2005 年 20 巻 1 号 p. 17-23
本研究は立位で一側下肢を挙上する動作において,合図から挙上側下肢が運動を開始するまでの時間(運動開始時間),合図から運動を終了するまでの時間(運動終了時間),足底圧中心軌跡(center of pressure: COP)における最大振幅,COP最大振幅時の潜時および支持側の下肢筋筋活動の立ち上がり潜時について,テーピングによる支持側の横足根関節可動域制限の有無による違いを検討した。本研究の結果,横足根関節可動域を制限した場合に,挙上側と挙上側前方へのCOP最大振幅は,制限無しに比べて有意に減少した。そして,中殿筋筋活動の立ち上がり潜時は,横足根関節制限無しに比べて制限有りにおいて有意に減少した。本研究における横足根関節制限有りの状態では,下肢を挙上する前のCOP振幅が減少したことから,身体を支持側方向へ加速する力が減少することが考えられる。そして,前額面の身体運動を制御する役割である支持側中殿筋において,立ち上がり潜時が延長したのではないかと考えられた。