理学療法科学
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研究論文
片麻痺患者における起き上がり動作および片肘立ち位の圧中心軌跡に影響を及ぼす身体機能の検討
小野寺 由佳子半澤 宏美佐々木 智幸佐々木 誠
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2005 年 20 巻 1 号 p. 37-41

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抄録

片麻痺患者21名を対象に,起き上がり動作時間ならびに片肘立ち位の圧中心軌跡(COP)を測定し,起き上がり動作を阻害する身体機能低下のいずれがこれに影響を及ぼしているのかを検討し,治療ストラテジーを模索する一助とした。起き上がり動作時間,ならびにフォースプレートを用いた片肘立ち位の静的条件と動的条件でのCOPを測定した。身体機能として,体幹回旋可動域,片麻痺運動機能,麻痺側肩甲帯の弛緩性,体幹回旋筋力,頸・体幹・骨盤の運動機能,片肘立ち位支持側上肢の筋力,端坐位における静的条件と動的条件でのCOPを測定した。その結果,起き上がり動作時間と片肘立ち位のCOPのうちの動的条件でのY軸最大移動距離(YD)との間に有意な負の相関関係が認められた。ステップワイズ重回帰分析では,YDの説明要因として体幹回旋可動域,片麻痺運動機能,麻痺側肩甲帯の弛緩性,片肘立ち位支持側上肢の筋力,端坐位における静的ならびに動的条件でのCOPが採択された。以上より,片麻痺患者において,片肘立ち位での動的安定域を得られることが起き上がり動作をスムーズに行う要因であることが示唆された。また,起き上がり動作を円滑に行うのには複合した身体機能を必要とし,症例個々に合わせた多面的なアプローチをする必要があると考えられた。

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© 2005 by the Society of Physical Therapy Science
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