抄録
本研究は,市販体重計を用いた下肢荷重力測定法の有用性とその限界について検討した。対象は片麻痺患者53名で歩行,立位保持,立ち上がり動作能力と,下肢荷重力の最大値を座位で左右別々に測定した。その結果,屋外歩行可能群と屋内歩行可能群,立位保持可能群と条件付き可能群における下肢荷重力には有意差が認められなかったが,その他の各動作では能力が高いほど下肢荷重力が有意に強かった。よって,本方法による下肢荷重力の値は,各動作の可否判定の指標となることが示唆された。ただし,歩行や立位保持動作に関しては,動作の可否判定の指標としては利用できるが,詳細な機能評価には適していない限界が示された。