理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
24 巻 , 5 号
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原著
  • 大槻 桂右, 亀野 純, 渡辺 進
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 635-639
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕通所リハビリテーション(通所リハ)利用中の後期高齢者を対象とし,反復起立運動によって最大心拍数(maximum heart rate; HRmax)の60%(60%HRmax)ならびに70%(70%HRmax)への到達時の収縮期血圧(systolic blood pressure; SBP)および二重積(double product; DP)の変化とBorg指数の関係と分析することである。〔対象〕通所リハ利用中の14名(介護度中央値2.5,年齢83.6±4.5歳;平均±標準偏差,男性5名,女性9名)の後期高齢者を対象とした。〔方法〕5分間の安静椅子座位後,60%HRmaxと70%HRmaxに到達するまで反復起立運動を実施した。計測指標は心拍数(heart rate; HR),SBP,DPとした。〔結果〕60%HRmax到達時のBorg指数とSBP,DP,HRに有意な相関を認めた。70%HRmax到達時のBorg指数とSBP,DPの間に有意な相関を認めた。HRとBorg指数の間に有意な相関は認められなかった。〔結論〕反復起立運動においては,高い運動負荷ではDPも有用な指標になるのではないか,ということが示唆された。
  • 深谷 隆史, 永井 智
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 641-646
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は歩行立脚期における足関節に対するテーピングの効果及び近位関節への力学的影響について検証することを目的とした。〔対象〕過去に下肢関節疾患の既往歴を有しない健常男子大学生10名。〔方法〕裸足とテーピング施行の2条件下で歩行を行い,動作解析装置及び床反力計を用いてデータを収集し,立脚期における運動学的及び運動力学的データを算出した。〔結果〕テーピング施行により足関節の可動域は低値を示し,立脚初期と中期において,床反力と関節力が低値を示した。また,関節トルクでは,テーピング施行により接地点において股関節伸展トルクが有意に大きな値を示した。〔結論〕足関節のテーピングは歩行立脚期において,接地期から立脚初期における前後方向への力学的負荷に対する足部の制動効果と立脚初期における身体の前方への制御としての役割があることが考えられた。
  • 浅川 育世, 臼田 滋, 佐藤 弘行
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 647-652
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕国際生活機能分類(ICF)の個人因子を,理学療法士がどのように捉えているのかを明らかにすることを目的とした。〔対象と方法〕茨城県内に勤務している理学療法士を対象に郵送によるアンケート調査を実施した。最終的な分析対象者を脳血管疾患及び整形疾患を通常業務で対象としている者とし,本研究で想定した個人因子は12項目とした。〔結果〕疾患の違いによる個人因子の捉え方についての差はなかった。取り扱った12の個人因子について,明らかに個人因子ではないと思われているものは見られなかった。12項目について因子分析を行った結果,これら12項目は「個人の背景」,「個人の生活」,「個人の性格」,「個人の身体特性」の4因子に分類が可能であった。「個人の身体特性」を表す個人因子 については心身機能へ最も影響を及ぼしやすいと考えられ,回答者の殆どが予後や転帰に影響すると答えていた。同様に「個人の性格」,「個人の生活」を表す個人因子も回答者の殆どが予後や転帰に影響すると答えていた。しかし,「個人の背景」に関する個人因子は影響するものと影響しないと捉えられているものとが見られた。学歴は特に低値を示しており,一方生育歴は比較的高かった。〔結語〕二つの疾患において,ほとんどの個人因子が予後や転帰に影響を及ぼす因子として考えられていることが明らかになった。
