理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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28 巻, 2 号
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原 著
  • 大角 哲也, 新谷 和文, 臼田 滋
    2013 年 28 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中患者におけるDual-Taskの指示の仕方の違いによるパフォーマンスへの影響を検討すること.〔対象〕歩行が自立または監視下で可能な脳卒中患者47名とした.〔方法〕Dual-Taskは10 m歩行テストと3桁の数字の逆唱の同時遂行とし,指示の仕方を「歩行と逆唱の両方に同じぐらい集中して下さい」(Dual-Task Complex:DTC)と「主に逆唱に集中して下さい」(Dual-Task Backward digit span:DTB)の2種類で計測した.〔結果〕DTCに比較してDTBにて歩行速度,ケイデンスが低下し,逆唱の回答数,正答数が増加した.〔結語〕脳卒中患者を対象に転倒予測や歩行能力の評価指標としてDual-Taskを用いる場合には,指示の仕方を明確に規定する必要がある.
  • ―クロスオーバーデザインによる検討―
    三谷 保弘
    2013 年 28 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,虚弱高齢者に対する乗馬シミュレータを用いた運動介入効果を検討した.〔対象〕虚弱高齢者28名とした.〔方法〕乗馬シミュレータを用いた運動介入期間と非介入期間をそれぞれ12週間設定し,各期間の前後に開眼片足立ち時間,Functional Reach Test,5 m歩行テスト,Timed Up and Go Test,胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙椎傾斜角を測定した.〔結果〕胸椎後弯角を除く全ての測定項目に有意な改善が認められた.〔結語〕乗馬シミュレータを用いた運動介入は,虚弱高齢者の運動機能と脊柱アライメントの改善に有効であることが示唆された.
  • 宮原 拓也, 平林 弦大
    2013 年 28 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕重症者におけるADL改善項目の検討を目的とした.〔対象〕入棟時FIM-M 50点未満の脳卒中症例のうち,除外基準を満たさなかった77名とした.〔方法〕後方視的に年齢,性別,疾患名,発症から入棟までの日数,回復期入棟日数,発症から退院までの日数,在院日数とFIMを収集した.解析は,退院直近のFIM-Mが50点以上であったものを改善群,50点未満であったものを非改善群とし,2群比較を実施した.その後,従属変数を改善・非改善,独立変数をFIM利得とした多重ロジスティック回帰分析を実施した.〔結果〕多重ロジスティック回帰分析では,更衣下衣利得と移動利得がモデルに採用された.〔結語〕更衣下衣と移動がADL改善項目となり,着目すべき項目と考えられた.
  • 山野 薫, 石井 禎基, 秋山 純和
    2013 年 28 巻 2 号 p. 171-181
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕急性期病院における理学療法(PT)部門のリスクマネジメント(RM)の環境について客観的に類型化し,現状を把握することである.〔対象〕福祉保健医療情報ネットワーク事業の登録病院8,818施設の中から診療科目,および検査・治療条件で検索し,自動的に抽出された247施設とした.〔方法〕病院とPT部門の構成,RM機器,帳票類,病院機能評価の認定,PT部門の看護師の有無を郵送法により調査し,クラスター分析によって類型化した.〔結果〕有効回答は148施設で,7つのクラスターに類型化できた.部門内の施策の多寡に伴って,病床数に有意差がみられた.RMの配置機器の種類によって職員数に有意差がみられた.〔結語〕各クラスターの特徴は、PT施設の設置基準や特定機能病院の承認に左右される部分があった.
  • 岩下 篤司, 小西 有人, 吉田 正樹
    2013 年 28 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ペダリングとトレッドミル歩行,スクワット時の下肢筋活動量を比較検討することとした.〔対象〕健常成人9名とした.〔方法〕筋電図を用い,仕事率60 Wと120 Wでのペダリング,4 km/hと6 km/hでのトレッドミル歩行,60回/分でのスクワットの動作における筋活動量を計測した.〔結果〕歩行時と比較した筋活動量を見ると,大腿四頭筋ではスクワットとペダリング(120 W)で,腓腹筋は歩行(6 km/h)で,ハムストリングスは歩行(6 km/h)とペダリング(120 W)で,前脛骨筋は歩行(6 km/h)やスクワット動作でそれぞれ高値を示した.〔結語〕大腿筋群の強化にはペダリングとスクワットがよく,またペダリングとスクワットでは腓腹筋が,ペダリングでは前脛骨筋が歩行よりも筋活動が少なく訓練効果が少ない.
