理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
24 巻 , 2 号
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原著
  • 秋本 剛, 浦辺 幸夫, 市木 育敏, 井手 一茂
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]荷重位で大腿に対して下腿が外旋すると,それに伴いknee-inが誘導される。この下腿外旋によるknee-inは膝関節外反を導く。本研究は,片脚ジャンプ着地時の膝関節外反と下腿回旋筋であるハムストリングの筋活動と膝の側方安定性に関与する内側広筋,外側広筋の筋活動の関係を明らかにすることを目的とした。[対象]膝関節に既往のない健康な女子大学生27名とした。[方法]ジャンプ着地時の内側広筋(VM),外側広筋(VL),半膜様筋(SM),大腿二頭筋(BF)のEMGの導出と膝関節最大外反角度の算出を行った。[結果]BF/SM比(内側ハムストリングに対する外側ハムストリングの筋活動比)と膝関節最大外反角度に有意な正の相関がみられた(r=0.40,p<0.05)。[結語]片脚ジャンプ着地時のBF/SM比が大きい者は,膝関節外反角度も大きいことが示された。
  • 今 直樹, 高見 彰淑, 皆方 伸, 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究では,健常成人男性において両脚および片脚での脚伸展筋力の特性を調べ,脚伸展筋を要する運動能力の効果的かつ効率的な向上の方法を提案することを目的とした。[対象]対象は健常成人男性28名であった。[方法]対象者の両脚および片脚の等速性脚伸展筋力を体重で除した値(以下,レッグパワー)を測定した。また運動能力のテストとして,垂直跳び,立ち幅跳び,反復横跳び,フルスクワット30回連続遂行時間を測定した。[結果]垂直跳び,立ち幅跳び,反復横跳びの値は,両脚,支持脚,非支持脚の各レッグパワーおよび支持脚・非支持脚レッグパワーの和との間にそれぞれ有意な相関が認められた。フルスクワットの値は支持脚レッグパワーおよび支持脚・非支持脚レッグパワーの和との間にそれぞれ有意な相関が認められた。[結語]運動課題の種類によって要求される脚の伸展筋力は異なり,成績向上を効果的にするためには運動の種類にあったトレーニング方法の選択が必要であると考えられた。
  • 菅原 光晴, 前田 眞治
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究では,症状の改善が認められた左半側空間無視患者の特徴について検討した。[対象]対象は左半側空間無視患者54例である。[方法]左半側空間無視の影響を受けやすい食事,整容,更衣,移乗,車椅子操作の5項目をFIMにて評価し,退院時におけるすべての項目が6点以上のものを改善群,各項目のいずれかが5点以下で,左半側空間無視により何らかの介助を有するものを非改善群とした。これら2群における年齢,発症後期間,訓練内容,訓練期間,上下肢のBrunnstrom stage,体幹機能評価,神経心理学的検査について統計学的検討を行った。[結果]年齢や体幹機能,神経心理学的検査に有意差が認められた。特に改善群では,左半側空間無視の改善のみならず体幹機能や注意力,構成能力,前頭葉機能において改善が認められた。[結語]左半側空間無視が改善しADLへ汎化するためには,左半側空間無視に対するアプローチのみならず,体幹などの身体機能や注意力などの全般的認知機能に対する包括的なアプローチが必要と考えられた。
  • 木元 稔, 野呂 康子, 加藤 千鶴, 近藤 堅仁, 中野 博明, 松嶋 明子, 坂本 仁, 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究の目的は,脳性麻痺児における歩行時の効率に対する空間時間的変数の影響を明らかにすることである。[対象]対象は実用歩行が可能な痙直型両麻痺児(以下,CP児)9名であり,年齢の平均値±標準偏差は12.8±3.5歳(範囲:7歳5ヶ月から18歳9ヶ月)であった。[方法]空間時間的変数として,10 m歩行時の歩行速度,歩幅,及び歩行率を,歩行時の効率の指標として,4分間歩行中の脈拍数,歩行速度,及びPhysiological Cost Index(以下,PCI)を測定し,Pearsonの相関係数を求めた。[結果]4分間歩行時脈拍数と空間時間的変数との間には有意な相関が認められなかった。4分間歩行速度と10 m歩行速度(p<0.05)ならびに10 m歩行時歩幅(p<0.01)との間に有意な正の相関があったが,4分間歩行速度と10 m歩行時歩行率との間には有意な相関がなかった。PCIと10 m歩行速度(p<0.01)ならびに10 m歩行時歩幅(p<0.05)との間に有意な負の相関があったが,PCIと10 m歩行時歩行率との間には有意な相関がなかった。[結語]歩行速度が速いほど,また歩幅が大きいほど,歩行時の効率が高かったため,CP児において歩行時の効率が高くなる条件は,歩行速度が速く歩幅が大きいことであると考えられた。
