抄録
下肢の知覚の延長に着目し,義足症例に知覚課題を行い,内省報告から意識経験を分析することにより,切断肢の知覚状況を検証する。右下腿切断を呈した81歳の男性1名を対象とした。4週間にわたり,被験者の左足底部,右断端部,右義足足底部の条件に対し,知覚課題として,素材,形状,硬度,重量の4項目の違いを識別させ,それぞれの正答率と内省報告を抽出し,分析を行った。その結果,正答率では各条件ともに硬度,素材,形状,重量(重量は左足底部と右義足足底部)の順であった。内省報告では,素材や形状では他の課題との比較や受動的接触から能動的接触への移行など記述内容に経時的変化が見られたが,硬度や重量では大きな変化は得られなかった。