  • 三谷 保弘
    2013 年 28 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕乗馬シミュレータを用いた運動介入が大学生の歩行能力に及ぼす影響について検討することである.〔対象〕健常大学生29名とした.〔方法〕対象者を乗馬シミュレータによる運動を行う群(14名)と行わない群(15名)の2群に無作為に割り付けた.介入期間は4週間とした.各群において介入期間の前後に実施された10 m歩行テストの各測定値を比較した.〔結果〕運動を行った群では,最大歩行での歩行時間の短縮と歩行率の増大が認められた.〔結語〕乗馬シミュレータを用いた運動介入は,大学生の歩行能力の一部を改善させる.
  • ―健常者における体幹機能の分析―
    小峰 一宏, 山本 澄子
    2013 年 28 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕目標物の位置が座位リーチ動作の姿勢調節に及ぼす影響を検討した.〔対象〕若年健常成人10名とした.〔方法〕三次元動作解析装置と床反力計を使用し,目標物へ右手を伸ばすというリーチ動作課題を行わせた.目標物は正中側,対側,同側の3方向を設定し,骨盤と体幹の角度と相対角度を求めるとともに体幹質量中心と床反力作用点の関係について調べた.〔結果〕骨盤に対する体幹の相対角度は,3方向ともに左回旋角度を示したが,骨盤の側屈角度については対側,正中側で左側屈,同側で右側屈を示した.体幹質量中心はリーチ時に上肢の移動側に移動するが,床反力作用点はリーチ開始時に質量中心の動きと反対方向に動くことがわかった.〔結語〕体幹各体節と合成床反力を変化させることで,目標物の位置の違いによる姿勢調節を可能にしていることが示唆された.
  • 福田 航, 横山 茂樹, 片岡 悠介, 濱野 由夏, 池野 祐太郎, 五味 徳之
    2013 年 28 巻 2 号 p. 201-204
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕前十字靭帯(ACL)損傷患者の片脚スクワット中における膝周囲筋活動の特性を検討することである.〔対象〕ACL損傷患者9名と健常人8名である.〔方法〕課題は膝関節屈曲20~50度間の片脚スクワット,被検筋は内・外側広筋,内・外側ハムストリングとした.各筋の筋電図積分値から得られる最大随意収縮(MVC)で正規化した%MVCを,ACL損傷患者の健患側及び健常人の利き足側の間で比較した.〔結果〕患側の%MVCは健側と比較して内・外側広筋で小さく,内・外側ハムストリングで大きかった.〔結語〕ACL損傷患者において,片脚スクワット中の筋活動は膝関節の前方不安定性を安定化させる作用があることが示唆される.
  • 山下 彰, 鈴木 俊明, 文野 住文
    2013 年 28 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕目的は下肢のH波,F波の出現様式の変化を臨床応用する前段階として,健常者での刺激強度増加に伴うヒラメ筋のH波,F波の出現様式を検討したので報告する.〔対象〕対象は健常成人10名とした.〔方法〕方法は背臥位にて右側ヒラメ筋よりH波,F波を記録した.タイプ分類は鈴木らの報告した上肢の4つのタイプに準じて分類した.〔結果〕ヒラメ筋のH波,F波出現様式の特徴は10名ともにタイプ3であった.〔結語〕健常者では,H波が高振幅で出現した状態でF波が出現することがわかった.今後,理学療法の神経学的機能評価において運動機能評価と組み合わせれば客観的な機能評価として用いることが可能であると考えられる.
  • 高橋 恵美, 石田 恭子, 上嶋 良, 岡田 武士, 神保 彩子, 木下 裕美子, 成田 誠
    2013 年 28 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,体幹筋力がバランス能力に関係しているのではないかと考え,転倒の危険因子であるバランス能力を改善させる体幹筋のバランス運動を行い,運動効果を検討した.〔方法〕健常若年者で体幹筋のバランス運動を週2回12週間行い,運動効果を検討した.評価項目は静的・動的バランス,筋力,柔軟性である.評価方法としてBIODEXを用い,体幹筋力を測定し,また,Balance masterを用い,mCTSIB,LOSを評価した.さらに全体の変化をとらえるためにパフォーマンステストを用いた.〔結果〕静的バランス(EOF.SI),動的バランス(TUG),体幹筋力発揮時間(伸展加速時間)においてESは効果量が大きいとなり,バランス運動の効果が認められた.〔結語〕体幹筋力発揮時間とバランスの関係が示された.
