イノベーション・マネジメント
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構想力とオープンイノベーションによる市場創造
―経営資源劣位企業における新製品開発の事例研究―
廣澤 祐
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2026 年 23 巻 p. 85-102

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抄録

本論文は、経営資源が相対的に乏しい中小企業やベンチャー企業でも、独自の構想力を発揮し、優れた製品コンセプトに基づいた製品開発を実現することで、新たな市場カテゴリを生み出し得ることを明らかにすることを目的としている。具体的には、資源制約下にあるベンチャー企業が、外部のODM(Original Design Manufacturing)メーカーとの協働を通じて新たな製品コンセプトを創出し、市場カテゴリを変革したプロセスを検証した。本研究では、そのプロセスを可視化するために、ヘアケア市場において「ボタニカルシャンプー」という新たな製品カテゴリを確立し、短期間でシェアを急拡大させた株式会社I-neのヘアケアブランド「ボタニスト」の事例を分析する。本研究では、I-neがボタニストを上市するまでに実現した、(1)革新的な製品コンセプトの創出と柔軟な再構築、(2)技術的に有力なODMパートナーを含む外部連携による資源の動員、(3)製品コンセプトに基づいた製品設計と意思決定の三つの行為とそのメカニズムに焦点を当てる。これについて、構想ドリブン・モデルや社会的形成・構成、オープンイノベーションなどの理論に基づいた製品開発アプローチなどの先行研究との関連を検討した。結果として、経営資源の乏しさが、むしろ柔軟な発想と迅速な対応を促し、創造的な製品コンセプトの創出や自社の能力の再解釈による新たな手段の構築など、大手企業にはない革新的アプローチを実現できる可能性が示唆される。

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