2012 年 27 巻 4 号 p. 357-361
〔目的〕常圧低酸素環境における低強度運動時の呼吸循環代謝応答を測定し,エネルギー代謝に与える影響について検討した.〔対象〕健常成人男性13名.〔方法〕通常酸素濃度条件(1.0 atm,酸素濃度20.9%)と常圧低酸素条件(1.0 atm,酸素濃度14.5%)を設定した.両条件下でATポイントの70%負荷による自転車エルゴメータ運動を行った.実験中,酸素飽和度,心拍数,呼気ガスデータを測定した.〔結果〕低酸素条件では,通常酸素条件に比べ,運動時心拍数,分時換気量が有意に高値を示した.低酸素条件は,通常酸素条件に比べ,脂肪酸化率は有意に低かった.逆に,ブドウ糖酸化率は有意に高く,エネルギー代謝は亢進していた.〔結語〕常圧低酸素環境下の運動によって,糖質利用が促進される可能性が示唆された.