  • 木元 稔, 野呂 康子, 加藤 千鶴, 近藤 堅仁, 中野 博明, 松嶋 明子, 坂本 仁, 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 653-658
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は脳性麻痺児(以下,CP児)を対象として,歩行時の効率を示す指標であるPhysiological Cost Index(以下,PCI)とTotal Heart Beat Index(以下,THBI)の再現性を検討することである。〔対象〕対象は実用歩行が可能な痙性両側麻痺型脳性麻痺児8名とした。年齢の平均値±標準偏差は11.3±3.5歳(範囲:6歳7ヶ月~17歳11ヶ月)であった。〔方法〕第1日目に安静時脈拍数と,10分間の歩行中の脈拍数と歩行距離を測定し, 得られたパラメーターをそれぞれ平均した。測定を第1日目に2回行い,3~7週間後(以下,第2日目)さらに1回測定した。第1日目と第2日目のPCIとTHBIから,級内相関係数(intraclass correlation coefficient;以下,ICC)並びにsmallest detectable difference(以下,SDD)を求めた。〔結果〕PCIにおけるICC1,2とSDD%は0.55と80.8%であり,THBIにおいて0.90と25.8%であった。〔結語〕THBIのICC1,2がPCIのそれよりも高く,またSDD%がPCIのそれよりも低かったため,CP児における歩行時の効率を示す指標として,THBIのほうがPCIよりも再現性が高いと考えられた。
  • 澤田 優子, 鈴木 雄介, 丸尾 優子, 岡島 聡, 布川 知史, 福田 寛二
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 659-663
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕急性期脳卒中リハビリテーション患者の退院転帰の関連因子を抽出する。〔方法〕急性期脳卒中リハビリテーション患者61名を対象とした関連要因分析を行った。〔結果〕退院転帰別分析では自宅退院群は開始時FIMが高値であり,その他の群では低値であった。退院時には回復期病院転院群のFIMが一般病院転院群のFIMに比べて高かった。〔結語〕開始時FIMが高値であった者は自宅退院の可能性を加味した日常生活動作指導及び環境整備が必要とされる。また,FIM変化をより早期に把握し,転院先を予測することが必要である。
  • 松本 浩実, 山本 吉藏, 持田 美希
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 665-668
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕THA後早期の股関節外転筋力,歩行時の中殿筋筋活動,歩行機能回復の推移を調査した。〔対象と方法〕対象は7名(70.6±8.2歳)の末期の股関節OA女性であった。術式は前外側アプローチであった。筋力測定はマスキュレーターを用い,中殿筋の最大随意収縮と歩行時筋活動は表面筋電図で計測した。〔結果〕股関節外転筋力は術前に対し,術後3~4週にて低値を示したが術後5週にて術前値まで回復した。歩行時の中殿筋%MVCは術前,術後に変化がなかった。歩行速度は術前に対して術後 5週にて高値を示した。〔結語〕歩行能力は高齢THA患者でも入院中に術前より改善する可能性があるが,中殿筋の器質的な機能低下は術後早期には改善されないことが示唆された。
  • 小原 謙一, 新小田 幸一, 渡邉 進, 江口 淳子, 藤田 大介, 西本 哲也
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 669-673
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,ヘッドサポートの有無と頭頸部の角度が椅子上安楽座位における臀部ずれ力に及ぼす影響を検討することを目的として行った。〔方法〕対象は,健常成人男性13名(21.2±0.9歳)であった。実験は,ヘッドサポートの有無の2条件と,頭頸部後傾角度を0度,20度,40度とする3条件の組み合わせによる合計6条件で行った。臀部ずれ力の測定は床反力計を用いて行った。統計学的解析には,二要因とも対応のある二元配置分散分析を用い,危険率5%未満をもって有意とした。〔結果〕臀部ずれ力は,ヘッドサポート無しでは後傾角度の増加に伴って増大していたが,ヘッドサポート有りでは大きな変動は認められなかった。ヘッドサポートの有無と頭頸部後傾角度には有意な交互作用が認められた。〔結語〕本研究の結果から,椅子座位で生じる臀部ずれ力を低減するには,ヘッドサポートを利用するだけではなく,ヘッドサポートの角度の調整が必要であることが示された。
