理学療法科学
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原著
Bland-Altman分析を用いた継ぎ足歩行テストの検者内・検者間信頼性の検討
下井 俊典谷 浩明
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2008 年 23 巻 5 号 p. 625-631

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抄録

〔目的〕本研究は,継ぎ足歩行テストの異なる3種類の測定値について,検者内・検者間信頼性を検討することを目的とした。〔対象と方法〕健常成人(57名,平均66.2歳)に,長さ5 m,幅50 mmのテープ上を継ぎ足歩行させ,臨床経験の異なる2名の検者に,その所用時間(TGT)とミス・ステップ数(TGI-1,-2)を測定させた。信頼性の検討には級内相関係数(ICC)とBland-Altman分析を用いた。〔結果〕いずれのテストにおいても,臨床経験の少ない検者の測定値は,臨床経験を有する検者より低いICC(1,1)を示し,系統誤差を有していた。検者間信頼性に関しては,測定項目が比較的少ないTGT,TGI-1の2回目の測定値で,高いICCが得られた。またBland-Altman分析によっても,TGT,TGI-1の2回目の測定値で系統誤差が消失した。継ぎ足歩行を評価方法として使用する場合,所要時間のみを測定するTGTが最も検者内・間信頼性が高いことが明らかとなった。〔結語〕TGT,TGI-1のいずれについても,高い信頼性を補償するためには,少なくとも2回測定し,2回目の測定値を採用することが望ましいと考える。しかし,いずれのテストに関しても,検者の測定に対する熟練度の影響を考慮する必要性が示唆された。

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© 2008 by the Society of Physical Therapy Science
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