理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
23 巻 , 5 号
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原著
  • 柳瀬 由起子, 村上 忠洋, 小林 麻記子, 宮原 利博
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 557-560
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕深部感覚障害を定量的に測定できるように工夫した「指あわせ試験」の再現性について検討すること。〔対象〕初発脳卒中片麻痺患者30名(脳梗塞20名,脳出血10名)とした。〔方法〕「指あわせ試験」は,対象者を端座位にて閉眼させ,検者が麻痺側上肢を他動的に動かして任意の位置に固定した後,対象者に非麻痺側示指先端を麻痺側示指先端にあわせるよう指示し,この際に両示指間のずれた距離を1 cm単位で測定する方法である。2名の検者(検者A,B)が1名の対象者に対して施行し,検者内および検者間再現性を級内相関係数(intraclass correlation coefficient;ICC)を求めて検討した。〔結果〕検者内再現性を示すICCは0.91,検者間再現性はICCが0.90であった。〔結語〕「指あわせ試験」の再現性は良好なものであった。
  • 村田 伸, 村田 潤, 児玉 隆之, 田中 真一
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 561-565
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Trail making test(TMT)施行中における前頭葉の活動について,近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy;NIRS)による脳内血液酸素動態を測定し検討した。〔対象〕地域在住の高齢者13名(平均年齢:72.2±5.8歳)である。〔方法〕TMT施行中の酸素化ヘモグロビン(HbO2)の変化について,NIRSを用いて測定した。〔結果〕TMT開始直後からHbO2の有意な上昇が認められ,開始7秒後にピークを迎えた後もHbO2の上昇はTMT終了時まで維持された。〔結語〕高齢者がTMTを施行する際には,前頭葉の活動が促進されることが明らかとなり,TMTの注意機能や前頭葉機能評価尺度としての妥当性が客観的データに基づき示唆された。
  • 杉浦 令人, 鈴木 美保, 金田 嘉清, 櫻井 宏明, 村田 元徳, 中島 幸子, 小野 早智子
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 567-572
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中退院時の下肢関節可動域と退院後の大腿骨頚部骨折(以下,骨折)との関連を明らかにすることである。〔対象〕三九朗病院に入院した骨折患者41例(脳卒中既往あり28例,既往なし13例)とした。28例中,7例は脳卒中の訓練も当院で施行した。〔方法〕骨折入院期間,骨折側,入退院時の下肢関節可動域,日常生活動作,骨折状況を調査した。7例には,脳卒中退院時の下肢関節可動域,日常生活動作,脳卒中退院時から骨折に至るまでの期間(以下,在宅生活期間)を追加した。〔結果〕右片麻痺患者が夜間から早朝にかけてのトイレ移動時に骨折したケースが多かった。脳卒中退院時の下肢関節可動域と在宅生活期間の間には有意な相関が認められた。〔結語〕脳卒中退院時の下肢関節可動域から,退院後に骨折しやすい患者を把握できる可能性が示唆された。
  • 武田 要, 勝平 純司, 高野 綾, 江幡 芳枝, 藤沢 しげ子
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 573-577
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕妊娠末期の身体負荷量を含めた歩行特性を非妊婦と比較し,明らかにすることである。〔対象〕20~30代の健常な妊娠末期の妊婦と非妊婦8名を対象とした。〔方法〕3次元動作解析装置と床反力計を用いて,平地歩行での歩行速度,下肢体幹関節角度,下肢体幹関節モーメント,床反力を計測した。〔結果〕妊婦では,歩行速度が減少し,歩隔と体幹後屈角度が増加した。身体負荷量は,床反力の増加とともに股関節屈曲,外転,足関節底屈,体幹前屈モーメントが増加した。〔結語〕妊娠末期の歩行では,母体の質量増加と重心の前下方変位に伴い,歩隔,体幹後屈角度が増加し,股関節外転,足関節底屈筋群,股関節前面軟部組織,腹直筋の負荷量が増大することが示唆された。
