理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
健常成人の痛みに影響を与える要因についての一考察
前岡 浩冷水 誠庄本 康治嶋田 智明
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2009 年 24 巻 6 号 p. 859-865

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抄録

〔目的〕本研究の目的は,電気刺激にて客観的に痛みの耐性を測定し,痛みの耐性と臨床的評価尺度における痛みの感覚的および情動的側面についての関連因子を検討することである。〔対象〕研究対象は健常学生30名とした。〔方法〕痛み耐性と知覚閾値の客観的測定にNeurometerを使用した。本研究では250 Hz,5 Hzの異なる周波数刺激を使用することでAδ線維,C線維の選択的興奮が得られるようにした。そして,測定項目は,最大電気刺激量である痛み耐性閾値(PTT値)および最小電流知覚閾値(CPT値),臨床的評価尺度には,Visual Analogue Scale(VAS)およびMcGill Pain Questionnaire(MPQ)を使用した。〔結果〕PTT値とMPQの痛みに対する不快感などを示す質的要素の項目を中心に相関が認められた。また,PTT値とVASおよびPTT値とCPT値に関連が認められず,VASとCPT値に相関が認められた。〔結語〕痛み耐性には情動的側面の関与が示され,持続的な強い痛みの評価では質的要素の影響がどの程度であるかを評価する必要性が示唆された。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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