2010 年 25 巻 5 号 p. 721-727
〔目的〕本研究の目的は,mental rotationを用いた運動イメージ想起中の脳内神経活動部位を検証し,LORETA解析の有用性を検討することとした。〔対象〕視覚障害のない健常者24名(男性13名,女性11名,平均年齢22.7±3.4歳)とした。〔方法〕運動イメージ(手および足)写真に対する左右判断を課題としたmental rotation中のERPsを求め,課題施行中の脳内神経活動をLORETA解析により検討した。〔結果〕手および足の課題では,運動イメージ想起中に前頭葉,前帯状回の有意に高い神経活動を認めた。さらに手の課題では下側頭回,扁桃体の有意に高い神経活動も認めた。〔結語〕LORETA解析により,mental rotationにおける運動イメージ想起中の脳内神経活動は,実際の手や足の運動時と類似した神経活動を示すことが明らかとなり,認知機能や情動反応を担う神経活動部位の関与の可能性も示唆された。