理学療法科学
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18 巻, 3 号
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特集
  • 山本 澄子
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    バイオメカニクスの観点から身体運動の理解に必要な重心,床反力,関節モーメント,パワーについて解説する。重心の動きは外力である床反力の結果であり,床反力を決めるのは筋活動である。関節モーメントは動作中の筋活動を表す指標であり,関節モーメントと関節角速度より求められるパワーによって筋の活動様式を知ることができる。ここでは平地歩行のデータを示して,歩行中の各関節まわりの筋の働きについて述べる。
  • 山本 澄子
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    歩行用短下肢装具(AFO)の機能は,歩行中のどの時期にどの程度の大きさの制動モーメントを発生するかによって決まる。片麻痺者の装具歩行の分析により,片麻痺者のためにAFOに必要な機能について検討した。その結果,足関節底屈時には大きな制動モーメントを発生し背屈時には足関節が自由に動くAFOが必要なことがわかった。これらの機能を満たすことを目的として,油圧ダンパーを利用したAFOの開発を行った。油圧AFOの制動モーメントによって麻痺側接地時の衝撃吸収とともに立脚期における膝関節の動きをコントロールすることができる。油圧AFOでは制動モーメントの大きさを各片麻痺者に合わせて調節することができるため,特に身体状況の変化の大きい回復期片麻痺者の歩行訓練に適していると考えられる。ここでは,片麻痺者のためのAFOに必要な機能とAFOの機能が歩行に及ぼす影響について述べる。
  • 早川 康之
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 123-129
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,義足歩行に生体力学的解釈を導入することであり,大腿義足歩行における膝関節周りのモーメントを中心として説明する。大腿義足の制御方式は,立脚相と遊脚相に大別できる。立脚相では股関節筋力と義足構造により,膝の安定性を保ちながらスムーズに重心を移動させ,遊脚相では主に膝継手により,歩行速度にあわせた下腿の振りの調節が行われる。さらに,近年さまざまな機構の膝継手が実用化されているので,それらの膝継手と義足歩行の特徴についても説明する。
  • 山本 摂, 柴田 典子
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 131-134
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    ここでは脳卒中片麻痺患者の歩行時の関節モーメントに着目し,片麻痺歩行の力学的特長,関節モーメント低下の原因,臨床応用などについて検討した。
  • 福井 勉
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 135-139
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    膝関節は身体を床に近づけたりあるいは床から遠ざけたりする能力を持ち,大腿部と下腿部の動きを調整する役割も有する。膝関節可動性が損なわれると移動を主体とした日常生活に不利益を被り,重心上下移動に関しては他の下肢関節以上に大きい影響がある。疾患を有する人の全身の動きには特徴があり,スポーツ障害などのように分析している「動きそのもの」が疾患の原因と考えられる場合も多い。したがって,各疾患の成因に踏み込む必要があり,原因療法あるいは予防へと展開する必要性がある。理学療法の観点からは,成因に近づくために,関節角度だけではなく,関節モーメントなどの視覚的分析の必要性があると考えている。
  • 月城 慶一
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 141-145
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    近年,義足と義手に用いられるパーツは目覚ましい進歩を遂げてきた。義足においては,センサーとマイクロプロセッサーと油圧機構による制御装置を備えた膝継手C-Legが,切断者のQOLを高めるために役立ちつつある。筋電義手は,もうすでに古くから存在するが,日本においては今後,臨床現場においてどのように活用されるかで,それが公的支給の対象として市民権を得ていくかどうか大きく分かれていくだろう。C-Legと筋電義手について『開発の経緯』『しくみ』『QOL』等について報告する。
  • 長崎 浩
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 147-151
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    日常生活における基本動作は,可能な関節運動の組み合わせから,特定のパターンを選んで行われている。運動制御研究で運動自由度問題,あるいは運動協調性と呼ばれる巧緻動作の特徴である。運動障害では運動協調性が解体する。リーチ動作と痙性片麻痺におけるその障害を例題として解説した。リハビリテーションにおける今後の動作分析も,動作の運動協調性に注目することが有益であろう。
