理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
28 巻, 3 号
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原 著
  • 石倉 英樹, 小野 武也, 沖 貞明, 梅井 凡子, 大田尾 浩, 林 一宏, 田坂 厚志, 相原 一貴, 大塚 彰
    2013 年 28 巻 3 号 p. 293-296
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,骨格筋の短縮位と伸張位の中間域における筋内膜コラーゲン線維形態を明らかにすることである.〔対象〕13週齢のWistar系雄ラット14匹を用いた.〔方法〕引張試験時のヒラメ筋伸張距離より,短縮位群,10 mm伸張位群,20 mm伸張位群,最大伸張位群に分け,筋内膜コラーゲン線維形態との相関関係を検討した.〔結果〕筋伸張距離と筋内膜コラーゲン線維形態変化には相関関係が認められた.〔結語〕骨格筋の短縮位と伸張位の中間域で骨格筋を伸張する力に伴って起こる筋内膜コラーゲン線維形態の定量的変化を明らかにした.
  • 今井 正也, 渡辺 重人, 吉田 豊, 頼経 貴正, 佐藤 優史, 原島 宏明, 角田 亘, 安保 雅博, 宮野 佐年
    2013 年 28 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大脳運動野上肢領域に適用された低頻度反復性経頭蓋磁気刺激(以下低頻度rTMS)が対側大脳運動野下肢領域に及ぼす影響を明らかにする.〔対象〕右利きの健常人16名.〔方法〕左大脳運動野上肢領域に低頻度rTMS又はsham刺激を行い,左上下肢筋のMotor evoked potential (以下MEP)を測定.〔結果〕低頻度rTMS前後の左上肢FDI (first dorsal interosseous:以下FDI)及び左下肢TA (tibial anterior:以下TA)のMEPの振幅は有意に増加,sham刺激前後では有意な減少を示した.〔結語〕健側大脳運動野上肢領域への低頻度rTMSにより,対側大脳運動野上肢領域のみならず,対側大脳運動野下肢領域の神経活性の亢進が示唆された.
  • 前田 剛伸, 嘉戸 直樹, 鈴木 俊明
    2013 年 28 巻 3 号 p. 303-306
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕単純な手指の対立運動の運動イメージが上肢脊髄神経機能の興奮性に及ぼす影響についてF波を用いて検討した.〔対象〕平均年齢31.7±11.2歳の健常者10名とした.〔方法〕F波測定は安静時,メトロノームに合わせて右側母指と示指による対立運動をイメージした状態(運動イメージ試行),運動イメージ直後,5分後,10分後および15分後の各時点で行った.〔結果]F波出現頻度は,安静試行と比較して運動イメージ試行において有意に増加した.運動イメージ直後,5分後,10分後,15分後のF波出現頻度は,安静試行と比較して差異を認めなかった.〔結語〕本結果より,単純な手指対立運動の運動イメージにより上肢脊髄神経機能の興奮性が増大することが示唆された.
  • 糸谷 圭介, 糸谷 素子, 加藤 順一, 安藤 啓司
    2013 年 28 巻 3 号 p. 307-310
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究はWhole-body vibration(WBV)負荷がパーキンソン病(PD)患者の歩行と立位バランスに与える即時効果を検討した.〔対象〕当院に入院中のPD患者14名を対象とした.〔方法〕WBVによる刺激を周波数25 Hzにて2分間の負荷とWBV負荷プロトコールを実施した.実施前後に10 m歩行とTimed Up and Go test(TUG)および立位バランスを評価した.〔結果〕WBV負荷前後で10 m歩行時間,TUG,重心総軌跡長,矩形面積が有意に改善した.〔結語〕PD患者におけるWBVを用いた運動トレーニングは実施直後に歩行速度や起立動作に影響を与え,それらの能力を向上させることが明らかとなった.
