2013 年 28 巻 3 号 p. 403-406
〔目的〕本研究の目的は,二重課題下での動的バランスを「量的側面」と「質的側面」の観点から検討することである.〔対象〕健常成人32名と前期高齢者26名及び後期高齢者24名を対象とした.〔方法〕動的バランス課題のみをST条件,及び,ST条件に記憶想起課題を付加したDT条件を実施し,その際の外周面積,矩形面積を「量的側面」の指標に,矩形面積に占める外周面積の割合(外矩比)を「質的側面」の指標として比較した.〔結果〕条件間の比較では,健常成人と前期高齢者で外周面積と矩形面積に,後期高齢者では外周面積のみで有意な低下が認められた.また,後期高齢者のみで条件間に差を認めた.〔結語〕本研究から,加齢に伴い二重課題下における姿勢制御として「量的側面」の低下に加え,「質的側面」も低下することが示唆された.