研究論文
  • 村田 伸, 宮副 孝茂
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 153-157
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    従来の角度計を用いた関節可動域測定は,骨指標の触診や基本軸・移動軸の設定など,検者の手間と熟練した測定技術が必要である。本研究は,傾斜角度計を用いて,簡便に関節可動域を測定し,その測定値の妥当性と再現性について検証した。健常男性17名(平均年齢22.3歳),34肢の肘及び膝関節の屈曲角度を従来の角度計と傾斜角度計で測定し,比較検討した。その結果,傾斜角度計の測定値は,角度計で測定したものと高い相関性(r=0.77~0.89)を示し,測定誤差が10度を超えたのは肘関節の2肢のみであった。また,測定値の再現性を示す級内相関係数は,同一検者内及び検者間共に従来の角度計で測定したものより高い値を示した。これらのことから,傾斜角度計を用いた関節可動域測定値の妥当性と再現性が確認され,簡便に行えるこの方法は,患者の自己管理能力の向上や理学及び作業療法学科学生の測定技術の修得過程に応用できる可能性が示唆された。
  • ―効果的理学療法教育の実現に向けた基礎研究―
    杉原 敏道, 有馬 慶美, 郷 貴大, 三島 誠一, 武田 貴好
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 159-162
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    適切なメタ認知能力を兼ね備えた学生は問題を適切に感知することが可能となるため学力は高いと予想される。本研究では,理学療法における学生教育の一助とすべく,メタ認知能力と学力の関係について検討を行った。その結果,両項の間に有意な相関関係が認められた(r=0.95,p<0.01)。このことは,学力へのメタ認知の関与を明らかにするとともに,教授方略としてのメタ認知能力獲得の重要性を示唆するものと考えられた。したがって,学内教育においては,単に知識を伝授するような教授方略を用いるのではなく,メタ認知能力を促すような教授方略を用いることが重要であると考察された。
  • 成田 若奈, 吉原 真紀, 古山 智子, 佐々木 誠
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 163-165
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    片肘立ち位において安定性やより広い重心移動の安定域を有することが,片麻痺患者における片肘立ち位を経由した起き上がり動作能力を規定する一因であるとの仮説を立てた。この仮説を証明することを目的に,片麻痺患者17名を対象に片肘立ち位の圧中心軌跡と起き上がり動作時間を測定し,測定値間の関係について検討した。圧中心軌跡の測定は,片肘立ち位で静止した場合(静的条件)と前後方向に上半身を移動した場合(動的条件)とで行い,起き上がり時間は,背臥位から片肘立ち位を経由した動作で測定した。その結果,静的条件と動的条件との間には有意な相関が認められなかった。また,動的条件での重心移動距離と起き上がり動作時間との間に有意な相関が認められた。これにより,起き上がり動作をスムーズに行うためには片肘立ち位でのより広い重心移動の安定域を得ることも重要であり,理学療法介入に加味すべき要素であることが示唆された。
  • 対馬 栄輝, 石田 水里, NENCHEV DRAGOMIR N
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2003 年 18 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/08/13
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,デジタルビデオカメラで写した角度計の角度測定を行うときの検者間・検者内信頼性を検討することである。デジタルビデオカメラで様々に位置や角度を変えた角度計を撮影し,パソコンに取り込んだ。検者6名がパソコン用グラフィックスソフトを用いて角度計の角度を測る。得られたデータの検者内・検者間信頼性を検討した。一般化可能性理論に基づいて一般化可能性係数(Generalizability coefficient;G)を求め,高い信頼性を保証できる検者数または繰り返し測定数の条件を探索した。信頼性係数の結果は,検者間信頼性が小さい値を示し,検者内信頼性は経験者が比較的高い信頼性となった。また95%信頼区間の下限は,十分な信頼性を満たしているとはいい難かった。一般化可能性係数G≧0.9を満たす最低の条件は,1人の検者で1回測定したときであった。また,G≧0.95を満たす最低条件は1名の検者で3回以上測定したとき,または2名以上の検者で1回測定したときであった。この条件に従えば,デジタルビデオカメラの画像から関節角度を測定するときの検者内・検者間信頼性は問題とならないことがわかった。
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