抄録
toe clearance(床-足尖間距離)の定量的な解析方法によって,異なる段差での歩行の制御を明らかにすることを目的とした。対象は若年女性22名,段差は平地・0 cm・1.5 cm・18.3 cmの4条件で,toe clearance,足関節角度,歩幅,歩行速度を測定した。ビデオカメラを用いた簡便な方法で,計測精度の高い解析が可能であり,十分な再現性が得られた。toe clearanceは平地(34.5 mm)と0 cm(43.5 mm)では有意な差がみられ,変動係数においても平地(6.1%),0 cm(9.6%)と有意な差がみられた。0 cmでもまたぐことを意識することによって,随意性の高い制御が行われていた。toe clearanceは段差の高さに応じた変化を示し,足関節角度,歩幅,歩行速度に変化がみられた。また,足関節角度に左右差がみられ,軸足・利き足という下肢機能の差の影響が示唆された。以上のことから,異なる段差においてtoe clearanceは複雑な制御が行われていることが明らかとなった。