2011 年 26 巻 2 号 p. 291-296
〔目的〕人工膝関節全置換術(TKA)による回復過程を検討するために,身体機能および健康関連QOL(HRQOL)を調査した.〔対象〕TKA術後リハを実施した変形性膝関節症患者40膝とした.〔方法〕身体機能評価にはTimed Up and Go test(TUG),膝伸展筋力,開眼片脚起立時間を測定し,HRQOL評価には準WOMACとSF-36を用いた.〔結果〕身体機能の全項目において術後3ヶ月で有意に改善した.準WOMACの痛みとSF-36の身体機能,体の痛み,全体的健康感,社会生活機能は術後1ヶ月で有意に改善し,さらに術後3ヶ月で準WOMACの機能も有意に改善した.開眼片脚起立時間を除く身体機能とHRQOLの全項目は,変化量と初期値との間に有意な負の相関を認めた.〔結語〕TKAによりHRQOLは術後1ヶ月で改善し,術後3ヶ月では身体機能が改善することが示唆された.