抄録
〔目的〕目標物の位置が座位リーチ動作の姿勢調節に及ぼす影響を検討した.〔対象〕若年健常成人10名とした.〔方法〕三次元動作解析装置と床反力計を使用し,目標物へ右手を伸ばすというリーチ動作課題を行わせた.目標物は正中側,対側,同側の3方向を設定し,骨盤と体幹の角度と相対角度を求めるとともに体幹質量中心と床反力作用点の関係について調べた.〔結果〕骨盤に対する体幹の相対角度は,3方向ともに左回旋角度を示したが,骨盤の側屈角度については対側,正中側で左側屈,同側で右側屈を示した.体幹質量中心はリーチ時に上肢の移動側に移動するが,床反力作用点はリーチ開始時に質量中心の動きと反対方向に動くことがわかった.〔結語〕体幹各体節と合成床反力を変化させることで,目標物の位置の違いによる姿勢調節を可能にしていることが示唆された.