  • 山田 実, 上原 稔章
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 579-584
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,メンタルローテーションを用いた運動イメージ想起能力の年代別基準値を作成し,さらに高齢者については転倒との関係を検討することである。〔対象〕対象は20歳から86歳までの333名であった。〔方法〕4方向に回転させた手足の写真を見て,それが右側なのか左側なのかを判断するというメンタルローテーションを行い,その反応時間を記録した。なお,65歳以上高齢者に関しては,測定日より1年間の観察期間を設け,その間の転倒の有無を調査した。〔結果〕手,足の写真ともにメンタルローテーション反応時間は,加齢とともに延長する傾向にあった。また,転倒高齢者の反応時間は,非転倒高齢者よりも有意に延長していた。〔結語〕メンタルローテーションを用いた運動イメージ想起能力では,加齢とともに延長する傾向があり,さらに転倒リスクの高い高齢者の反応時間は,より延長することが示唆された。
  • 中山 恭秀, 安保 雅博, 飯島 節
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 585-588
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕健常成人及び片麻痺患者において,つま先上がりの斜面板上で立位姿勢保持する介入後の平地上における重心動揺への影響を調べることである。〔対象〕若年成人8名,壮年成人8名,片麻痺患者8名である。〔方法〕10°のつま先上がりの斜面板上で1分間立位姿勢保持をとらせる介入前後において足圧中心位置と重心動揺面積を測定し比較した。〔結果〕介入によりその後の平地上において足圧中心位置を前方へ変位させる効果が即時的反応として確認された。〔結語〕15分までの比較から,立ち直り反応による前方への足圧中心位置の変位の残存が観察された。
  • 中山 恭秀, 安保 雅博, 飯島 節
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 589-592
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕斜面板上における立位姿勢保持が足圧中心位置にどのように影響を与えるか研究することである。〔対象〕健常成人10名とした。〔方法〕2種類の傾斜角度(10 °と20°)と4種類の傾斜方向(前後左右)を組み合わせた8種類の傾斜条件において,1分間の立位姿勢保持直後と1分後で足圧中心位置を測定した。〔結果〕斜面板上における立位姿勢保持は,その後の平地上において傾斜面の山側方向に足圧中心位置を変位させ,1分後には谷側方向に変位した。〔結語〕そのCOP位置の変位量は前後,左右の傾斜方向ともに傾斜角度の大きさに直線関係があることが示唆された。
  • 太場岡 英利, 越智 亮, 片岡 保憲, 沖田 学, 森岡  周, 八木 文雄
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 593-596
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    [目的]重量保持動作における課題の難易度が重量知覚に及ぼす効果について検討した。[対象]健常男性7名を対象とした。[方法]各被験者について,手関節裂隙に負荷した体重の5%の重量を2回保持してもらい,一回目と二回目の重量知覚の差異に関する判断を求めた。一回目の重量保持は難易度を設けない重量保持課題(normal task:以下NT),二回目難易度を設けた重量保持課題(precise task:以下PT)とした。[結果]課題遂行中に上腕二頭筋と腕橈骨筋から導出した筋活動には,課題の難易度による有意な差が認められなかった。しかし,両課題における物理的重量は等しいにも拘わらず,7名中5名の被験者がPTの方が重いと判断した。[結語]重量保持動作における難易度により重量知覚が変化する可能性が示唆された。こうした課題の難易度により変化する重量知覚という現象の出現機構を種々の神経生理学的事実にもとづいて論議した。
  • 新谷 和文, 西脇 祐司, 寺垣 康裕, 菊池 有利子, 岡本 ミチ子, 武林 亨
