2020 年 5 巻 p. 82-85
電気推進機の推進剤として一般的に使用されるキセノンは,地球埋蔵量が少なく価格も高価であるため,低価格推進剤の実用化が望まれる.そこで,物資輸送にかかる全コストを推進機の性能の関数として表すモデルを構築し,キセノンとアルゴンを用いた際の推進性能を計測して,宇宙太陽光発電衛星構築にかかる輸送コストを算出した.この結果,キセノンで86.9兆円,アルゴンを用いると87.4兆円と,価格的にはほぼ同等の価格が実現されると算出された.さらにアルゴン推進剤に対して最適な運転条件を見出すことで,価格を下げることが可能である.また,今後アルゴン用の極低温タンクや,AIによる自律制御等の技術の実現,あるいは打ち上げ機の能力増強などによって,さらに価格を削減できることが予測される.