  • 松永 秀俊, 山野 薫, 上田 周平, 村田 伸, 吉澤 隆志, 武田 功
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 675-678
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動後,伸張強度が筋に与える影響について書かれたものは散見する程度であり,運動療法施行上,核心が無いままで行われているのが現実である。そこで,我々は筋伸張強度と筋の回復効果との関連について検討した。〔方法〕運動負荷後,異なった強度での伸張運動を行い,時間の経過と共に筋硬度および体表温度の変化を計測し,それを基に効果判定を行った。〔結果〕筋伸張強度の違いによる筋の回復効果には一部有意な差を認めた。〔結語〕運動負荷後の筋の回復には強い伸張で行う必要はなく,軽い伸張でも十分効果的である可能性が示唆された。
  • 南角 学, 坪山 直生, 神先 秀人, 中村 孝志
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 679-682
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,転倒時の衝撃期に加わる外力と転倒中の中殿筋の筋活動の関連性について検討することである。〔方法〕健常成人11名を対象とし,床反力計に敷いた厚さ13 cmのマット上に,静止立位から側方,45°斜め後方,後方への自発的な転倒を行わせた。転倒過程を3次元動作解析装置で計測するとともに,転倒時の衝撃期に加わる最大反力値と転倒中の中殿筋の筋活動を計測した。〔結果〕転倒時の衝撃期に加わる外力の大きさは2000~4000 Nであった。転倒中の中殿筋の平均筋活動量は最大収縮時の20~40%で,各転倒方向間で有意な差は認められなかった。しかし,各転倒方向における中殿筋の平均筋活動量と衝撃期に加わる外力との間には有意な正の相関関係が認められた。〔結語〕転倒中の中殿筋の筋活動の増加は,衝撃期に加わる外力を増す直接の要因の一つとなることが示唆された。
  • 福山 勝彦, 小山内 正博, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 683-687
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,成人における浮き趾の発生状況を調査するとともに,健常例と浮き趾例における足趾機能について比較検討することである。〔対象〕整形外科疾患の既往のない成人女性55例を対象とした。〔方法〕測定項目は,Pedoscopeによる足底画像,足趾把持力,前方重心移動能力および足趾で正確な運動を行なわせる足趾運動調節能力(足趾運動時間と足趾運動効率)とした。以上の計測結果を健常例と浮き趾で比較検討した。〔結果〕Pedoscopeの画像より,健常例は20例,浮き趾例は15例であった。浮き趾例では正常例に比べ,有意に足趾把持力の低下,前方重心移動能力の低下,足趾運動時間の延長,足趾運動効率の低下がみられた。〔結語〕浮き趾例では,運動能力の低下に加え,感覚的要素を含む運動調節能力も低下していることが示唆された。
  • 明崎 禎輝, 川上 佳久, 平賀 康嗣, 野村 卓生, 佐藤 厚
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 689-692
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,書字練習方法として,なぞり書練習と写字練習を比較し,なぞり書練習が書字正確性を向上させるために有用であるか検討した。〔対象〕健常者20名(男性10名,女性10名,年齢30.3歳)とした。〔方法〕対象者を介入A,介入Bに分類し,書字練習を行った。介入Aは規定文章の上にトレーシングペーパーを重ね,その上から写っている文字に反復してなぞり書練習を行った。介入Bは規定文章を白紙の横に並べ,白紙に反復した写字練習を行った。書字評価は書字正確性と書字時間を測定した。〔結果〕練習前後において,介入Aのみ書字正確性に有意な向上が認められた。〔結語〕なぞり書練習は,非利き手による書字正確性を向上させるために有用な練習方法であることが示唆された。
  • 山崎 裕司, 祖川 稔史, 平賀 康嗣, 片山 訓博, 重島 晃史, 高地 正音