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 597-600
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は立位バランス能力の指標としてFunctional Reach(以下FR)値を測定し,地域在住高齢者におけるFR値の分布を明らかにすること,及び過去1年間の転倒回数・骨折の既往・転倒恐怖感といった転倒関連要因とFR値との関連を明らかにすることである。〔対象〕平成17年度の群馬県K町の基本健康診査時に,文書で同意が得られた65歳以上の住民489名(男226名,女263名)であった。〔方法〕リーチ測定器を用いFR検査を実施し,また,転倒関連要因は質問票により情報を得た。〔結果〕FR値は男女ともに年代の上昇とともに低下し,70歳以上では女性が男性に比べ有意に低下していた。FR値と転倒回数の関係では,女性において過去1年間の転倒回数が3回以上の場合,0回と比較して有意なFR値の低下が見られた。これは,年齢,骨折既往,転倒恐怖感を調整しても同様であった。一方,FR値と骨折既往,転倒恐怖感との間には有意な関連がみられなかった。〔結語〕FR値は過去の多数回転倒と関連を認めたことから,転倒予防を目標とした地域保健の事業等で有効に活用できる可能性が示唆された。
  • 村田 伸, 村田 潤, 津田 彰
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 601-607
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者女性の足把持力と胸椎後彎角との関連性を検討した。〔対象〕地域在住の高齢者女性37名(平均74.7±5.9歳)である。〔方法〕足把持力,胸椎後彎角,片足立ち保持時間などを測定し,相関分析や共分散分析を用いて検討した。〔結果〕足把持力と胸椎後彎角ならびに片足立ち保持時間の三者には互いに有意な相関が認められ,胸椎後彎角が大きいほど足把持力が弱く,片足立ち保持時間が短いという関係が認められた。さらに,胸椎後彎角高値群と低値群の2群間の比較から,年齢を調整しても胸椎後彎角と足把持力ならびに片足立ち保持時間との関連が示された。〔結語〕胸椎後彎角が大きい高齢者女性は足把持力が弱く,立位バランスが低下していることが示唆された。
  • 金山 剛, 大平 雄一, 西田 宗幹, 永木 和載, 阪本 充弘, 窓場 勝之, 大脇 淳子
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 609-613
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕多変量解析を用いて回復期リハ患者の自宅退院決定要因について調査を行った。〔対象〕当院回復リハ病棟を平成13年6月1日から平成17年12月31日に退院した患者398名とした。〔方法〕リハカルテにより対象を自宅群,施設群の2群に分類し,比較検討を行った。〔結果〕ロジスティック回帰分析の結果,認知症老人の日常生活自立度(OR:0.35, 95%CI 0.16-0.75, p<0.01),退院時移動形態(OR:0.22, 95%CI 0.07-0.71, p<0.01)の2つの因子が抽出された。〔結語〕回復期リハから在宅復帰する患者は退院時の移動能力のレベルが高く,認知症が重度ではないことが明らかになった。
  • 甲斐 義浩, 松尾 奈々, 村田 伸, 竹井 和人, 倉富 真, 田中 律子
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 615-618
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕当校における難病支援教室を紹介し,本教室で実施している体操指導やレクレーションが参加者の気分に与える影響について検討した。〔対象〕本教室に参加した神経難病罹患者10名(平均年齢67.8±9.3歳)である。〔方法〕本教室参加前後の「気分」について,Profile of Mood Statesを用いて調査した。〔結果〕介入前後における対象者の気分は,「活気」は有意に高くなり,「緊張-不安」,「疲労」,「混乱」は有意に減少した。〔結語〕難病支援教室は,参加対象者の短期的な気分の改善に効果を示した。
  • 佐々木 賢太郎, 築山 尚司, 福田 智美, 太田 晴之, 上松 尚代, 瀬野 玲子, 千田 益生
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 619-623