  • 小島 聖, 細 正博, 武村 啓住, 由久保 弘明, 松崎 太郎, 渡邊 晶規
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]ラット膝関節拘縮モデルを用い,温浴が関節構成体に及ぼす病理組織学的変化を観察することである。[対象と方法]9週齢のWistar系統雄ラット15匹(非治療群,42℃群,40℃群,38℃群,36℃群それぞれ3匹)を用いた。いずれの群も右膝関節を屈曲位で2週間ギプス固定し,温浴を行う群は42~36℃の温浴を2週間施行した。右膝関節を採取後,組織切片を作成し,ヘマトキシリン・エオジン染色を行い光学顕微鏡下にて観察した。[結果]42℃群,40℃群の関節軟骨は,広範に本来の軟骨組織とは異なる質的変化を認めたが,38℃群,36℃群では拘縮のみの変化に類似していた。[結語]関節内温度上昇が関節軟骨や滑膜組織に悪影響を及ぼす可能性があり,温浴の適応や禁忌を具体的かつ詳細に再考しなければならない。
  • 大槻 桂右, 亀野 純, 鈴木 哲, 渡辺 進
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]健常成人男性ならびに女性を対象として二重積屈曲点(double product break point;DPBP)検出時の循環応答とBorg scaleとの関係と性差を検討することである。[対象]健常成人男女それぞれ20名(男性25.0±2.1歳,女性24.1±4.5歳)を対象とした。[方法]自転車エルゴメーターを用いて,2分間10ワットずつ増加させる多段階運動負荷試験を行った。Borg Scaleは運動負荷増加後,約1分後に聞き取った。[結果]DPBP検出時のBorg scaleは男性が13.9±1.7であり,女性は13.0±1.6であった。また,DPBP時の循環応答とBorg scaleの関係は,男性では収縮期血圧,脈圧,二重積に有意な相関が認められた。一方,女性では,心拍数と二重積に有意な正の相関が認められた。[結語]DPBP検出時のBorg scaleの数値は,男女共通して二重積と関係が深いことがわかった。
  • 細井 俊希, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 173-178
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究では,理学療法士が特別養護老人ホームの機能訓練指導員として介入することが,対象高齢者のQOL向上につながるかを検討した。また,主観的健康感を示すVASと,既存のQOL評価法であるSF-36との相関を求め,VASがQOL評価として使用できる可能性について検討した。[対象と方法]特別養護老人ホーム入居者95名のうち,本研究への同意が得られ,質問紙への回答が可能であった20名を対象とした。評価として3ヶ月ごとに6回,計15ヶ月にわたりSF-36,VAS,PGC,およびFIMを実施した。前半6ヶ月を「常勤あり」,後半6ヶ月を「常勤なし」期間とし,比較した。[結果]SF-36 下位項目のいくつかは3ヶ月後に上昇し,その後も得点が保たれた。常勤“あり”は“なし”に比べVASとPGCで有意に高値を示した。[結語]常勤理学療法士の介入は施設入所者の健康関連QOL,主観的健康感や幸福感の向上に影響を及ぼすと考えられる。VASはSF-36やPGCと有意な相関を示したことから,簡便なQOL評価法になりうる可能性が示唆された。
  • 瀬高 英之, 島田 裕之
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,地域在住高齢者の身体組成と運動習慣の定着,日常生活における様々な活動状態との関連を検討することを目的として行った。[対象]東京都在住の70歳以上の高齢者108名(平均年齢75.6±4.0歳)であった。[結果]BMIと体脂肪率から,肥満群,かくれ肥満群,非肥満群に分け,3群間の比較を行った。肥満群は非肥満群と比べて,運動習慣,活動状態が定着していない者が有意に多く認められた。かくれ肥満群は非肥満群と比べて,有意に膝伸展筋力が弱く,Timed up and Go Testが遅く,転倒している者が多くみられた。[結語]地域在住高齢者において,肥満者は,身体機能は維持されているものの,運動の習慣がないことが示された。また,かくれ肥満者は,身体機能が低く,転倒の危険性が高いことが示された。
