで、相対比較を行う視点を与えることに等しい。

3.2  組織規模の方針決定

組織哲学が必要となる第二の課題がある。すなわち、自らの属する組織の規模を拡大するべきか、あるいは、組織構成員のメンバー数を一定に保つべきか、という判断の根拠を求めることである。この課題については、組織の構成メンバーから問いかけられることなく、当然のこととして受け止められている場合が多い。サイモン(Simon, 1945)が提起したように、我々の認知能力に限界があるために、限定された合理性の範囲内でしか意思決定できないことが、その背後にある13

政治学の対象である政党や経営学・経済学の研究対象である企業は、その構成メンバーの数を増やすという志向性が強い。一般的な傾向とすれば、議会で多数派を占める政党となることや、企業が成功した事業分野を持てば、その結果として従業員数を増やして企業成長が観察される場合が多い。しかしながら、党員資格の取得に厳しいハードルを設けて少数の党員しか抱えない政党もあれば、従業員数を増やすことのない企業も存在しうる。統制の範囲(span of control)があることによって、組織は階層構造を形成しやすいのだが、その論理からは、構成メンバー全員が平等に議論し、意思決定することが容易な作業ではないことになる。組織を拡張させながら、その上位の構成メンバーの数を限定するとき、すなわち、組織構成メンバーが階層構造を形成するとき、その上位に立つメンバーには、なんらかのパワーが付与されることになる。政治学ではそれを権力と呼び、経営学ではそれを人事権と呼ぶ。心理学的には統率力ないしリーダーシップと呼ぶかもしれない。民主主義政治や労働組合における投票や株主総会での信認などはパワーの配分を「見える化」する例である。

政党や企業の場合であっても、政党の幹部会メンバー数や、企業の取締役会メンバー数を何名にするべきか、という課題となれば、幹部会や取締役会の規模拡大が目的となることはない。意思決定におけるコミュニケーション、少数による意思決定スピードといった点が重視されて、幹部会や取締役会の組織規模を拡大させるという命題は存在しない。政党や企業という組織の場合には、組織規模の拡張を目指す志向性と組織内の上部階層における意思決定機構の構成メンバー数を一定数にとどめておこうとする力が併存することになる。組織の拡張願望は、組織に与えられたミッションによって支えられるが、その上位の構成メンバーがいかなる地位を持つかにも関わっている。これは、組織哲学が必要とされる領域の一例である。

3.3  組織規範の開発

代表者選択の問題は、ボトムアップによる組織哲学の発露である。たとえば、政党においてその代表者を選ぶプロセスにおいて、その政党に属するメンバーは、どのような基準にもとづいて選択のための一票を投ずるのだろうか。あるいは、企業において昇進する者を選択するとき、経営者は、どのような基準で昇進者を選択しているのだろうか。文字によって示された基準がある場合もあり、暗黙のうちに「自分に利益をもたらす人」を選択している場合もあるかもしれない。組織哲学が問うべきは、そうした選択のための基準が妥当なのか、その基準を修正し変更していく必要はないのか、という問題である。

昇進基準を示した表を作成して点数化すること、面接によって該当者の意図を知ること、などは、外形的な評価基準にすぎない。組織運営を行う者が、どのような内的基準を設定しているかによって、基準表や面接の評価は大きく異なることになる。政党運営でも、企業組織でも、組織を統括するための考え方を議論する場は少ない。稀に、功成り名を遂げた著名経営者や有名政治家による出版物が、経営哲学や組織運営の考え方を文字にすることがあるが、その時代背景やその組織が置かれた状況が異なると、その意味は茫漠としたものにならざるを得ない。

組織哲学は、対話によって更新されるべきである。組織運営の課題、たとえば、昇進の基準について議論する場を持つか否かは重要な課題の一つである。

4.  社会科学における重要性

4.1  組織論の結集

管見の限りでは、組織哲学の重要性について示唆に富む研究が積み重ねられてきた領域は、少なくとも6つの学問領域に渡る。

第1は政治学である。国家と政党政治、政党のなかの派閥や「細胞」、圧力団体やその権力構造、国際政治における国家間連携14など、政治的な組織のあり方と組織化は重要な研究テーマである。コヘイン(1984)はレジームという概念によって国家間連携を分析しているが、広い意味での政治学の分野には、戸部他(1991)のように、軍事組織のあり方とその失敗に関する研究も存在する。