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 693-696
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,固定用ベルトを併用したHand-Held Dynamometerに用いられるセンサーパッドの形状が,等尺性膝伸展筋力値に与える影響について検討した。〔対象〕健常成人36名(男性18名,女性18名,年齢20.5±1.7歳)の右脚であった。〔方法〕センサーパッドは,従来から使用されていたパッド(旧パッド)と今回作成した新パッドの2種類である。新パッドは旧パッドと比較して,厚く,曲面半径が小さく設計されている。2種類のパッドを用いて同日に筋力測定を実施し,測定値,測定時疼痛,測定値の再現性について比較検討した。〔結果〕膝伸展筋力値は,新パッド,旧パッドの順に1日目51.4±14.7,47.3±14.6 kgf,2日目51.9±15.3,47.9±14.0 kgfであり,両日とも新パッドにおいて有意に高値を示した。パッド接触面での疼痛は,新パッドにおいて有意に低値を示した。1日目と2日目の測定値の級内相関係数は新パッド,旧パッドの順に 0.91,0.94であり,いずれも良好な検者内再現性を示した。〔結語〕センサーパッドの形状は等尺性膝伸展筋力値と測定時の疼痛に強く影響していた。膝伸展筋力測定に際しては,十分な厚さと適切な形状をもったパッドを利用すべきである。
  • 仲保 徹, 山本 澄子
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 697-701
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脊柱後彎が胸郭運動に与える影響を明らかにするため,前かがみ座位による脊柱後彎位で,3次元動作解析装置を用いて吸気に伴う胸郭の運動を測定した。〔対象〕対象は健常成人14名とした。〔方法〕深呼吸時の胸郭運動を体表に貼付したマーカーの変位量にて測定し,直立座位と前かがみ座位の2姿勢の比較を行った。〔結果〕その結果,腹側の上位胸郭の運動が直立座位に比べ前かがみ座位で有意に少なかった。〔結語〕脊柱後彎位では,上位胸郭の吸気に伴う前上方への運動が制限されることが明らかになり,換気障害の1要因になりえることが示唆された。
  • 相馬 正之, 島村 亮太, 安彦 鉄平, 植松 寿志, 川間 健之介
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 703-707
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,高齢者における障害物を跨ぐ際の足尖・障害物間距離と転倒経験の有無と主観的つまずき易さとの関係について明らかにすることである。〔対象〕対象は健常女性,地域在住の高齢者30名とした。〔方法〕調査・測定項目は,聞き取り調査と障害物を跨ぐ運動課題とした。聞き取り調査は,過去1年間の転倒経験の有無と主観的なつまずき易さを聴取した。障害物を跨ぐ運動課題は,9 m歩行路の中間地点に設置された木製の高さ2 cm,幅80 cm,奥行き15 cmの障害物跨ぎ動作とし,足尖・障害物間距離を測定した。〔結果〕聞き取り調査の結果から転倒経験群,転倒未経験群,主観的つまずき易さあり群,なし群に分類し,それぞれMann-whitneyのU検定を行った結果,足尖・障害物間距離に有意差が認められなかった。〔結語〕転倒経験や主観的つまずき易さは,足尖・障害物間距離の減少ではなく,間接的に他の要因と重なることで生じることが示唆された。
  • 奥 壽郎, 廣瀬 昇, 加藤 宗規, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 709-713
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者疑似体験装具(以下,装具)を用いた体幹・下肢屈曲姿勢の歩行で,杖の使用が体幹・下肢筋筋活動に与える影響を検討することである。〔対象〕若年健常者9名(男性6名・女性3名,平均年齢20.3±0.5歳)を対象とした。〔方法〕装具を装着しないで杖を使用しない(体幹・下肢屈曲姿勢をとらない)歩行(以下,条件A),装具を装着して杖は使用しない(体幹・下肢屈曲姿勢をとる)歩行(以下,条件B),装具を装着して杖を使用する(体幹・下肢屈曲姿勢で杖を使用する)歩行(以下,条件C)の3条件の表面筋電図を測定した。検査筋は,脊柱起立筋・大殿筋・中殿筋・大腿直筋・大腿二頭筋・前脛骨筋・腓腹筋とした。〔結果〕条件Aより条件Bでは,脊柱起立筋・大殿筋・中殿筋・大腿二頭筋・腓腹筋において有意に筋放電の増大を示した。条件Bと条件Cでは,すべての検査筋において有意差は認められなかったが低値を示した。条件Aより条件Cでは,脊柱起立筋・大殿筋・中殿筋において有意に筋放電の増大を示した。〔結語〕本分析では,筋活動に対して装具の影響は明らかなものの,杖を影響を検出するまでには至らずさらに検討が必要と思われた。