  • 大渕 修一, 新井 武志, 小島 基永, 河合 恒, 小島 成実
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 185-190
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]超音波画像計測装置を用いて測定した大腿前面の筋厚が,膝関節伸展筋力を含めた身体機能と関係しているのか,また筋厚から膝関節伸展筋力の推定が可能かを調査した。[対象]地域在住の女性高齢者98名とした(平均年齢72.7 ± 5.4歳)。[方法]対象者の大腿前面の筋厚を超音波画像計測装置にて計測した。また身体機能として,等尺性の膝関節伸展筋力(N),握力(kg),通常歩行速度(m/分),開眼片足立ち時間(秒),下肢のしなやか度を測定した。[結果]大腿前面の筋厚は膝関節伸展筋力,握力,開眼片足立ち時間と有意な正の相関が認められた。一方,重回帰分析の結果では,膝関節伸展筋力を予測する因子としては,大腿前面筋厚の寄与率は低いことがわかった。[結語]超音波画像計測装置で計測した大腿前面の筋厚は,地域在住女性高齢者の身体機能を反映する指標とはなりうるものの,膝関節伸展筋力を推定するためにはさらに検討が必要と考えられた。
  • 信迫 悟志, 清水 重和, 玉置 裕久, 三鬼 健太, 森岡 周
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 191-199
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]近年,運動観察を用いた運動療法介入がミラーニューロン(MN)を賦活させ,運動機能回復に効果があるとする知見が報告されている。本研究の目的は,機能的近赤外分光法を用いて運動観察に意図推定課題を付与した場合の脳賦活を検証することである。[方法]対象は右利きの健常成人10名とし,安静時と条件1~4における脳血流酸素動態を測定した。条件1:運動観察課題(言語解答なし)。条件2:意図推定課題(言語解答なし)。条件3:運動観察課題(言語解答あり)。条件4:意図推定課題(言語解答あり)。[結果]安静時と条件1と3に比べ,条件2と4において,MNの存在する左右の下前頭皮質で有意な賦活が認められた(p<0.05)。[結語]MNの賦活には,単純な運動観察よりも,そこに意図推定課題を付与した方が適していることが判明した。
  • 原 毅, 吉松 竜貴, 久保 晃
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]座位での下肢荷重力と移乗動作自立度の関連性および下肢障害の影響について検討することとした。[対象]高齢慢性期患者35名(男性16名,女性19名,年齢79.7 ± 10.1歳:mean ± SD)とした。[方法]対象者の移乗動作自立度はFIMの得点により3群に分類し,下肢障害側はカルテ及び担当セラピストの情報を参考に片側および両側の2群に分類した。下肢荷重力体重比(%)を算出し,移乗動作自立度と下肢障害側を要因とした二元配置分散分析と多重比較検定で比較した。[結果]移乗動作自立群と介助群間に有意差が認められ,下肢障害側には有意な主効果は認められなかった。[結語]下肢荷重力は移乗動作能力を反映しており,下肢荷重力測定は多様な疾病の混在した高齢慢性期患者に対しても応用できる可能性が示唆された。
  • 望月 久, 金子 誠喜
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 205-213
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]パフォーマンスに基づく臨床的なバランス能力評価指標開発のための実施したアンケート調査の結果を報告する。[対象]バランスに関する研究報告がある理学療法士23名より回答を得た。[方法]郵送法にてアンケート調査を実施した。質問項目はバランスの定義,バランス能力測定の枠組み,臨床的なバランス能力測定法に必要な条件,バランス能力測定の現状などとした。[結果]バランスの定義やバランス能力測定の枠組みは理学療法士間での意見の違いがあった。臨床的なバランス能力評価指標としては,測定時間の短いこと,結果の客観性,結果の臨床的意味などが重視されていた。また,現在使用されている評価指標についても,測定の簡便性や結果の臨床的な有用性など,実用性の面では種々の問題があることが確認できた。[結語]今回の結果を参考に,より実用的な臨床的バランス能力評価指標を考案したいと考えている。
  • 八坂 一彦, 八木 文雄
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 215-220