第2は経営学であり、バーナード(Barnard, 1938)、サイモン(Simon, 1945)以来の近代組織論が組織研究を担ってきたと言える。近代組織論の応用領域は、第一に株式会社である。経営学の問題領域としては、コーポレート・ガバナンスが主要なテーマであり、より具体的には、取締役会、監査役会、株主総会など、会社法で定められた機関のあり方が研究テーマとなっている。経営学の分野には、非営利法人もその射程に入る。サイモン(Simon, 1945)の著作は『経営行動』と訳されているが、そのタイトルであるAdministrative Behaviorは「管理行動」の意味を持つ。すなわち、サイモン(Simon, 1945)による初期の研究が、公的機関を対象とした組織論であったことは、政治学と経営学の近接性を示唆している。職場組織の人事労務管理も経営学の研究分野となるが、これは後述する心理学との学際領域として位置づけられるようになってきた。

第3に、法学における会社法15は取締役会をはじめとする企業内組織の行動規制を扱い、独占禁止法は企業間の行動規制を定める。また、業法と呼ばれる各業界ごとの企業行動を規制する法律も、組織に関する研究の一角を占める。規制を前提とした企業行動の分析は、いわゆる規制の経済学16とも近接しており、ひるがえって、いかなる法的規制が適切であるのか、という立法趣旨の問題を議論する土壌ともなっている。

第4は心理学である17。組織心理学ないし社会心理学と呼ばれる領域において、会社の職場組織を対象としたデータが集められ、国際的に比較され、経営学との境界領域として組織行動論という学問分野を創出している。中心的なテーマは、モチベーションとリーダーシップであり、組織の構成要員が心のなかに持つ思いが解析される。

第5は経済学である18。経済学は、その歴史的な背景から経営学の母体となった部分があるが、逆に経営学における組織の特徴を数学的に記述し、ゲーム理論などの分析装置と結び付けて公理的な命題を導く組織の経済学を築いてきた。組織心理学と重なり合う部分としては、インセンティブ・システムの設計がある。

第6は社会学である。社会学は、その他の5分野における伝統的な研究からこぼれ落ちた組織に関する重要なテーマを巧みに拾い上げてきた、とも言える。企業経営との文脈では、会社内で組織される労働組合についての研究があり、産業社会学と呼ばれる研究分野の伝統を創りあげてきた。政党に至ることのない非政府機関(NGO)の運営、株式会社の形態をとらない非営利機関(NPO)の活動報告、労働者の基本的権利やハラスメントに対する法的保護、心理に先行する社会制度としての人種やエスニック・マイノリティ、LGBTの抱える課題、社会保障の対象範囲などの問題、経済活動とは異なった価格指標を持たない交換関係として、結婚と離婚、教育といじめ、など、広範な問題を取り上げてきた。

社会学の古典のなかにも組織への言及はある。たとえば、デュルケーム(1897)は『自殺論』のなかで自殺という病弊を取り除く方法として「同業組合」(邦訳657ページ)を挙げているものの、「必要とされる職業組織は詳細な点でどうでなければならないか、をさらに正確に規定することは本書の試みをこえている」(邦訳678ページ)と述べている。本稿で組織哲学と呼ぶのは、こうした「組織」のあり方についての指針であり、そうした指針のなかには社会的病弊の結果としての自殺者を減らすという目的を持つことも可能であろう。

組織哲学を改めて考えることの重要性は、上記に代表される「社会科学」の学際的な再構築を目指すものである。したがって、組織哲学は「組織の行う哲学」であり、また、「あるべき組織とは何かを問う哲学」でもある。「組織の行う哲学」である場合には、その構成メンバーがそれぞれの価値観を持ち寄ることになる。いずれにしても「組織哲学」をある狭い意味に限定すべきものではない。政治学、経営学、法学、心理学、経済学、社会学のそれぞれの例にみられるように、20世紀において、専門化を進め、分節化した学問領域の相互関係を探究することは重要な研究課題として存在する。