  • ―学内における理学療法過程演習への導入―
    梅井 凡子, 沖田 一彦, 大塚 彰, 沖 貞明, 小野 武也, 金井 秀作, 瀧川 厚, 田中 聡, 原田 俊英, 塩川 満久, 島谷 康 ...
    2013 年 28 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法過程演習における屋根瓦式教育の効果について検討すること.〔対象〕「理学療法学特論II」を受講した3,4年生を対象とした.〔方法〕演習において4年生は3年生の学習支援を行った.講義終了後に授業形式の効果についてのアンケート調査を行った.なお,アンケートは無記名で個人に不利益とならないことを説明したうえで実施した.〔結果〕アンケートの回収率は100%であった.3年生は問題点抽出を最も難しいと考えていた.また,4年生が演習に入る学習形式については,「大変効果的である」がもっとも多かった.〔結語〕理学療法教育においても,屋根瓦式教育は教える側の理解を高めるとともに,教わる側の学習モチベーションを高める方法として効果的であると考えられた.
  • ―等尺性膝関節伸展筋力との比較―
    新井 武志, 大渕 修一, 小島 成実, 柴 喜崇, 河合 恒, 大室 和也
    2013 年 28 巻 3 号 p. 317-322
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕介護予防の2次予防事業参加者に対してジャイロセンサを用いた膝関節伸展時の最大発揮角速度(以下膝伸展角速度)を測定し身体機能との関係を検証した.〔対象〕虚弱高齢者170名(平均年齢78.6±5.6歳).〔方法〕膝伸展角速度のほか,等尺性膝伸展筋力,歩行時間,Timed up & go,ファンクショナルリーチ,開眼片足立ち時間,握力を評価し,膝伸展角速度とこれらの評価項目の関係を検討した.〔結果〕膝伸展角速度は握力以外と有意な相関を示し,膝伸展筋力と比べ身体機能とより強い関係性を示した.〔結語〕膝伸展角速度は身体の虚弱性が高いと考えられる介護予防の2次予防事業対象者において,身体機能との関係性が強いため有効な評価法であることが示唆された.
  • 本間 秀文, 鈴木 博人, 鈴木 誠, 村上 賢一, 藤澤 宏幸
    2013 年 28 巻 3 号 p. 323-328
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕前方歩行と後方歩行において,各歩行速度での8筋の筋活動パターンと筋活動量を比較検討した.〔対象〕健常成人12名とした.〔方法〕20 m/min,40 m/min,60 m/min,80 m/minの4つの速度条件で各歩行様式の表面筋電図を測定した.被験筋は大殿筋,中殿筋,大腿二頭筋,大腿直筋,内側広筋,腓腹筋外側頭,前脛骨筋,ヒラメ筋とした.〔結果〕すべての筋で,歩行速度が変化しても,前方歩行と後方歩行の筋活動パターンに類似性は見られなかった.筋活動量は多くの筋で後方歩行の方が前方歩行よりも大きくなった.また,歩行様式にかかわらず,歩行速度の増加に伴い筋活動量は増加した.〔結語〕後方歩行は前方歩行と同様に速度増加に伴い筋活動量が増加する一方で,1歩行周期における筋活動パターンが前方歩行と異なることが明らかとなった.
  • 朝倉 弘美, 備酒 伸彦, 金谷 親好, 山田 智大
    2013 年 28 巻 3 号 p. 329-334
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕介護老人保健施設に勤務する職員の移乗関連用具に対する認識及び使用状況,腰痛の実態を調査し,職員の腰痛の予防・軽減の方法を検討する事.〔対象〕介護老人保健施設3施設に勤務する全職員200名.〔方法〕無記名式調査用紙による調査.〔結果〕トランスファーボード・リフトの使用目的について偏った理解をしている可能性が示唆された.職員の約80%に腰痛が出現しているが,腰痛予防教育を受けている職員は約30%であった.〔結語〕移乗関連用具についての正しい知識を得るための教育システムの構築が、用具の使用率を高め,職員の腰痛予防と軽減が可能になる.
