2005 年 20 巻 2 号 p. 149-154
妊婦は,腹圧や過度な関節負担の原因となる動作は避けるべきであるといわれている。階段昇降動作はこのような問題となる動作の一つとされ,先行研究では階段昇降動作のうち降段動作の方が,負担が大きいということが示されている。本研究の目的は,階段降段動作時において,妊娠による身体変化が下肢関節負担に与えている影響を明らかにすることである。対象者は6名の健常成人女性とし,二種類の階段での降段動作を,妊婦体験ジャケット装着時と非装着時において実施した。計測は三次元動作分析装置と床反力計を用いて行い,関節角度と下肢関節モーメントに着目し,比較した。結果より,妊婦体験ジャケットを装着した階段降段時には体重の増加と姿勢の変化により,膝関節モーメントが増加することが明らかになった。