  • 寺田 茂, 宮田 伸吾, 松井 伸公
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 715-719
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕求心性収縮(COC)と遠心性収縮(ECC)時の収縮特性を筋酸素動態の変化から検討した。〔対象〕健常男性16名を対象とした。〔方法〕等速性運動機器を使用しCOC,ECCでの膝関節屈伸運動を行い,同時に近赤外線分光装置にて外側広筋の筋酸素動態の変化を記録した。得られたデータより,運動中の酸素飽和度(SdO2)最下点までの低下量,SdO2最下点までの到達時間,SdO2の回復時間を算出し,COC,ECC間で検討した。〔結果〕筋力はECCの方が高値であった。筋酸素動態では低下量は有意差を認めず,最下点到達時間はECCの方が遅く,回復時間は短かった。〔結語〕ECCではCOCよりも総仕事量が多いにもかかわらず酸素飽和度の低下は遅く,回復が早いという結果となった。これはECCでは機械的効率が高く,また筋血流量は比較的維持されていたためであると思われた。
  • 阿部 勉, 橋立 博幸, 島田 裕之, 大沼 剛, 鈴木 隆雄
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 721-726
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,地域在住高齢者を対象にLife-Space Assessment(LSA)を用いて活動量と身体機能およびIADLとの関連性を検証することを目的とした。〔対象〕対象は都市部に在住する地域在住高齢者411人(平均年齢76.7±5.3歳)であった。〔方法〕活動量の指標としてLSA,ならびにその下位項目であるIndependent Life-Space(LS-I),Life-Space using equipment(LS-E),Maximal Life-Space(LS-M)を調査した。また,質問紙調査として,要介護認定の有無とともに,健康状態,身体機能,IADLに関する項目について面接にて聴取した。〔結果〕LS-I,LS-E,LS-Mの値はいずれも約95%以上の者が5点満点を示し,LSAにおいても平均92.7点と高い値であった。LSAを5歳の年齢階級別に比較した結果,85歳以上の群におけるLSAは,65-69歳,70-74歳,75-79歳の各群に比べ,有意に低かった。また,健康状態,身体機能,IADLの状況によってLSAを比較した結果,「要介護認定あり」,「転倒恐怖感あり」,「健康感なし」,「3種以上の服薬あり」,「1 km歩行不可」,「5 m歩行時間が基準値以上」,「爪先立ち不可」,「握力が基準値以下」,「1人での外出が不可」,「趣味・稽古事なし」,「辞めた趣味あり」の各群においてLSAは有意に低い値を示した。〔結語〕以上の結果から,都市部に在住する高齢者は活動範囲が広く,活動量が高いものの,加齢によって低下することが示唆された。また,LSAは移動機能に必要な身体機能や健康状態,移動機能の必要性の高いIADLといった諸因子とより密接に関連し,高齢者における活動量の評価指標として有用であることが明らかになった。
  • 井平 光, 古名 丈人, 牧迫 飛雄馬, 宮部 瑶子
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 727-732
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,難易度の異なる片脚立位時において,身体動揺としての加速度変化とプローブ反応時間の関係を検討することである。〔対象〕対象者は健常成人10名(男性6名,女性4名,平均年齢;22.4±1.0歳)とした。〔方法〕対象者は,両脚立位,平地片脚立位,バランスマット3枚上での片脚立位,バランスマット5枚上での片脚立位の4条件で二重課題を課せられた。プローブ反応時間は聴覚反応課題にて測定し,身体動揺は加速度計を使用して測定した。〔結果〕身体動揺は両脚立位で最も小さく,次いで平地片脚立位,バランスマット3枚,バランスマット5枚の順で身体動揺が大きかった。プローブ反応時間は,身体動揺の増加した順序で遅延した。〔結語〕先行研究と同様に,身体動揺の増加に伴ってプローブ反応時間が遅延することが確認された。
