2009 年 24 巻 2 号 p. 191-199
[目的]近年,運動観察を用いた運動療法介入がミラーニューロン(MN)を賦活させ,運動機能回復に効果があるとする知見が報告されている。本研究の目的は,機能的近赤外分光法を用いて運動観察に意図推定課題を付与した場合の脳賦活を検証することである。[方法]対象は右利きの健常成人10名とし,安静時と条件1~4における脳血流酸素動態を測定した。条件1:運動観察課題(言語解答なし)。条件2:意図推定課題(言語解答なし)。条件3:運動観察課題(言語解答あり)。条件4:意図推定課題(言語解答あり)。[結果]安静時と条件1と3に比べ,条件2と4において,MNの存在する左右の下前頭皮質で有意な賦活が認められた(p<0.05)。[結語]MNの賦活には,単純な運動観察よりも,そこに意図推定課題を付与した方が適していることが判明した。