  • ―巧緻運動と粗大運動の検討―
    池田 拓郎, 佐々木 聖馬, 岡 真一郎, 後藤 純信
    2013 年 28 巻 2 号 p. 215-219
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,巧緻運動(DM)と粗大運動(GM)における運動イメージの脳内活動の相違を検討した.〔対象〕健常若年成人10名(平均年齢21.3±1.1歳,男性10名).〔方法〕DMとGMを運動イメージ,自己ペースと外的ペース随意運動で行わせ,課題中の脳血流変化をNIRSで計測した.〔結果〕DMイメージ時は,自己ペースおよび外的ペース随意運動時と比べ全ての関心領域で有意なoxy-Hbの変化はなく,また,GMイメージ時と比べ左運動前野領域と左一次感覚運動野領域で有意なoxy-Hbの増加があった.〔結語〕手指に関与する神経細胞は,肩の神経細胞と比べて高密度に存在していることから,DMによる運動イメージは,GMによる運動イメージよりも脳血流が増加したのではないのかと示唆された.
  • ―実証試験記録からの検討―
    浅川 育世, 水上 昌文, 居村 茂幸, 岩本 浩二, 菅谷 公美子, 吉川 憲一, 佐野 歩, 古関 一則
    2013 年 28 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ロボットスーツHALの装着が歩行能力にどのような即時効果をもたらすのかを検討する.〔対象〕HAL装着にて歩行可能であった被装着者45名(年齢57.1歳)とした.〔方法〕適応群と非適応群に分けられた対象者の歩行速度,歩行率,期待通り度を群間で比較し,加えて歩行の改善効果を適応群の自由記載の実証試験記録から分析した.〔結果〕両群ともに装着前に比べHAL装着時は歩行速度,歩行率ともに低下を示した.期待通り度は適応群で有意に高かった.装着による歩行の改善効果には「歩容の改善効果」など5つのカテゴリが形成された.〔結語〕HAL装着によって歩行速度や歩行率などのパフォーマンスは一時的に低下するが,歩容については初回装着時にも改善が期待される.
  • 中村 浩一, 兒玉 隆之
    2013 年 28 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕学生に対する学業成績の把握と教育的管理に用いる指標としてProfile of Mood States(POMS)が有効であるか検討した.〔対象〕理学療法学科学生37名(男性31名,女性6名,平均年齢26.4±5.7歳)とした.〔方法〕対象者を期末試験の成績にて成績の上位群と下位群に分け,2012年4月から同年7月まで,月に1度実施されたPOMSの得点を群間で比較した.〔結果〕成績上位群は下位群に比べ,緊張-不安,抑うつ-落込み,疲労および混乱に関する項目のPOMS得点が有意に低値を,活気に関する項目の得点が有意に高値を示した.〔結語〕POMSは学生の学業成績およびメンタルヘルスと関連することから,学業成績の把握と教育管理における指標のひとつとして有用な可能性がある.
  • ―目標荷重量の大きさと荷重下肢側の方向からの検討―
    渡邉 観世子, 樋口 貴広, 谷 浩明, 今中 國泰
    2013 年 28 巻 2 号 p. 231-236
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕整形疾患術後患者における部分荷重課題の正確性に関与する要因の特性を明らかにした.〔対象と方法〕整形疾患術後患者13名と健常高齢者11名に対して,荷重量(体重の1/3,2/3)および荷重下肢側(患側,健側,および左下肢,右下肢)を要因とした部分荷重課題を行った.〔結果〕整形疾患術後患者では患側に2/3荷重を負荷する条件で,バイアス量と変動性を合わせた総合誤差が有意に大きかった.また患側に1/3荷重を負荷する条件で,有意な過大荷重バイアスを認めた.〔結語〕整形疾患術後患者では,患側に大きな負荷をかける際には,単に荷重誤差だけではなくパフォーマンスの一貫性を促す指導,また小さな荷重を負荷する回復初期には,目標よりも小さな荷重を提示し,過剰負荷を防ぐ指導が必要であることが示唆された.