  • 中林 紘二, 水野 健太郎, 兒玉 隆之, 甲斐 悟, 高橋 精一郎, 廣瀬 伸一, 高嶋 幸男
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 733-736
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕発達期神経細胞に強く発現するPGP9.5抗体を用いて,PVL症例の大脳における発達を明らかにすることを目的とし,神経の可塑性と再生について考察した。〔対象〕慢性期PVLを認めた剖検ヒト脳組織15例(在胎24週から生後2歳1ヶ月)とした。〔方法〕PGP9.5抗体を用いて免疫組織化学的染色を行った。蛋白の発現を半定量的組織化学的に判定し,正常発達群との比較検討を行った。〔結果〕PGP9.5に対する免疫反応はPVLのタイプによって異なっていた。限局型における大脳皮質錐体細胞層ではPGP9.5陽性細胞は減弱していた。また,顆粒細胞層ではPGP9.5陽性細胞は増強していた。また,PVL病巣内部および周囲の大脳白質においてもPGP9.5免疫反応が増強して観察された。〔結論〕慢性期PVL症例における免疫反応増強は,損傷されたPVL病巣組織に代償する可塑性像と考えられた。
  • 田中 亮, 戸梶 亜紀彦
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 5 号 p. 737-744
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,我々が開発を進めている「欲求の充足に基づく顧客満足測定尺度(Customer Satisfaction Scale based on Need Satisfaction: CSSNS)」の因子的妥当性を検証するために,検証的因子分析を行って因子構造モデルの適合度を検討することである。〔対象〕対象は,リハビリテーションサービスの利用者311名とした。〔方法〕CSSNSの因子構造モデルとして仮定した斜交モデル,直交モデル,二次因子モデルの適合度を検討するために,構造方程式モデリングによる検証的因子分析を行った。〔結果〕分析の結果,モデル適合度の絶対的指標であるCFIとRMSEAが基準値以上を示したモデルは,斜交モデルと二次因子モデルであった。さらに,モデル適合度の相対的指標であるAICを比較した結果,斜交モデルは二次因子モデルよりも適合が良いことが示された。〔結語〕CSSNSの因子的妥当性は斜交モデルにおいて検証された。
症例研究
  • 本田 憲胤, 松岡 俊樹, 澤田 優子, 中野 直樹, 林 淑文, 東本 有司, 福田 寛二, 大城 昌平
    原稿種別: 症例研究
    2009 年 24 巻 5 号 p. 745-750
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本症例研究は,片側巨脳症により機能的左大脳半球切除術を施行した症例に対し,両上肢への他動運動が大脳皮質活動に及ぼす影響を,近赤外線分光法を用いて検討し,術後の麻痺の回復過程とあわせて考察した。〔対象〕生後6ヶ月の男児で,生後4ヶ月時に痙攣出現し,薬物療法の効果が少なく発達退行が見られたため,生後6ヶ月時に機能的左大脳半球切除術を施行し,理学療法を術後第4病日より実施した。〔方法〕術後第10病日,第20病日,第33病日の3回,近赤外線分光法near-infrared spectroscopyによる光トポグラフィ装置を用いた局所脳血流の変化,発達検査(遠城寺式発達検査法の上肢運動項目),運動機能評価を行った。〔結果〕右上肢他動運動による感覚運動刺激によって,同側の右大脳皮質感覚運動野の脳血流が経時的に増加し,併せて運動発達,および運動機能の回復も確認された。〔結語〕一側大脳半球障害がある場合,運動下行路は同側性(脳障害対側)に機能代償が生じるとされるが,感覚上行路も同様に,同側性求心路の機能代償がおこり,同側性支配の重要性を示した。
短報
  • 小野 武也, 戸増 菜穂, 沖 貞明, 梅井 凡子, 白岩 加代子, 十河 正典, 大塚 彰
    原稿種別: 短 報
    2009 年 24 巻 5 号 p. 751-753