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究の目的は健常成人において,触知覚および視知覚における物体再認に関する認知プロセスを確認することである。[対象と方法]健常成人13名に対して,触覚情報による語連想課題(以下,触覚課題)および視覚情報による語連想課題(以下,視覚課題)を実施し,3分間呼称数および課題実施後に行った半構造化面接によるインタビュー内容から分析を行った。インビュー内容の分析は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで行った。[結果]課題中の思考に関する認知プロセスについて分類した結果,両課題ともに5つのプロセス【直観的判断】【連想による判断】【記憶想起による判断】【探索的判断】【機能的固着】が生成され,さらに視覚課題において【触覚イメージによる判断】の項目が追加して得られた。[結語]これらのプロセスは,人間の思考形態の一つである類推機能におけるベースの検索および写像において様々な方略を表していることが示唆された。
  • 鈴木 哲, 栗木 鮎美, 石部 豪, 元平 智子, 高橋 正弘, 楢崎 慎二
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]高齢者に対し,腰痛予防を目的に体幹エクササイズを実施し,その効果を体幹背部筋の筋持久力から検討した。[対象]高齢者24名(74±5.1歳)で,エクササイズ群(Exe群)13名とコントロール群(Con群)12名の2群に分けた。[方法]筋持久力をTrunk Holding Testの保持時間(THT)と腰部多裂筋の筋電図学的筋疲労から評価した。[結果]8週後,2群とも筋電図学的筋疲労に有意な変化はなかったが,THTはExe群においてのみ有意に向上した。[結語]実施したエクササイズによる腰痛のリスクファクターであるTHTの保持時間向上効果が示唆された。
  • 鈴木 哲, 栗木 鮎美, 石部 豪, 元平 智子, 高橋 正弘, 楢崎 慎二
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 227-233
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]高齢者に対し腰痛予防を目的に体幹エクササイズを実施し,その効果をバランス能力,健康関連QOLから検討した。[対象]高齢者24名(74 ± 5.1歳)で,エクササイズ群(Exe群)13名とコントロール群(Con群)11名の2群に分けた。[方法]健康関連QOLの評価にはSF-36を使用した。バランス能力は片脚立位時の重心動揺と,不安定面上座位時の保持時間と重心動揺を評価した。[結果]8週後,Exe群においてバランス能力,健康関連QOLの有意な改善がみられたが,Con群ではみられなかった。[結語]実施したエクササイズは,片脚立位バランスや不安定面上座位バランス,健康関連QOLの改善に有用である可能性が示唆された。
  • 奥 壽郎, 廣瀬 昇, 加藤 宗規, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 235-239
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]立位への杖が与える影響を解析するための基礎的研究として,高齢者疑似体験装具による重心動揺の変化を検討した。[対象]健常成人15名,男性10名・女性5名,平均年齢40.4±5.9歳(31~51歳)であった。[方法]重心動揺測定には,酒井医療株式会社製平衡機能計Active Balancerを用い,装具なし杖なし条件,装具あり杖なし条件,装具あり杖あり条件の3条件で測定した。[結果]装具装着により,総軌跡長・単位軌跡長・外周面積・矩形面積の増大,前後の動揺平均中心変位・左右および前後動揺標準偏差の増大が認められた。さらに,杖を使用することによって,重心動揺位置を前方に維持した状態で,重心動揺を減少する結果が得られた。[結語]これらの結果,体幹および股・膝屈曲を呈した高齢者の立位における重心動揺は,非高齢健常者より前方に重心が変位し,動揺が速く大きくなるが,杖を使用すると動揺は非高齢健常者と同程度に減少することが示唆された。
  • 南角 学, 高木 彩, 秋山 治彦, 後藤 公志, 中村 孝志, 柿木 良介
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 241-244