4.2  経営哲学とルーティン

経営哲学と組織哲学とは、その対象領域において重なる点もあるが、根本的には異なっている。経営哲学の場合には、企業経営という目標が設定されており、その対象となる企業には行うべき本業がある。その本業はルーティン化された作業工程を持つ19。製造業であれば「ものづくり」の過程があり、サービス業であれば対人接客のプロセスがある。そうしたルーティンをいかに上質なものにするか、という問いは経営哲学の領域である。日常的に、経営哲学と言う用語が用いられるときには、このルーティン業務にかかわる精度を問題にしていることが多い。欠陥ゼロ、不良品ゼロといった品質の向上、ルーティンを進めるための時間管理と日程の管理、週・月・四半期・半期・年を単位とする業務と業績管理、ルーティンが成功裏に進んだときの利益配分などを執行するときに、経営者の有する経営哲学が表れるとされる。経営哲学は、すでに存在するルーティンの質を高める意志20となりうるが、いまだ姿の見えない新たな仕事を無償で構想する論理は生まれない。

あるルーティンが行き詰るときがある。それは産業構造の変化や技術革新によって引き起こされたり、経済政策によって引き起こされたりもする。地震やパンデミックといった外生的な要因もある。自社の成長が鈍化したときに、何を新たな事業分野にするか。この点を決めるのは偶然ではない。経営者の心のなかの志向性と、その企業が持つ資源によって制約条件が決まる。単純化して言えば、経営哲学からはいかにして継続的に利益を生み出すか、という論理に制約されている。

経営哲学とは別個に組織哲学が必要な理由は、組織の存続のためのルーティンが時間とともに変容を迫られ、それが組織の生命を定めているからである。自動車製造業企業であれば、原材料・部品の購入と、その加工・組み立て、そして販売というルーティンがあるが、CO2の排出規制と電気自動車の台頭、自動運転システムの導入など、製造プロセスのルーティンに変化をもたらすような技術革新が継起的に生まれることによって、新たな組織の原理を決定する必要性が強まる。組織哲学は、経営哲学の上位に位置して、イノベーションのあり方に影響を与えるのである。

5.  おわりに

5.1  宗教と組織哲学

宗教が組織のあり方に与える影響がある。企業経営の場合にもクリード(credo, creed)と呼ばれる信条の文章化が行われるが、これはキリスト教のカソリックにおいて用いられてきた用語である。企業の行うべき活動を文章化したミッション・ステートメント(mission statement)も、神が人間に与えた使命(mission)の比喩的な用語法である。宗教組織での経験がある企業経営者たちが、その経験を善なるものとして受け入れ、企業経営において応用したとみることもできる。クリードやミッション・ステートメントは、マーケティングや経営学の教科書に転載され、その普遍的な位置づけを強めている。

ウェーバー(1919)が、『プロテスタンティズムと資本主義の精神』で議論した「資本主義の精神」は、宗教的な禁欲の効果を指摘するものであったが、そのうえで、宗教を「組織的」(邦訳下巻、79ページ)なものと捉え、さらに「職業労働はすぐれた意味での禁欲的手段であった」(邦訳下巻、111ページ)と捉える点に独自性があった。ただし、デュルケーム(1897)によれば、「宗教制度は集合的組織の存在するところだけにみられる」(邦訳524ページ)と述べており、ウェーバーに20年以上先んじて、宗教の社会性と「集合的組織」の役割を指摘していたことになる21

日系多国籍企業の在外子会社を訪問すれば、イスラム教の信者である従業員のために社内に礼拝の場が設けられていることを確認することができる22。利子をとることを禁じたイスラム教の教えに従ったイスラミック・バンキングに関する研究は多く、宗教を背景としたファイナンスのあり方を確認することができる。

こうした事実の確認は、戦略論に先立つ企業経営者の価値観と、その価値観をいかに醸成するか、という方法論への希求をもたらす。個別の企業経営をいかに行うべきか、という経営哲学だけでなく、されに高次元の組織運営の在り方、その国際比較と客観的な自己認識を求める組織のための哲学が必要とされている。

5.2  AI組織論の可能性

大量生産方式の成立は、工場と呼ばれる場の形成をもたらした。ある大きさの建屋のなかに、機械と作業者と原材料・部品とがあり、製品が製造される。原材料と部品の数だけ、注文伝票があり、簿記への記載の必要があり、納期遅れの原材料・部品についてはその製造元に督促する必要もある。工場労働のもとで、ホワイトカラー・ワーカーと呼ばれる人々が必要となり、その比率は産業が成長するとともに高まった。工場は都市に集積することで、物流にかかる時間と距離を節約することができた。そこに都市化という現象が生まれた。人々は、集合住宅に住み、満員の電車で職場に通い、工場のなかの狭い空間で事務作業を行った。