  • ―移動支援機器の違いに着目して―
    安心院 朗子
    2013 年 28 巻 2 号 p. 237-242
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕移動支援機器(杖,歩行補助車,車いす,ハンドル形電動車いす)に関する心理的抵抗感が年齢によってどのような違いがあるのかを明らかにすることとした.〔対象〕20代から90代までの一般市民を対象とした.〔方法〕無記名式の質問紙調査により得られた心理的抵抗感の強さを年代間で比較した.〔結果〕年齢の若い者(20代~40代)では70代以上の高齢の者と比べてすべての機器に関する心理的抵抗感が強かった.また,歩行補助車に関しては,70代以上より60代で心理的抵抗感が強かった.〔結語〕機器に対する抵抗感の強さから,一般市民のなかでもとくに若年者の心理的抵抗感を弱めるための対策を検討する必要がある.
  • 三谷 保弘
    2013 年 28 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕乗馬シミュレータの揺れが身体機能を向上させるとする理論の一端を構築するために,乗馬シミュレータに騎乗時の身体各部の変位の特徴について検討した.〔対象〕健常な男女30名とした.〔方法〕三次元動作解析装置を用いて乗馬シミュレータに騎乗時の頭部,体幹,骨盤の変位を計測した.〔結果〕頭部の動きは,乗馬シミュレータの動きに相反する傾向が認められた.また,頭部の変位の大きさは骨盤に比べて有意に小さかった.〔結語〕乗馬シミュレータの揺れに対して頭部を一定の位置に保持するために,身体各部の分節的な運動が認められた.
  • 高橋 優基, 藤原 聡, 伊藤 正憲, 嘉戸 直樹, 鈴木 俊明
    2013 年 28 巻 2 号 p. 249-252
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕刺激のリズムが変化したと意識的には気づけない小さなリズムの変化であっても反応動作が遅れるのかを明らかにする.〔対象〕健常者14名とした.〔方法〕聴覚刺激を合図に右足関節を背屈する反応時間課題を実施した.刺激間隔が1500 msの周期的な聴覚刺激を呈示する条件1,条件1のうち最後の刺激間隔のみを1425 ms(5%短縮)とする条件2,同様に1200 ms(20%短縮)とする条件3を設定した.最後の刺激に対する筋電図反応時間を3条件間で比較した.〔結果〕条件3の筋電図反応時間が条件1および条件2と比較して有意に遅延した.〔結語〕周期的なリズムはある程度の時間の幅をもって予測されており,意識的には気づけない小さなリズムの変化であれば反応動作は遅れない.
  • 田中 秀明, 井舟 正秀, 川北 慎一郎, 横川 正美, 井上 克己, 山崎 俊明
    2013 年 28 巻 2 号 p. 253-256
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中片麻痺者がまたぎ動作の際に関連が強い要因について検討した.〔対象〕屋外歩行自立の維持期脳卒中片麻痺者18名.〔方法〕障害物の高さを転子果長の10,20,30%に設定し,障害物またぎ動作を測定した.最大にまたげた高さに対し,麻痺側・非麻痺側膝伸展筋力,麻痺側および非麻痺側の片脚立位時間,Trunk Impairment Scale (TIS)の得点,罹病期間,年齢との関係について,各々単回帰分析を行った.最大にまたげた高さを目的変数,分析で決定係数R2が高かった上位4項目を説明変数とし,重回帰分析を行なった.〔結果〕TISと非麻痺側膝伸展筋力が説明変数として選択され,寄与率は71.9%であった.〔結語〕またぎ動作の遂行には今回の項目では体幹機能が最も関与していることが示唆された.
  • 山本 吉則, 嘉戸 直樹, 鈴木 俊明
    2013 年 28 巻 2 号 p. 257-260
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動頻度の異なる手指反復運動の頻度が同側上肢の感覚機能に及ぼす影響について体性感覚誘発電位(Somatosensory Evoked Potential;SEP)を用いて検討した.〔対象〕健常成人13名とした.〔方法〕運動課題は右示指MP関節の屈曲伸展の反復運動とし,運動頻度は0.5 Hz,1 Hz,3 Hzとした.右示指の運動課題遂行時に右正中神経を刺激しSEPを記録した.得られたSEPを安静時の値と比較し,運動頻度との関係を分析した.〔結果〕N20およびP23振幅は安静時と比較して3 Hzの運動頻度の時で有意に小さい値を示した.〔結語〕高頻度の手指反復運動では第一次体性感覚野およびそれより上位レベルの体性感覚入力に抑制効果を及ぼす可能性がある.