  • ―アンケート調査と患者背景,手術所見による検討―
    辛嶋 良介, 羽田 清貴, 奥村 晃司, 杉木 知武, 川嶌 眞人
    2013 年 28 巻 3 号 p. 335-338
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肩腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術後,入院期間中での夜間痛についてアンケート調査を行い,患者背景と鏡視所見を含め,術後夜間痛の推移に与える要因について検討すること.〔対象と方法〕腱板修復術を行った21名を対象に,術後1週ごとに夜間痛の程度,自覚する時間帯,自己での対処法について調査した.疼痛の推移より4群に分類,Kruskal-Wallis testを用い,統計学的処理を行った.〔結果〕4群間で2週以降での疼痛の程度に有意な差を認めたが,患者背景,手術所見に有意な差を認めなかった.就寝時苦痛を感じた際の患者自身での対処は,座位への体位変換を行っている例が多かった.〔結語〕夜間痛の推移に及ぼす要因は明らかとならなかったが,肢位調整として上体を起こすことが有用な可能性がある.
  • 中村 壮大, 勝平 純司, 堀本 ゆかり, 磯 毅彦, 黒澤 和生
    2013 年 28 巻 3 号 p. 339-342
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肩関節外転角度変化と重錘負荷の有無及び重量の違いが棘上筋厚に与える影響を明らかにすることである.〔対象〕肩関節に障害既往のない若年成人40名とした.〔方法〕利き手の棘上筋厚を超音波診断装置を用いて肩関節外転0,30,60,90,120°で測定した.次に,各角度において鉄アレイ重錘負荷(3 kg)を把持する課題を与え,同様の手順で棘上筋厚を測定した.〔結果〕棘上筋厚は重錘の有無にかかわらず外転角度が大きくなるとともに増加し,外転90°で最大値を示したが120°になると減少に転じた.重錘の有無による筋厚差は,0°,30°では大きく,90°外転時には小さくなる傾向を示した.〔結語〕棘上筋は重錘負荷なしでは肩関節外転の中間位置で活動が得られやすく,重錘負荷を与えたときにはスターターポジション付近で活動が得られやすいことが示された.
  • 入江 容, 下井 俊典, 丸山 仁司
    2013 年 28 巻 3 号 p. 343-346
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕障害予防を目的とした,中学生野球部員に対するアンケート調査とコンディショニング指導の効果を検証する.〔対象〕県内中学校21校の野球部員を対象とした.〔方法〕ストレッチ指導前後で介入群・非介入群のアンケート調査を行った.統計解析はχ2検定・t検定を用いて,結果よりアンケート調査と指導の効果を検証した.〔結果〕アンケート調査によって介入群のケア意識に有意な向上が認められた.また,介入群の92%で,指導が役に立っている・身体に気をつけるようになったと回答した.〔結語〕継続したアンケート調査・コンディショニング指導により,中学生野球部員のケア意識向上につながったと考える.
  • ―最速歩行と最大低速歩行時の比較―
    岩瀬 弘明, 村田 伸, 阿波 邦彦, 松尾 奈々, 米山 智彦, 山﨑 康平, 小松 直正, 重田 裕子, 窓場 勝之
    2013 年 28 巻 3 号 p. 347-350
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢入院患者を対象に,最速歩行と最大低速歩行の歩行パラメーターを測定し,条件別に下肢筋力およびADL能力との関係を明らかにすることを目的とした.〔対象〕A病院に入院中の高齢患者13名とした.〔方法〕光学式歩行分析装置にて最速歩行と最大低速歩行の歩行パラメーターを計測し,下肢筋力(Frail CS-10)およびADL能力(FIM-M)との関係の強さを歩行条件間で比較した.〔結果〕最速歩行時において,歩行パラメーター(歩幅,重複歩距離)はFIM-Mと,最大低速歩行時において,歩行パラメーター(歩幅,重複歩距離,立脚時間,遊脚時間)はFrail CS-10との間に有意な相関を示した.〔結語〕最速歩行はADL能力の指標として,最大低速歩行は下肢筋力を反映する指標として使用できる可能性がある.
