抄録
本研究の目的は,椅子上安楽座位におけるずれ力発生メカニズムを検証することである。健常成人男性10名を対象に,背もたれの‘有り’・‘無し’の2条件下にて圧力分布測定器を用いて体幹後傾に伴う座圧分布変位幅と背もたれに接してから座圧中心位置が移動するまでの時間差を計測した。その結果,座圧中心位置は,体幹後傾に伴って徐々に後方へ移動し,背もたれ‘有り’ではもたれた直後(0.2±0.1 sec後)に前方へと反転していた。その際の変位幅は,‘有り’では基本座位よりも0.5±1.2 cm前方に移動し,‘無し’では2.0±1.1 cm後方へ移動しており,両者には有意な差が認められた(p<0.01)。これらの結果は,ずれ力発生には背もたれの介在が不可欠であることを示唆するものであった。