  • ―2種類の教示を提示する順序が運動学習に与える影響―
    鈴木 博人, 藤澤 宏幸
    2013 年 28 巻 2 号 p. 261-268
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ファンクショナル・リーチを学習課題とし,二種類の教示(internal focus of attention:IFA,external focus of attention:EFA)を提示する順序が運動学習へ与える影響を明らかにすることとした.〔対象〕健常大学生28名とした.〔方法〕対象者をコントロール群,IFA介入の後にEFA介入を受ける(IFA to EFA;ItE)群,この逆順で介入を受ける(EFA to IFA;EtI)群に割り付けた.練習前テストの3日後より練習期間を設け,IFA介入・EFA介入を2日間ずつ行った.練習期間終了の翌日と1週間後に保持テストを実施した.〔結果〕ItE群はパフォーマンスレベルが二分化し, EtI群は有意にパフォーマンスが向上した.〔結語〕EtIは個人差が少なくパフォーマンスを向上させることのできる方法であり,ItEはIFA介入の適切な理解を促せた場合に著しくパフォーマンスを高めることができる手法であることが示唆された.
  • ―3学年間の比較検討―
    佐藤 仁
    2013 年 28 巻 2 号 p. 269-272
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕学生が抱いている障害イメージについて,客観的指標を用いて検討することを目的とした.〔対象〕理学療法学科学生163名(1年生47名,2年生56名,3年生60名)とした.〔方法〕脳血管障害者に対する学生のイメージを改訂版Barthel Indexで点数化させ,学年間の相違を統計学的に検討した.〔結果〕BI総得点は学年間に差はなく,学生が自立のイメージである項目は「食事」で,要介助のイメージは「入浴」であった.「食事」,「装具の装着」,「入浴」,「浴室・浴槽への移動」,「車椅子で50 m以上移動」は学年間でイメージの差があった.〔結語〕学生の障害イメージには学習進捗の影響が少ない内容と学習進捗が影響する内容があることが示された.
  • 戸田 晴貴, 木藤 伸宏
    2013 年 28 巻 2 号 p. 273-277
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者の歩行時床反力前後成分の大きさに対する下肢関節角度変化量の影響を明らかにすることとした.〔対象〕65歳以上の健常高齢者と20歳代の若年者とした.〔方法〕歩行中の床反力前後成分と下肢関節角度を計測した.床反力前後成分力積値にどの関節の角度変化量が影響を与えているのかを分析し,高齢者と若年者で検討した.〔結果〕床反力前後成分力積値に対して有意な影響を与える要因は,男性若年者はすべての下肢関節であったのに対して,男性高齢者は膝関節の角度変化量であった.女性は,年齢に関係なく膝関節と足関節の角度変化量が影響を与える要因であった.〔結語〕高齢者の歩行中の床反力前後成分の大きさには,主に膝関節角度変化量が影響を与えている.
  • 加藤 太郎, 福井 勉
    2013 年 28 巻 2 号 p. 279-283
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕呼吸運動時の胸部と腹部の皮膚挙動特性を明らかにすることとした.〔対象〕健常成人男性10名とした.〔方法〕背臥位での深呼吸を測定した.マーカーを胸部と腹部に貼付し,横は上胸部,下胸部,上腹部,下腹部の4つに分け,縦は正中列と側方列,正中・側方中間列の5列に分けた.深呼吸時の最大呼気から最大吸気までのマーカー変位量を,3次元動作解析装置を用いた測定から算出し,胸部および腹部における部位に特徴的な皮膚の変位パターンを見出した.〔結果〕呼吸運動時の皮膚の変位量は,上腹部前面で最も大きく,続いて下胸部前面,上胸部前面となった.また各部位の皮膚の変位方向を見ると,上胸部で上下,下胸部で上下と前後の動きが大きく,上腹部では全方向への動きが大きかった.〔結語〕呼吸運動時の皮膚挙動特性は,呼吸時の胸郭の生理的運動を反映する.
症例研究
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