2019年末に始まり、2020年に世界に蔓延した新型コロナウィルス(COVID-19)によるパンデミックは、こうした産業化と都市化の流れに限界があることを、多くの失われた人命によって示した。2020年には、インターネットを接続して作業を行うリモートワークがはじまった。対面のコミュニケーションは、インターネットによってつながれたパソコンと携帯電話によって代替された。リモートワークによる組織運営の方法は、対面でのそれと比較して重大な変化をもたらす可能性がある。誰が、週に何日間、リモートワークをし、誰が、週に何日間、会社のデスクで仕事をするのか。その判断を、ルーティン・ワークの性質に求めることも可能だが、リモート組織をいかに運営するか、という課題について、根本的な考え方から再構築すること、つまりは、組織哲学を問い直す必要もある。

組織哲学を言語化する必要性は、人工知能(artificial intelligence, AI)の登場によっても高まっている。囲碁をはじめとしたゲームの分野では、すでに人間の世界チャンピオンが人工知能によって負かされる事態が起きている。チェスに類似した日本のボードゲームである将棋でも、2017年には人間の日本チャンピオンが人工知能に敗北した。その後は、人工知能との対戦によって将棋の訓練をするプロ棋士が高い勝率を示している23。つまり、人工知能は人間の学習プロセスのなかに取り込まれ、人間の創意工夫を凌駕する領域で進化して、人間の行動に示唆を与えている。

バーナード(Barnard, 1938)は、「意識的に調整された個人的な活動ないし影響力のシステム」を、組織の定義としているが、その本文にある“a system of consciously coördinated personal activities or forces”(p.72)という表現のなかの「影響力(forces)」が意味する内容について、「個人の影響力」にとどまらずに「人工知能の影響力」を含む時代になったと考えることもできる。人工知能を企業経営に組み込んで組織の一構成要素として取り扱うときに、その組織の目的と活動対象、組織の進化方向とリスク・マネジメントなどについて言語化し、人工知能を含むシステムとして組織に組み込む必要が生まれている。そうした場合、組織哲学を検討し、議論することによってAI組織を言語化するための語彙を増やすことが可能になるであろう。すなわち、現代においては、人間がAIを受け入れた組織を構築し、そのAI組織において働く暗黙知の次元を迎えており、さらに、自然言語とコンピューター言語での創発が行われる時代に直面していることになる。

謝辞

本研究はJSPS科研費JP20H01541、JP18K01808の助成を受けたものです。

1  デカルト(1637)には、彼の控え目な性格が表れており「私は考える、それ故に私は有る」(訳書、p.45)という命題とは異なる印象を抱かせる。「私以外の人が私の思想を伝えられて受ける利益についていえば、これまたさほどたいしたものではありえまい。なぜなら私はまだ私の思想をそれほど遠くまで展開してはいないのであって、これを実用に供しようとすれば、その前になお多くの事をつけ加える必要もあるし、そうしてこの仕事を為しうる者がいるとするならば、それはほかならぬこの私でなければなるまいと、おこがましく誇るわけではなく、私は言えそうに思うからである。それは、この世間に私の精神と比べようもなく立ちまさった精神が多くはあるまいという意味ではなく、だれしも他人から学ぶ場合には、自分みずから発明するほどに、何事にせよそれほど十分によく考えることも、それを自分のものにすることもできないのである。」(訳書、pp.83–84)このように、自ら考えることの重要性を述べたのちに、「いよいよますます真理を捉えられなくなる人人があって、かかる人人が私の演繹するところのものを見、しかも誤って私の原理と信じたものの上に無法な哲学を築く機会をつかみ、その罪だけは私に帰せられるのを私はおそれたからである。」(訳書、p.91)と述べている。ここでは、「人人」が「無法な哲学」を築く可能性が述べられている。

2  プラトン(起源前402)『メノン』の重要性については、ポランニー(Polanyi, 1966)、洞口(2009、19ページおよび201ページ)を参照されたい。