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究の目的は,THA術後早期の靴下着脱方法と股関節屈曲可動域の関連を検討することである。[対象]THA術後3~5週経過した男女74名(81関節)を対象とした。[方法]各対象者の靴下着脱方法を記録し,座位,長座位,正座位,臥位o立位,自助具の使用の5つのパターンに分類し,各着脱方法間での股関節屈曲可動域を比較した。[結果]臥位o立位での方法が32.1%と最も多く,次いで正座位,座位と自助具の使用,長座位の順であった。また,股関節屈曲可動域は各方法間で有意差が認められた。[結語]THA術後早期の股関節屈曲可動域は靴下着脱方法に影響を与えることから,THA術後の靴下着脱方法の指導の一助となることが期待された。
  • 吉本 好延, 大山 幸綱, 浜岡 克伺, 明崎 禎輝, 吉村 晋, 野村 卓生, 佐野 尚美, 橋本 豊年, 佐藤 厚
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 245-251
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究の目的は,在宅における脳卒中患者の転倒の有無と,入院中の身体機能との関連性を調査し,入院中から在宅での転倒予測が可能かどうかを検討した。 [対象]入院中に歩行可能であった脳卒中患者79名であった。[方法]身体機能の評価として,Brunnstrom Recovery Stage,片脚立位時間,10 m歩行時間などを発症から3ヶ月以降(発症から身体機能評価までの平均期間111.1 ± 19.6日)に測定し,退院後1年間の転倒状況は,郵送法を用いたアンケート調査を行い,入院中の身体機能との関連性を検討した。[結果]転倒者は50名(63.3%)であった。転倒群は,非転倒群と比較して,Brunnstrom Recovery Stage,麻痺側片脚立位時間,非麻痺側片脚立位時間,麻痺側膝関節伸展筋力,非麻痺側膝関節伸展筋力,Barthel Indexの項目が有意に低値であった(p<0.05)。10 m歩行時間の項目は有意に高値であった(p<0.05)。ロジスティック解析の結果,麻痺側片脚立位時間は最も重要な転倒関連因子(オッズ比:0.902,95%信頼区間:0.829~0.981)であると考えられた。麻痺側片脚立位時間3.5秒をカットオフ値とした場合,感度86.0%,特異度69.0%であった。[結語]在宅における歩行可能な脳卒中患者の転倒予測として,入院中の麻痺側片脚立位時間の測定が有用である可能性が示唆された。
  • 森垣 浩一, 片岡 保憲, 越智 亮, 太場岡 英利, 森岡 周, 八木 文雄
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 253-256
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究の目的は,脳卒中片麻痺患者が歩行時における自己の歩幅をどの程度正確に認識しているのかを明らかにすることである。[対象と方法]片麻痺患者8名と健常高齢者8名を対象として,実際に下肢を振り出した際の運動距離(実際距離)とその運動の見積もり距離,および下肢長とその見積もり距離を測定した。[結果]これらの測定値から求めた実際距離に対する見積もり距離の誤差の割合(誤差率)は,片麻痺患者の麻痺側と非麻痺側の間には有意差が認められなかった。さらに,片麻痺患者の誤差率は健常高齢者に較べて有意に大きかった。[結語]片麻痺患者は下肢の振り出し動作における自己の歩幅を麻痺側,非麻痺側ともに正確に認識できていないことが明らかとなった。以上の結果を運動の見積もりや認識に関するこれまでの代表的な知見にもとづき論議した。
  • 川崎 翼, 森岡 周
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 257-262
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]身体位置関係の認識と立位姿勢バランス能力の関連性を明らかにすることである。[対象]健常成人32名(平均年齢25.2±1.9歳,男性21名,女性11名)とした。[方法]立位で一側下肢を挙上し,大転子と膝蓋骨,膝蓋骨と外果,外果と大転子の矢状面での前後の位置関係の距離を認識した課題を課し,実際の距離との誤差を測定した。各部位の距離の誤差を合計したものを身体位置関係の認識誤差合計とした。立位姿勢バランス能力測定として閉眼片脚立位時間と重心動揺(アニマ社製ツイングラビコーダG6100使用)を測定した。重心動揺測定は32名の内20名に行った。重心動揺データは総軌跡長を用いた。身体位置関係の認識誤差合計と閉眼片脚立位時間,総軌跡長の関連性をピアソン相関係数を用いてそれぞれ検討した。[結果]閉眼片脚立位時間と身体位置関係の認識誤差に有意な負の相関(r=-0.58,p<0.01)が認められた。総軌跡長と身体位置関係の認識に有意な正の相関(r=0.65,p<0.01)が認められた。又,大転子-外果間において,身体位置関係の認識誤差と閉眼片脚立位時間に有意な負の相関(r=-0.56,p<0.01)が認められ,身体位置関係の認識誤差と総軌跡長に有意な正の相関(r=0.53,p<0.05)が認められた。[考察]結果から,身体位置関係の認識が立位姿勢バランスの関連することが示唆された。