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕原発性肺癌に対する肺葉切除術後の離床に影響を及ぼす因子の抽出を行うことを目的とした。〔対象〕術前,あるいは術後に理学療法が介入した60例(66.9±11.3歳,男性42例,女性18例)であった。〔方法〕離床を約50 mの連続歩行が可能になることとし,それまでに要した日数を記録した。それに影響候補因子として,術前呼吸機能,術前理学療法の有無,手術方法,手術部位,年齢,性別,術前BMIについて測定した。〔結果〕術後の連続歩行獲得までに要した日数に影響を及ぼす因子は認めなかった。しかし,離床までに術後1週間以上を要した患者6例の特徴は,80歳以上の高齢,高度の気流制限,術後の疼痛,BMI低値であった。〔結論〕術後合併症のリスクファクターを持つ患者に対しては,術後早期の離床と術前における耐運動能の増強を図ることが周術期理学療法の主要な役割として考えられた。
  • 下井 俊典, 谷 浩明
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 625-631
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,継ぎ足歩行テストの異なる3種類の測定値について,検者内・検者間信頼性を検討することを目的とした。〔対象と方法〕健常成人(57名,平均66.2歳)に,長さ5 m,幅50 mmのテープ上を継ぎ足歩行させ,臨床経験の異なる2名の検者に,その所用時間(TGT)とミス・ステップ数(TGI-1,-2)を測定させた。信頼性の検討には級内相関係数(ICC)とBland-Altman分析を用いた。〔結果〕いずれのテストにおいても,臨床経験の少ない検者の測定値は,臨床経験を有する検者より低いICC(1,1)を示し,系統誤差を有していた。検者間信頼性に関しては,測定項目が比較的少ないTGT,TGI-1の2回目の測定値で,高いICCが得られた。またBland-Altman分析によっても,TGT,TGI-1の2回目の測定値で系統誤差が消失した。継ぎ足歩行を評価方法として使用する場合,所要時間のみを測定するTGTが最も検者内・間信頼性が高いことが明らかとなった。〔結語〕TGT,TGI-1のいずれについても,高い信頼性を補償するためには,少なくとも2回測定し,2回目の測定値を採用することが望ましいと考える。しかし,いずれのテストに関しても,検者の測定に対する熟練度の影響を考慮する必要性が示唆された。
  • 木藤 伸宏, 新小田 幸一, 金村 尚彦, 阿南 雅也, 山崎 貴博, 石井 慎一郎, 加藤 浩
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 633-640
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は足踏み動作時の外部膝関節内反モーメントを内側型変形性膝関節症(膝OA)群と健常群で比較した。さらに膝OA群の外部膝関節内反モーメントと疼痛,身体機能との関係を明らかにすることを目的とした。〔対象〕被験者は内側型変形性膝関節症と診断された女性30名(膝OA群),健常女性18名(対照群)であった。〔方法〕動作課題とした足踏み動作を,3次元動作解析装置と床反力計を用いて計測した。疼痛と身体機能に関してはWOMACを用いて評価した。〔結果〕外部股関節内転モーメント,外部膝関節内反モーメントは膝OA群と対照群で有意な差はなかった。外部膝関節内反モーメント比率は,片脚起立期では膝OA群は対照群より有意に大きかった。片脚起立期の外部膝関節内反モーメントは,疼痛に影響を与える要因である可能性が示唆された。疼痛は身体機能に影響を与える要因であった。〔結論〕膝OAの理学療法では外部膝関節内反モーメントを減少させる治療戦略が重要であることが示唆された。
  • 平瀬 達哉, 井口 茂, 塩塚 順, 中原 和美, 松坂 誠應
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 641-646
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,高齢者のバランス能力と下肢筋力との関連性を検討し,性差,年齢,老研式活動能力指標(老研式)得点別でも検討を行うことである。〔対象〕高齢者69名で,平均年齢は77.4歳であった。〔方法〕バランス能力は静止立位時重心動揺とFunctional Reach Test(FRT)とし,下肢筋力は膝伸筋と足背屈筋を測定した。年齢は中央値で78歳以下,79歳以上に分類し,老研式得点は11点未満,11点以上に分類した。〔結果〕静止立位時重心動揺と下肢筋力は負の相関を認め,FRTと下肢筋力は正の相関を認めた。また女性,79歳以上,11点未満群では静止立位時重心動揺と下肢筋力で負の相関を認め,女性,78歳以下,11点以上群ではFRTと下肢筋力で正の相関を認めた。〔結語〕高齢者のバランス能力と下肢筋力の関連性には性差,年齢,老研式得点によって異なる特徴があることが示唆された。
