2009 年 24 巻 5 号 p. 683-687
〔目的〕本研究の目的は,成人における浮き趾の発生状況を調査するとともに,健常例と浮き趾例における足趾機能について比較検討することである。〔対象〕整形外科疾患の既往のない成人女性55例を対象とした。〔方法〕測定項目は,Pedoscopeによる足底画像,足趾把持力,前方重心移動能力および足趾で正確な運動を行なわせる足趾運動調節能力(足趾運動時間と足趾運動効率)とした。以上の計測結果を健常例と浮き趾で比較検討した。〔結果〕Pedoscopeの画像より,健常例は20例,浮き趾例は15例であった。浮き趾例では正常例に比べ,有意に足趾把持力の低下,前方重心移動能力の低下,足趾運動時間の延長,足趾運動効率の低下がみられた。〔結語〕浮き趾例では,運動能力の低下に加え,感覚的要素を含む運動調節能力も低下していることが示唆された。