  • 佐久間 香, 西村 純, 大畑 光司, 市橋 則明
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 263-267
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究の目的はドロップジャンプ(以下DJ)時の下肢の運動学的特徴とStretch-shortening cycle(以下SSC)を跳躍に利用する能力との関係を調べることである。[対象]対象は健常男性28名とした。[方法]20 cm DJ時における下肢関節角度の変化に加え,垂直跳び(以下VJ)とDJの跳躍高を測定した。DJ時の関節角度の変化より,着地直前と踏切動作時の関節角度,踏切動作時の足関節運動の切り換わりから膝関節運動の切り換わりまでの時間を算出した。VJよりDJ跳躍高が増加した群と減少した群に分類し,両群の違いを比較した。[結果]増加した群は,着地直前の足関節底屈角度が有意に少なかった。また,足関節の切り換わりから膝関節の切り換わりまでの時間が有意に長く,足関節が膝関節より早く切り換わるものが多かった。[結語]少ない足関節底屈角度での着地に加え,足関節を膝関節より早く伸展運動に切り換えるような踏切動作をとることでSSCを効率的に利用したDJを行うことができることが示唆された。
  • 津野 雅人, 片岡 保憲, 太場岡 英利, 越智 亮, 森岡 周, 八木 文雄
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 269-272
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]脳卒中片麻痺患者における運動イメージの障害について,到達運動の予測距離を用いて検討した。[対象]片麻痺患者9名,健常高齢者10名,健常成人9名を対象とした。[方法]体幹の運動を伴わない上肢運動で到達可能と判断される距離(予測距離)を21方向で測定した。こうして測定した予測距離と上肢長(肩峰~中指先端)の差(絶対値)を上肢長で除した値(誤差率)について解析した。[結果]1)片麻痺患者の麻痺側による誤差率と非麻痺側による誤差率には差が認められず,2)片麻痺患者におけるこれらの誤差率は,健常成人および健常高齢者に比べて有意に高いことが明らかにされた。[結論]片麻痺患者は麻痺側にとどまらず非麻痺側にも運動イメージの障害を有することが強く示唆された。
  • 浅海 岩生
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 273-279
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]松葉杖を用いた部分荷重訓練で上下肢の筋活動がどのように働くかを検証することである。[方法]被験者は,健常者43名(平均年齢22.5歳)とした。測定は自作した荷重訓練システムを使用した。また大腿直筋,ハムストリングス,前脛骨筋,腓腹筋,大胸筋,上腕三頭筋,上腕二頭筋と腕橈骨筋で筋電図を測定した。荷重目標値は,被験者の体重の10~90%の範囲でランダムに提示し測定した。[結果]荷重側では腓腹筋の平均筋電位と荷重量に,非荷重側ではハムストリングスと荷重量に,上肢では大胸筋・上腕三頭筋と荷重量に有意な相関(p<0.01)を認めた。[結語]下肢部分荷重の調節は荷重側筋活動だけでなく非荷重側と上肢の筋活動も関与することが分かった。
  • 滝本 幸治, 宮本 謙三, 竹林 秀晃, 井上 佳和, 宅間 豊, 宮本 祥子, 岡部 孝生
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 281-285
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]地域の職能を有した人材資源を有効に活用した介護予防事業において,過去4年間に我々が介入してきた運動教室の効果検証を行った。[対象]過去4年間の運動教室参加者95名(平均年齢77.8±6.1歳,男性20名,女性75名)である。[方法]体力の総合的効果を検証できるよう,運動教室実施前後の体力測定値を得点化し,総合得点により比較した。得点化には,同市の高齢者健診の結果から作成した体力標準値を利用した。また,運動教室による効果の要因を検討するために,運動教室による効果あり群と効果なし群に分類し,運動教室開始時の体力を比較した。[結果]運動教室の前後で総合得点の有意な向上を認めた。また,効果あり群の教室開始時の総合得点が有意に低く,運動教室開始時の体力水準が低い者に運動効果があったと推察された。[結語]地域に根ざした高齢者運動教室の効果が認められたが,体力水準が低く且つ類似した体力の対象者を選定することによって,より有効な運動教室の運営が可能になることが考えられた。
