理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
杖の使用が歩行時体幹・下肢筋筋活動に与える影響
─高齢者擬似体験装具を用いた検討─
奥 壽郎廣瀬 昇加藤 宗規丸山 仁司
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2009 年 24 巻 5 号 p. 709-713

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抄録
〔目的〕高齢者疑似体験装具(以下,装具)を用いた体幹・下肢屈曲姿勢の歩行で,杖の使用が体幹・下肢筋筋活動に与える影響を検討することである。〔対象〕若年健常者9名(男性6名・女性3名,平均年齢20.3±0.5歳)を対象とした。〔方法〕装具を装着しないで杖を使用しない(体幹・下肢屈曲姿勢をとらない)歩行(以下,条件A),装具を装着して杖は使用しない(体幹・下肢屈曲姿勢をとる)歩行(以下,条件B),装具を装着して杖を使用する(体幹・下肢屈曲姿勢で杖を使用する)歩行(以下,条件C)の3条件の表面筋電図を測定した。検査筋は,脊柱起立筋・大殿筋・中殿筋・大腿直筋・大腿二頭筋・前脛骨筋・腓腹筋とした。〔結果〕条件Aより条件Bでは,脊柱起立筋・大殿筋・中殿筋・大腿二頭筋・腓腹筋において有意に筋放電の増大を示した。条件Bと条件Cでは,すべての検査筋において有意差は認められなかったが低値を示した。条件Aより条件Cでは,脊柱起立筋・大殿筋・中殿筋において有意に筋放電の増大を示した。〔結語〕本分析では,筋活動に対して装具の影響は明らかなものの,杖を影響を検出するまでには至らずさらに検討が必要と思われた。
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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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