理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
姿勢ならびに光学的流動がファンクショナルリーチテストにおける自己身体能力の予測に及ぼす影響
川中 麻由美小森 直樹佐藤 拓挽野 瞳村井 恵美佐々木 誠
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キーワード: 光学的流動, 身体能力, 予測
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2009 年 24 巻 1 号 p. 87-91

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抄録

〔目的〕本研究の目的は,光学的流動の有無がファンクショナルリーチテスト(以下,FRT)のリーチ距離に及ぼす影響と,姿勢の相違ならびに光学的流動の有無がその自己身体能力の予測に及ぼす影響について明らかにすることである。[対象] 対象者は,健常な学生46名であった。〔方法〕坐位姿勢において光学的流動のない坐位保持,光学的流動のある電動車椅子移動,立位姿勢において光学的流動のない立位保持,光学的流動のある歩行移動の4条件の施行後,リーチ距離の予測を行わせ,FRTを行い,実測値と,実測値と予測値との誤差を条件間で比較した。〔結果〕実測値と誤差(絶対値)はそれぞれ条件間で差が認められなかった。誤差(プラスマイナス値)は,いずれの姿勢でも光学的流動を伴ったほうが有意に高値であった。立位姿勢では立位保持に比べて歩行移動で過大予測する者の出現率が有意に高かった。〔結語〕光学的流動によって自己身体能力の過大予測が生じ,特に,FRT実施の際の姿勢と同一の立位で移動すると顕著であることが示唆された。理学療法において,光学的流動を伴う課題を体験していくとき,光学的流動の影響で過大予測するマイナス面とプラス面を考慮する必要があると考える。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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