  • 吉田 信也, 細 正博, 松崎 太郎, 荒木 督隆, 上條 明生, 坂本 誠
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 2 号 p. 287-291
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]ラット膝関節拘縮モデルを用い,拘縮時の坐骨神経周囲にどのような変化が見られるかを観察するため実験を行った。[対象と方法]9週齢のWistar系雄ラット26匹をコントロール群4匹と左後肢の膝関節を最大屈曲位にてギプス固定した固定群22匹とに分け,それぞれ2週間飼育した。飼育期間終了後,大腿骨の中間部の断面標本を作製した。染色はヘマトキシリン・エオジン染色を行い,光学顕微鏡下にて坐骨神経周囲を観察した。得られた結果はFisherの直接確率計算法にて統計処理した。[結果]固定群では坐位骨神経の神経束と神経周膜の密着および神経周膜の肥厚が有意に認められ,コントロール群ではこれらは観察されなかった。[結語]関節の不動は神経周囲組織にも影響を与えうることが明らかになった。
紹介
  • 三浦 和
    原稿種別: 紹 介
    2009 年 24 巻 2 号 p. 293-296
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    2005年から2007年までの2年間,青年海外協力隊員としてパキスタン・イスラム共和国の国立身障者総合病院で理学療法活動を行った。リハビリ部門強化のため理学療法科の充実を目標に,患者への理学療法の質の向上と,カウンターパート及びスタッフの指導,特に理学療法士22名への徒手を使った治療・評価方法の指導を行った。主な患者は,北部大地震の脊髄損傷の入院患者約90名であった。パキスタンの理学療法の現状と行ってきた活動について報告する。
  • 山崎 弘嗣
    原稿種別: 紹 介
    2009 年 24 巻 2 号 p. 297-301
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]最近の理学療法士による臨床推論とは何を指すのかを明らかにし,それはどのようにして学べるのかを論じることが目的である。[方法]臨床推論に関する英語圏の報告を調査した。[結果]臨床では診断学的推論以外の推論も重要であるというのが最近の見方である。また,症例検討ではどのような推論を報告するのかを明らかにするように求められていた。[結語]臨床推論は多様であるから個別の症例検討を通して推論を学ぶことが必要である。症例検討には推論過程を指摘するルールを用いることと,学習者がどのような推論を学んだかについて自覚的であることが重要である。
総説
  • 河西 理恵, 丸山 仁司
    原稿種別: 総 説
    2009 年 24 巻 2 号 p. 303-308
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    ジャーナル フリー
    [目的]現在,欧米を始めとする諸外国では,2:1ないしは3:1モデルの臨床実習(実習指導者1人に対し学生2名あるいは3名)が主流となっている。本総説の目的は,過去に欧米諸国で行われた2:1モデルの研究から,効果やメリットおよび問題点を検証することである。[方法]1990年以降に理学療法学科の学生を対象に行われた2:1ないしは3:1の臨床実習モデルに関する論文を検索した。検索にはMEDLINE,CINAHLを用いた。検索の結果,6論文(量的研究3編,質的研究3編)を抽出した。[結果]全ての論文が,2:1モデルの効果を示していた。メリットとして特に多く挙げられていたのが,協同学習とピアサポートであった。また,2:1モデルは従来の1:1モデルと比べても,メリットが多く,デメリットが少ないことが示唆された。一方,問題点として,学生の学力差や性格の違いといった指摘が多かった。[結語]今回の結果から2:1モデルの有効性はある程度示されたが,参加者や対象施設の少なさ,および論文数自体の少なさなどから,2:1モデルのエビデンスが十分に確立されたとは言い難い。今後の課題として,研究方法の改善や研究数自体を増やすとともに,近い将来,我が国独自の2:1モデルの研究が始まることを期待する。
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