  • 藪本 保, 福富 悌, 西村 正明, 岩越 康真, 柴田 祐果, 渡邊 雄介, 古田 善伯, 今井 一, 松岡 敏男
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 647-651
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳性まひ(CP)児へのリハビリテーションが自律神経活動に及ぼす影響と健康児の自律神経活動を比較することを目的とした。〔対象〕CPの診断を受けた通院中の患児12例と同年齢の健康児9例を対象とした。〔方法〕患児群に抗重力姿勢活動を中心としたリハビリテーションを実施し,その前後において加速度脈波計の波形解析による自律神経系の評価を行った。健康児群に対しては安静時のみ測定を行った。〔結果〕患児群はリハビリテーション前後で変化を認めなかったが,軽症群,重症群の2群に分けて比較すると,重症群は変化を認めなかったのに対し,軽症群は有意に変化した(p<0.05)。リハビリテーション後の軽症群は健康児群との間に有意差は認められなくなった。〔結語〕抗重力姿勢活動を中心としたリハビリテーションは,CP児の自律神経系に対する刺激となり,健康児に近づくことから大切な治療と考えられた。
  • 齋藤 信夫, 武井 圭一, 黒澤 和生
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 653-657
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕トレッドミル上の快適歩行速度(PST)は,平地での快適歩行速度(PSF)より速く感じる。しかし,実測値はPSTはPSFより遅くなると報告されている。これまでに,その際の身体活動量を加速度計から求めた報告はない。本研究の目的は,PSTとPSFの速度と活動量の相違について,加速度計を用い,比較検討することである。〔対象〕実験1は,若年健康者3名(男性3名:平均年齢20歳),実験2は,若年健康者15名(男性12名,女性3名:平均年齢21歳)を対象とした。〔方法〕トレッドミル上で速度を変化させ,トレッドミル上歩行での酸素摂取量と加速度変化を求めた。また,PSFとPSTの速度と加速度変化の比較も行った。各測定の際,腰背部に装着した小型3軸加速度変換器から快適歩行時の3次元の加速度変化を解析した。加速度変化の積分値(総力積)を求め活動量の指標にした。各条件の比較には1元配置の分散分析(反復測定)を用い有意差を求めた。〔結果〕PSFとその活動量がPSTに比べ有意に高いことが示された。PSFに比べPSTは遅くなるという従来からの報告と同様の結果が得られた。活動量についてもPSFよりPSTが低下し,その差を加速度計より検出できることが確認できた。〔結語〕加速度計から求めた活動量は,平地歩行に対しては臨床上活用できることが示唆された。
  • 松本 浩実, 池田 匡
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 659-663
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ギャッチアップ座位のずり下がり姿勢が呼吸筋活動とエネルギー消費に及ぼす影響を明らかにすることである。〔対象〕整形,呼吸器疾患を有さない21人の成人男性(27±4.4歳)とした。〔方法〕表面筋電図と簡易熱量計を用いて実験を行った。筋電図は胸鎖乳突筋,僧帽筋,背筋,腹直筋,腹斜筋の5つを導出筋とし,検査肢位はギャッチアップ座位姿勢にて背上げ60 °膝上げ20°(姿勢1),背上げ60°膝上げなし(姿勢2),ずり下がり姿勢(姿勢3)の3つとした。〔結果〕呼気運動時に姿勢3では腹直筋の筋活動が他の姿勢より有意に高値であった(p<0.05)。またエネルギー消費も姿勢2に比べ姿勢3にて有意に高値となった(p<0.05)。〔結語〕ギャッチアップ座位でのずり下り姿勢は呼吸筋の過剰な活動が起こり,分時換気量の増大に伴ってエネルギー消費も増加することが明らかになった。
    に高値となった(p<0.05)。〔結語〕ギャッチアップ座位でのずり下り姿勢は呼吸筋の過剰な活動が起こり,分時換気量の増大に伴ってエネルギー消費も増加することが明らかになった。
