理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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20 巻 , 1 号
February
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研究論文
  • 来間 弘展, 渡邉 修, 池田 由美, 山内 寿恵, 妹尾 淳史, 菊池 吉晃, 安保 雅博, 米本 恭三
    2005 年 20 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    健常人での手指の連続的対立運動における小脳の活動を,機能的MRIにて測定し,聴覚誘導を伴う随意運動時の脳内システムについて検討した。対象は健常成人9名で,課題は1秒間に1回の速度で連続的にタップする運動で,これを自発的に行う課題(自己ペース運動)とメトロノーム音を聞き,タップする課題(聴覚誘導運動)を行った。右手では自己ペース運動において,全例において右小脳の賦活を認め,聴覚誘導運動では9例中7例において賦活が減少し,1例で消失,1例は不変であった。左手では自己ペース運動においては9例中8例に小脳での賦活を認め,聴覚誘導運動において8例中6例において賦活が減少し,1例で消失,1例は増大した。以上の結果は,聴覚誘導により小脳の賦活が減少したことから,小脳のフィードフォワード制御としての機能を支持している。
  • 三川 浩太郎, 北川 知佳, 田中 貴子, 中ノ瀬 八重, 田所 杏平, 石野 友子, 田中 健一朗, 住本 恭子, 千住 秀明
    2005 年 20 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    15 m Shuttle Walk & Run Test(以下15 mSWRT)が,全身持久性を評価する新しい運動負荷試験として利用できるかを20歳代の健常成人を対象として検討した。15 mSWRTにおける各レベルと平均酸素摂取量との間の相関係数はr=0.948で,15 mSWRTのレベル12の平均酸素摂取量は51.18±8.28 ml/kg/minであった。15 mSWRTは,平均酸素摂取量と歩行距離との間に強い相関関係があり,10 m Shuttle Walking Test(以下10 mSWT)より運動負荷量も大きかった。15 mSWRTは,利用応用範囲として,対象を健康な中高年者層に適用しても十分な運動負荷量を与えられる運動負荷試験である可能性が示唆された。
  • 杉原 敏道, 郷 貴大, 三島 誠一, 田中 基隆, 柴田 悦子, 高木 麻里子, 菊地 栄里, 対馬 栄輝
    2005 年 20 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    精度の高い転倒予測ツールの探求を目的にFunctional Reach Test(以下,FRT)を用いて高齢者の身体能力認識の転倒への関与を検討した。対象は日常生活に支障のない健常高齢者88名とした。各被験者にFRTの予測値を申告させた後,実際の計測を行い,予測値と実測値の差から個々の身体能力認識誤差を求めた。その後3ヶ月にわたり転倒の有無に関する聞き取り調査を実施し,身体能力認識の転倒への関与について検討した。多重ロジスティック分析の結果,3ヶ月以内の転倒に影響を及ぼす因子として,従来のFRT(p<0.05)と身体能力認識誤差(p<0.01)が選択され,2項目投入時の回帰の適合が最良であった。判別特性分析では6.5 cmの身体能力認識誤差を境として良好に転倒の有無を判別可能であった(判別的中率91.7%・感度80.9%)。このことから,身体能力認識は転倒を予測する有益な情報になると考えられた。
  • 西守 隆, 大工谷 新一, 谷埜 予士次, 高崎 恭輔, 鈴木 俊明
    2005 年 20 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究は立位で一側下肢を挙上する動作において,合図から挙上側下肢が運動を開始するまでの時間(運動開始時間),合図から運動を終了するまでの時間(運動終了時間),足底圧中心軌跡(center of pressure: COP)における最大振幅,COP最大振幅時の潜時および支持側の下肢筋筋活動の立ち上がり潜時について,テーピングによる支持側の横足根関節可動域制限の有無による違いを検討した。本研究の結果,横足根関節可動域を制限した場合に,挙上側と挙上側前方へのCOP最大振幅は,制限無しに比べて有意に減少した。そして,中殿筋筋活動の立ち上がり潜時は,横足根関節制限無しに比べて制限有りにおいて有意に減少した。本研究における横足根関節制限有りの状態では,下肢を挙上する前のCOP振幅が減少したことから,身体を支持側方向へ加速する力が減少することが考えられる。そして,前額面の身体運動を制御する役割である支持側中殿筋において,立ち上がり潜時が延長したのではないかと考えられた。
  • 丸田 和夫
    2005 年 20 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,高這位パターンでの床から立ち上がり動作の経過中にみられる高這位姿勢において,体幹前傾角度の違いが脊柱起立筋の筋活動に及ぼす影響を明らかにすることである.対象は,平均年齢20.0±2.1歳の健常若年者30名(男20,女10)であった.先ず,床からの立ち上がり動作中の体幹前傾角度の推移を2次元動画解析システムにて計測した.次に,高這位姿勢(体幹前傾角度が30°,60°,90°となる肢位)での脊柱起立筋の筋電図を膝伸展位と膝屈曲位で測定した.筋電図の積分値データは最大随意収縮を基準に正規化(%MVC)した.その結果,体幹前傾角度は高這位姿勢で最大(109.9±5.9°)となった.脊柱起立筋の%MVCは,体幹前傾角度30°では膝伸展位,膝屈曲位ともに90°より有意に大きかった.60°では膝屈曲位が膝伸展位より有意に大きかった.高這位姿勢での体幹前傾角度による脊柱起立筋の筋活動は,Flexion-Relaxation Phenomenonに一致する特有な変化を示した.