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的はターニケットによる駆血時間の違いがラットヒラメ筋の萎縮に与える影響を明らかにすることである。〔対象・方法〕8週齢のWistar系雌ラットを,30分駆血群,60分駆血群,90分駆血群に分けた。実験期間は2週間とした。3群とも実験初日に右後肢の駆血を行った後,2週間ギプス固定した。〔結果〕その結果,駆血によるヒラメ筋線維径の減少は60・90分の駆血で発生することが明らかとなった。一方,ヒラメ筋相対体重比は,駆血時間の違いによる影響が認められなかった。〔結語〕駆血時間の違いは筋萎縮に影響を与えること,また60分の駆血は筋萎縮を惹起することを明らかにした。
総説
  • 丸山 裕司
    原稿種別: 総 説
    2009 年 24 巻 5 号 p. 755-759
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,男性高齢期における体力の変化を検討することを目的とした。〔対象〕対象は老人クラブリーダー研修会に参加した男性高齢者816名(71.8±3.8歳)である。〔方法〕体力テスト(握力,上体起こし,長座体前屈,開眼片足立ち,10 m障害物歩行,6分間歩行)を実施し,年齢と体力テストの結果を検討した。〔結果〕体力と年齢の相関においては,全項目で有意な相関(p<.05)が認められた。特に,開眼片足立ちの結果が大きな低下を示した。〔結語〕意欲的に社会活動に参加していると考えられる老人クラブのリーダーであっても年齢が上がるに連れ,体力特に平衡機能が大きく低下する傾向が示唆された。
  • 石井 秀明, 西田 裕介
    原稿種別: 総 説
    2009 年 24 巻 5 号 p. 761-766
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    理学療法において,スキルの向上を図ることは重要である。スキルの向上の要素の一つの要因として,いかに疲労せずに課題を遂行できるかということが含まれる。しかし,疲労のメカニズムは,未解明のままである。そのため,理学療法プログラムの立案の際には,頭を悩ます問題である。そこで,疲労のメカニズムを解明することは重要であると考えられる。本稿では,疲労のメカニズムの定説であった末梢性疲労モデルの基礎であるHillらの研究から疲労の原因を明確にし,最新の研究から末梢性疲労モデルの限界を示唆する。そして,脳科学からみた新たな疲労のメカニズムを紹介し,その新たな疲労のメカニズムの理学療法への応用を紹介する。
  • 解良 武士, 古泉 一久
    原稿種別: 総 説
    2009 年 24 巻 5 号 p. 767-775
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    最近,マラソンブームもあり持久系競技選手への呼吸筋トレーニングが注目されるようになった。しかし持久系競技選手に対する呼吸筋トレーニングの是非については議論されるところである。これまでのところ呼吸筋トレーニングによって持久性運動パフォーマンスが向上した報告と呼吸筋機能は向上しても持久性運動パフォーマンスは向上しない報告の双方がある。本稿は呼吸筋機能と持久性体力との関係,これまでの持久系競技選手への呼吸筋トレーニングに関する研究を解説し,持久系競技選手への呼吸筋トレーニングについて考察する。
  • 竹内 真太, 西田 裕介
    原稿種別: 総 説
    2009 年 24 巻 5 号 p. 777-784
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/25
    ジャーナル フリー
    効率の良い動作の獲得は理学療法分野においても重要な課題の一つである。ヒトの歩行や走行などのリズミックな運動中,心拍リズムと運動リズムが近づいた際,2つのリズムが同期現象(CLS)を示すことが報告されている。CLSの生理学的意義として(1)活動筋への最大血流量の増加,(2)心臓後負荷の軽減,(3)静脈還流量の増加に伴う1回拍出量の増加,が考えられている。また,最近の研究より,CLSがリズミック運動中の心血管系と活動筋の協応を示していることが示唆された。そのためCLSは,運動中の血液循環の最適化を目的とした理学療法に応用できる可能性がある。本稿では,2001年以降のCLSに関する文献を中心に,CLSの解析方法,発生機序,生理学的意義について解説し,理学療法への応用の可能性について論じる。
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