3  カント(1790)などはその典型例であろう。

4  フォイエルバッハ(1866)ヘーゲル(1830)などをその典型として認めることは可能であるが、近代科学が成立する以前の哲学は、用語の定義を曖昧にしたまま、重複し、錯綜した叙述が延々と行われている場合があり、分析的な批判の対象とはしがたい場合がある。ヘーゲル(1830)において言及されている「組織」は、人体の生理的組織(organ)ないし生物学的組織であって(訳本、p.147)、人間による協力のメカニズムを指した組織(organizations)ではない。

5  個人主義的哲学の系譜と組織論との関連に関する概説としては野中・竹内(Nonaka and Takeuchi, 2019、第2章)がある。個人主義的哲学において用いられてきた諸概念を組織論に応用した著作としてはツォウカス(Tsoukas, 2019)がある。ヴィトゲンシュタインを含めた哲学的著作を引用しつつ経営戦略を論じた著作としたスペンダー(Spender, 2014)があり、上掲、野中・竹内(Nonaka and Takeuchi, 2019、第2章)に言及がある。

6  バーナード(Barnard, 1938)の本文では“a system of consciously coördinated personal activities or forces”(p.72)とされている。

7  科学哲学と経営学については、パース(1868)クーン(1962)洞口(2009)を参照されたい。

8  マーチ=オルセン(March and Olsen, 1975)の原文は、The development of beliefs under conditions of ambiguity probably accentuates the significance of a pre-existing structure of related values and cognitions.(p.161)である。

9  ホフステッド(Hofstede, 1980, 2001)、ホフステッド=ボンド(Hofstede and Bond, 1988)を参照されたい。コンピューターにハードウェアとソフトウェアがあるように、人間が育った環境によって文化と呼ばれるソフトウェアが人間の頭脳というハードウェアにダウンロードされる、という考え方が採用されている。

10  洞口(Horaguchi, 2008)では、ネットワークによって連結された企業間の推測的変動(conjectural variation)が、巨大な生産数量を生み出す反応関数となるケースと、反応関数の逆行列が存在しなくなるケースを検討している。寡占企業間における反応関数もまた、「暗黙の戦略」の一例であり、企業行動によって戦略の帰結を知ることになる例である。

11  原田・洞口(2019)、118ページ参照。

12  経済理論から社会・国家の制度を論じた例としては、コース(Coase, 1937)、ハイエク(1944, 1986)、ウィリアムソン(Williamson, 1975, 1985)がある。

13  限定された合理性の数理的な分析の例としては、洞口(Horaguchi, 1996)がある。情報処理コストが高い場合に、ペイオフの大小比較が困難となり、戦略選択が不可能になる状態をモデル化している。

14  国際政治と国際経営との関連性については、ベイリス他(Baylis et al., 2020)、洞口(2021)を参照されたい。

15  たとえば、田中(2016)を参照されたい。

16  カーン(Kahn, 1988)、植草(1991)を参照されたい。

17  ヘーゲル(1830、訳本275ページ)に登場する「自己意識」「意識」「直接的な自我」「個別的な自我」「自我の具体的な独立存在」「理念」「理性」といった用語法は、フロイト(1933)第三十一講における「自我」「超自我」「エス」「意識」「無意識」「前意識的体系」「無意識的体系」「抑圧されたもの」といった用語法に近似している。フロイト(1933)の用語法は、国際経営における組織文化論としてホフステッド(Hofstede, 1980, 2001)に引き継がれている。

18  ロビンソン(Robinson, 1962)は、経済哲学における形而上学の役割を議論している。

19  ルーティンについては、ネルソン=ウィンター(Nelson and Winter, 1985)を参照されたい。

20  西田(1911)は、次のように述べている。「自然現象の中にて従来神秘的と思われていたものも、一々その原因結果が明瞭となって、数学的に計算できるようにまで進んできた。今日の所でなお原因がないなどと思われているのは我々の意志ぐらいである。しかし意志といってもこの動かすべからざる自然の大法則の外に脱することはできまい。今日意志が自由であると思うているのは、畢竟未だ科学の発達が幼稚であって、一々この原因を説明することができぬ故である」(140ページ)。

21  ヴェブレン(1899)はアメリカにおける資本主義の発展を描写し、顕示的消費を観察しており、やはりウェーバー(1919)に20年先行していた。

22  筆者のフィールドワークにもとづく。

23  松原(2021)を参照されたい。

参考文献
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