  • 村上 雅仁, 加藤 順一, 高橋 健太郎, 前田 慶明, 細川 晃代, 永田 安雄, 古川 宏
    2005 年 20 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    今回,我々は脳血管障害片麻痺患者において運動負荷試験を施行する際,短下肢装具が運動負荷時酸素摂取応答に与える影響について検討した。対象は,兵庫県立総合リハビリテーションセンターに入院した歩行可能である片麻痺を有する脳血管障害患者25名とした。運動負荷試験はランプ負荷法により自覚的症候限界域まで実施した。駆動時において麻痺側下肢に短下肢装具装着の有無の計2回運動負荷試験を行った。限界性最大負荷試験より最大酸素摂取量(VO2 max),最大負荷量(max WR)を測定し,ΔVO2/ΔWRを算出した。装具装着時と非装着時を比較すると,VO2 maxは有意な差が認められず,max WR,ΔVO2/ΔWRで有意な差が認められた。片麻痺を有する脳血管障害患者は,短下肢装具を装着することにより運動効率の向上がみられた。
  • 小野寺 由佳子, 半澤 宏美, 佐々木 智幸, 佐々木 誠
    2005 年 20 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    片麻痺患者21名を対象に,起き上がり動作時間ならびに片肘立ち位の圧中心軌跡(COP)を測定し,起き上がり動作を阻害する身体機能低下のいずれがこれに影響を及ぼしているのかを検討し,治療ストラテジーを模索する一助とした。起き上がり動作時間,ならびにフォースプレートを用いた片肘立ち位の静的条件と動的条件でのCOPを測定した。身体機能として,体幹回旋可動域,片麻痺運動機能,麻痺側肩甲帯の弛緩性,体幹回旋筋力,頸・体幹・骨盤の運動機能,片肘立ち位支持側上肢の筋力,端坐位における静的条件と動的条件でのCOPを測定した。その結果,起き上がり動作時間と片肘立ち位のCOPのうちの動的条件でのY軸最大移動距離(YD)との間に有意な負の相関関係が認められた。ステップワイズ重回帰分析では,YDの説明要因として体幹回旋可動域,片麻痺運動機能,麻痺側肩甲帯の弛緩性,片肘立ち位支持側上肢の筋力,端坐位における静的ならびに動的条件でのCOPが採択された。以上より,片麻痺患者において,片肘立ち位での動的安定域を得られることが起き上がり動作をスムーズに行う要因であることが示唆された。また,起き上がり動作を円滑に行うのには複合した身体機能を必要とし,症例個々に合わせた多面的なアプローチをする必要があると考えられた。
  • 昇 寛, 丸山 仁司, 高橋 直子
    2005 年 20 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    整形外科領域の代表的疼痛性疾患には変形性膝関節症(以下,OA)や関節リウマチ(以下,RA)が多くみられる。膝関節疾患患者等の一般的リハビリテーションとして下肢筋力強化運動がよく行われるが,ADLを高めるためには関節固有感覚(動きの感知や関節角度の感知)の働きも重要となる。本研究では,膝関節に着目し膝関節固有感覚(膝関節の閾値,及び位置覚)と膝関節周囲筋力(膝伸展トルク・屈曲トルク)との関係を明らかにすることを目的とした。さらに臨床現場での実情を考慮して,筋力低下が関節固有感覚に及ぼす影響について「筋力低下と関節固有感覚低下の関連モデル」を独自に作成して考察に用いた。健常女性10名(平均年齢19.5±0.5歳)20肢を対象として膝関節の閾値と位置覚の測定を行い,また大腿四頭筋と大腿二頭筋の筋力測定を行った。膝関節の閾値と位置覚の測定には,先に筆者らが考案・作成した装置を用いた。膝関節固有感覚の測定において,閾値と位置覚の関連がr=0.89(p<0.01),膝関節トルクにおいて,伸展筋トルクと屈曲筋トルクの関連がr=0.81(p<0.01)で各々強い相関を示した。また,膝関節固有感覚(閾値,及び位置覚)と膝関節筋力(伸展トルク・屈曲トルク)の関係は概ね負の相関を示し,膝関節筋力は膝関節固有感覚に関与する可能性を示した。
  • 杉原 敏道, 郷 貴大, 三島 誠一
    2005 年 20 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    臨床で関節位置覚を評価した際に1回目と2回目の測定値が大きく異なることを経験する。これは関節位置覚の真値以外の誤差が混入していることにより生じていると解釈され,測定値としての信頼性は低いと考える。そこで本稿では,関節位置覚測定で高い信頼性を保証するために必要な測定回数について検討することを目的とした。健常高齢者32名64膝を対象に,角度変位と到達時間からおおよそ10°/secと70°/secを目標とする2つの角速度で角度設定を行い,それぞれ10°,40°,70°の角度でBarrett法を用いた関節位置覚測定を複数回実施した。最初に複数回の測定で得られた測定値から,各条件ごとの信頼性係数を求めた。次に目標とする信頼性係数を0.81と設定して,求められた信頼性係数をSpeaman-Brownの公式に代入した。これで得られた値を信頼性を得るために必要な測定回数とし,その回数をもとに再度測定して確認を行った。その結果,高い信頼性を保証するには3回測定の平均値を用いることが必要であることが分かった。このことから,1回の測定値から関節位置覚の異常の有無を判断するのは危険であると考えられた。今後は,この測定回数が障害を有する者でも適応するか検討する必要があると考えられた。