  • 宮本 顕二, 笠原 敏史, 野坂 利也
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 665-669
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕胸部あるいは腰部コルセットの圧迫による呼吸機能への影響を調べた。〔対象〕健常成人男性6名(28.2±5.3 [SE]歳)。〔方法〕締め付け圧を調整出来る胸部コルセットと腰部コルセットを別々に装着し,締め付け圧0 mmHg, 20 mmHg,40 mmHg, 60 mmHgの条件で肺気量分画を測定した。〔結果〕胸部コルセット装着は,締め付け圧が増加すると肺活量,予備呼気量,全肺気量は減少した。1回換気量も減少したが有意差はなく,呼吸数の増加で分時換気量が維持されていた。全肺気量,肺活量,予備呼気量,努力性肺活量の減少は胸部コルセット締め付け圧=40 mmHgからみられた。なお,残気量は締め付け圧に関係なく影響しなかった。一方,腰部コルセット装着は締め付け圧に関係なく予備呼気量を除く他の肺気量分画に影響しなかった。〔結語〕胸部コルセットを使用する場合は,コルセットが呼吸運動を抑制する危険性を考慮すべきである。
  • 兵頭 甲子太郎
    原稿種別: 原 著
    2008 年 23 巻 5 号 p. 671-675
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,歩行の同時定着期から一側支持となるまでの動きを想定し,徐々に体重を掛けさせたとき,股関節周囲筋(中殿筋,大殿筋上部線維,大腿筋膜張筋,内転筋)にどのような筋電図学的変化が表れるのか検討していくことである。〔対象〕対象は整形外科的疾患の既住のない健常成人19名とした。〔方法〕体重計を使用して一側下肢へ体重の20%,40%,60%,80%,100%と徐々に体重を掛けさせ,その時の中殿筋,大殿筋上部繊維,大腿筋膜張筋,内転筋の筋活動を測定した。〔結果〕実験の結果から中殿筋,大殿筋上部線維は荷重量の増加に伴い段階的に筋活動が増加する傾向となり,大腿筋膜張筋は荷重100%のみにて有意な筋活動が得られた。〔結語〕同時定着期から一側支持となるまでの間では中殿筋,大殿筋上部線維の筋活動が重要となると考えられる。
症例研究
  • 佐々木 賢太郎, 築山 尚司, 太田 晴之, 千田 益生
    原稿種別: 症例研究
    2008 年 23 巻 5 号 p. 677-683
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕生体部分肺移植が施行された一症例に対し,術後約8ヶ月間の継続的理学療法を施行し,術後12ヶ月間までの身体機能の経時的変化を追跡し,理学療法の有用性を明らかにすることを目的とした。〔対象〕対象は原因不明の肺気腫を罹患した女性であった。〔方法〕測定項目は,下肢伸展挙上(SLR)筋力,6分間歩行距離(6MWD),呼吸機能であった。〔結果〕各筋力は術後6-7ヶ月で,6MWDは6ヶ月でピークを迎えた。SLR筋力,6MWD,呼吸機能,各々の推移は相関関係を認めた。また,理学療法が終了して約4ヵ月後の術後12ヶ月時点のSLR筋力と6MWDは術後4-5ヶ月時点の値まで低下していた。〔結語〕術後の集中的理学療法は身体機能の回復に影響を及ぼし,継続的理学療法は身体機能の維持のために有用である可能性が示唆された。
総説
  • 宮森 隆行, 吉村 雅文, 青葉 幸洋
    原稿種別: 総 説
    2008 年 23 巻 5 号 p. 685-690
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    本稿では,サッカー選手の体力を,「サッカー選手に必要とされる体力要素」,「体力測定と評価」,「結果の活用」,さらに,「今後取り組むべきトレーニング課題」の4点から検討した。その結果,サッカー選手の体力を評価するためには,競技特性を理解した中での体力評価を実施することが必要であり,これらを考慮に入れた個別化・グルーピング化した体力評価は,サッカー選手の体力トレーニングの効率化を図る上での重要な評価であることが確認された。今後のサッカー選手の体力評価は,「体力的側面」・「トレーニング」・「競技パフォーマンス」の3要因の関連性を定量的に解明していくことが必要であり,これらの評価を数値化して現場に還元していくことこそ,科学的トレーニングの一つのステップであると考える。
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