2003 年 18 巻 3 号 p. 123-129
本稿の目的は,義足歩行に生体力学的解釈を導入することであり,大腿義足歩行における膝関節周りのモーメントを中心として説明する。大腿義足の制御方式は,立脚相と遊脚相に大別できる。立脚相では股関節筋力と義足構造により,膝の安定性を保ちながらスムーズに重心を移動させ,遊脚相では主に膝継手により,歩行速度にあわせた下腿の振りの調節が行われる。さらに,近年さまざまな機構の膝継手が実用化されているので,それらの膝継手と義足歩行の特徴についても説明する。