特集
  • 丸山 仁司
    2005 年 20 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    バイタルサインとは,生命の基本的な徴候のことで,脈拍,呼吸,体温,血圧をいい,それらについて,定義,概要,測定方法,測定結果の解釈について述べる。特に,脈拍は,心拍数との関係,脈の触診と異常,呼吸は,呼吸の異常,呼吸音,体温では発熱,血圧では高血圧などについて述べる。
  • 藤田 博曉
    2005 年 20 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    理学療法のリスク管理を行う上で,心電図は多くの情報を与えてくれる。臨床において不整脈は特に問題となるが,理学療法士が問題として考える要点は,運動療法を中止すべきなのか,継続して様子を見て良いのかについての判断である。本稿では,不整脈の理解を助けるための基本的な知識に加えて,ダイヤグラムを用いて不整脈のメカニズムについて解説を行った。
  • 秋山 純和
    2005 年 20 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    理学療法を行う際に留意すべき臨床検査値と薬物療法の副作用について解説した。細胞成分では,赤血球数,ヘマトクリット値,ヘモグロビン,白血球数,血小板数,血漿成分と血清成分では,尿酸,尿素窒素,クレアチニン,血清蛋白総量,A/G比,総コレステロール,遊離脂肪酸,中性脂肪,血糖値,血清酵素,電解質,抗原,抗体について理学療法時の注意を述べた。各種薬剤における副作用では,抗癌剤,副腎皮質ステロイド剤,糖尿病治療薬,強心薬,β遮断薬,抗不整脈剤,降圧剤,利尿剤,気管支拡張薬,睡眠薬,抗不安剤,麻酔剤,鎮痛剤について理学療法に関係すると考えられる症状を述べた。薬物療法の作用時間では,理学療法評価が不正確になったり,運動療法との相乗効果により重大な副作用につながる可能性があるので注意が必要である。
  • 潮見 泰藏
    2005 年 20 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    理学療法を有効かつ安全に実施するためには,リスクを回避することが重要となる。リスク管理とは,単に運動療法の中止基準を知っておけばよいのではなく,予想されるあらゆるリスクを想定して,これを回避しながら慎重に介入を進めることを意味する。そのためには,日頃から患者の全身状態についてくまなくチェックするよう心がけ,不慮の事故を未然に防ぐよう心がけなければならない。本稿では,種々の神経疾患の急性期において理学療法介入を進める上で,可及的にリスクを軽減するために知っておくべきポイントについて解説した。
  • 久保 晃
    2005 年 20 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    リスク管理能力の到達目標を掲げて,内部障害系リスクを概説した。理学療法による介入では,安静時だけでなく運動時のバイタルサインの変動をとらえることが重要である。正確に収集,分析し,解釈を進めながら患者の日常生活や活動量に結びつけることが大切である。リスクを恐れる余り,廃用症候群の進行を助長するのは,本末転倒である。
  • 齋藤 昭彦
    2005 年 20 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/06/30
    ジャーナル フリー
    老人保健施設や地域で活躍する理学療法士が増えるなかで,理学療法士には直接的に対処できない医学的問題を抱える患者に遭遇する機会が増加している。諸外国ではすでに理学療法士による独立診療が行われている。このような状況の中で,リスクを把握し,回避するために骨関節系疾患と同一症状を呈するほかの医学的疾患とを鑑別する能力が求められている。患者の病歴,主観的訴え,客観的所見が筋骨格系以外の問題の存在を示唆し,医学的フォローアップが必要であることを同定する能力を理学療法鑑別診断という。理学療法士は患者の訴えを包括的にとらえ,理学療法の禁忌となる症状や理学療法士の知識の範囲を超える病態を示唆する症状がみられる場合には医師に報告しなければならない。本稿では整形外科領域でのリスクを回避するための理学療法鑑別診断について記載する。
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