抄録
〔目的〕立ち上がり動作での前方空間の有無が体幹と下肢に及ぼす影響を筋電図学的に検討し,前方空間が狭小した環境における立ち上がり動作時の留意点を得ること。〔対象〕健常成人男性6名を対象とした。〔方法〕前方空間を確保した環境と制限した環境での立ち上がり動作を行わせ動作時の筋活動について比較検討した。〔結果〕前方空間を制限した環境では,前方空間を確保した環境に比べて大殿筋の早い筋活動,前脛骨筋と大腿直筋の筋活動量の増加を認めた。〔結語〕前方空間が制限された環境での立ち上がり動作では,重心の上方移動が早い段階で必要となるため大殿筋の筋活動が早期に見られ,重心の後方逸脱を制御する戦略として大腿直筋と前脛骨筋の強い筋活動が必要となる可能性が示唆された。