  • ―dMRIを用いた二次元画像解析の有用性―
    田上 未来, 居村 茂幸, 冨田 和秀, 門間 正彦, 大瀬 寛高, 間瀬 教史
    2013 年 28 巻 3 号 p. 351-356
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕我々は,呼吸介助時の肺をdMRIを用いて撮像し,介助を加えた局所肺の変化が換気量増大につながることを明らかにした.本研究では,二次元画像解析から三次元である肺の変化が解析可能かを検討する.〔対象〕心肺機能障害のない健常な男女7名.〔方法〕呼気流量計で肺気量位を確認しながら,二次元画像は動的に,三次元画像は息止め下で,各々,安静呼吸時と右側肺呼吸介助時の胸部MRI撮像を行った.取得した画像から各肺気量位および1回換気量に相当する肺断面積・肺容積を算出し比較した.〔結果〕二次元画像解析と三次元画像解析の間に強い相関を認めた.〔結語〕二次元画像解析は,三次元である肺形状変化の解析法として有用である.
  • 永﨑 孝之, 加藤 浩, 岡田 裕隆
    2013 年 28 巻 3 号 p. 357-360
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕基本軸設定を自動化した新型角度計を用いた計測法の測定精度を検討すること.〔対象〕リハビリテーション学科4年生15名.〔方法〕肋木を用いて設定された肩関節屈曲角度75°,100°および110°の条件で,比較対照とする従来型角度計と新型角度計での関節可動域測定を行った.得られた測定値から級内相関を用いた検者内および検者間信頼性と,肩関節屈曲角度の設定値を真値とする2乗平均平方根誤差を求めた.〔結果〕新型角度計による測定法は,従来型角度計によるものと同様に検者内および検者間に高い信頼性を示し,またこれらの測定法の間に2乗平均平方根誤差の有意な差は見られなかった.〔結語〕新型角度計による測定法は関節可動域測定において従来型角度計と同程度の測定精度を持つ.
  • 邑口 英雄, 後閑 浩之, 臼田 滋
    2013 年 28 巻 3 号 p. 361-364
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕在宅脳卒中者の短下肢装具の使用がバランス,歩行能力に及ぼす影響を検証する.〔対象〕通所リハ利用者で,Shoehorn brace(SHB)を装着している脳卒中者39名.〔方法〕SHB装着の有無が異なる条件間で,Berg Balance Scale(BBS),Timed “Up and Go” Test(TUG)の歩数と時間,Maximum Walking Speed(MWS)の歩行速度,重複歩距離,歩行率を比較した.〔結果〕SHB装着により,BBSの座位保持以外の項目で得点が有意に増加,TUGの歩数と時間はともに有意に減少,MWSの歩行速度,重複歩距離,歩行率はともに有意に増加した.〔結語〕SHBの装着には発症後長期経過した脳卒中者においてもバランス,歩行能力を改善させる効果がある.
  • 都志 和美, 山崎 俊明
    2013 年 28 巻 3 号 p. 365-370
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕非荷重期間の相違が再荷重後の筋肥大に与える影響を検討すること.〔対象〕Wistar系雄ラット28匹の右側ヒラメ筋.〔方法〕7日間の後肢懸垂(H7),懸垂後に再荷重1日(W1),3日(W3),7日(W7)を加えた4群を設定し,同条件の先行研究のコントロール群(C),後肢懸垂14日間の実験群(H14,R1,R3,R7)と,比較・検討した.〔結果〕H7群はC群と有意差がなかったが,H14群では,筋核は有意に減少し,壊死線維は有意に増加した.筋線維横断面積は,非荷重群と比較し,W1群で9%,R1群で5%有意に増加した.〔結語〕非荷重期間が短いほど,再荷重初期の筋線維横断面積増加率が大きかった.
  • ―動的座位バランスによる検討―
    藤本 修平, 山口 智史, 藤本 静香, 大高 洋平
    2013 年 28 巻 3 号 p. 371-375
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕側方への動的座位バランス課題における関節運動について,探索的因子分析でパターン分類できるかどうかを検討した.〔対象〕健常者48名(男性29名,女性19名)とした.〔方法〕端座位で右側方へ最大限体重移動させ,座圧中心移動量と関節運動の変化量を計測した.次に,計測された項目を探索的因子分析でパターン化した.さらに,抽出された因子のなかで,座圧中心移動量に強く関連するものを,重回帰分析により検討した.〔結果〕探索的因子分析の結果,座圧中心移動量に関連するものは,4つのパターンに分類された(累積寄与率42.5%).また,重回帰分析の結果,主に姿勢反応に関わる因子が抽出された.〔結語〕探索的因子分析により,側方への動的座位バランスの関節運動をパターン化し,客観的に捉えることができた.
  • 橋本 直之, 横川 正美, 山崎 俊明, 中川 敬夫
    2013 年 28 巻 3 号 p. 377-381
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動強度の違いが,脳血流と注意力に与える影響を検討すること.〔対象〕20~30歳代の健常男性30名.〔方法〕対象者を最高酸素摂取量に応じ20%群,40%群,60%群の各運動群と運動なしのコントロール群に振り分けた.近赤外分光装置にて,運動中の前頭葉領域の脳血流を測定し,運動前後にPaced Auditory Serial Addition Task(PASAT)とPsychomotor Vigilance Task(PVT)を行った.〔結果〕脳血流の変化量は,左右ともに60%群がコントロール群と20%群よりも有意に大きく,PASATの正解数は運動後に40%群と60%群で有意に増加した.〔結語〕60%群は前頭葉領域の血流を増加させるとともに注意機能を向上することが示唆された.
  • 中林 紘二, 松本 典久, 水野 健太郎, 藤本 一美, 中川 佳郁, 甲斐 悟
    2013 年 28 巻 3 号 p. 383-387
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕外側広筋に対する選択的な振動刺激が,膝関節伸展運動時の筋活動に及ぼす影響について明らかにすること.〔対象〕下肢に整形外科的疾患および神経学的疾患の既往のない健常男性10名(平均年齢26.8±9.2歳).〔方法〕外側広筋に対して持続的な振動刺激の負荷を与え,膝関節伸展運動時の%iEMG(外側広筋,内側広筋,大腿直筋)および膝関節伸展筋力を計測し,振動刺激前後で比較した.〔結果〕膝関節伸展運動時の外側広筋の%iEMGは,振動刺激後に低値であった.外側広筋に対する内側広筋の%iEMG比は,振動刺激後に高値であった.〔結語〕外側広筋に対して選択的な振動刺激を負荷した膝関節伸展運動は,外側広筋の筋活動を抑制することで相対的に内側広筋の筋活動を促進する.
  • 鈴木 正寛, 佐藤 崇, 小宮 秀明
    2013 年 28 巻 3 号 p. 389-393
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は局所筋群に運動を負荷し,運動後の骨格筋の硬化と筋肉痛との関係について検討を行った.〔対象〕健康な男子学生9名を対象とした.〔方法〕腕エルゴ装置を用いて運動負荷試験を実施し,安静時と運動終了後3日間の皮下脂肪厚,筋厚,上腕周径囲,筋硬度,筋肉痛,MVCを測定した.〔結果〕筋硬度,腫脹は運動終了直後から急激な変化を認め,その後2,3日をかけて回復する傾向を確認した.筋肉痛は,運動終了1日後及び2日後に有意な増加を示した.〔結語〕筋硬度,筋厚及び上腕周径囲の増加の要因として組織水の貯留といった循環機能の低下が示唆された.また,運動終了1日後及び2日後のパフォーマンス低下には筋肉痛を主とする知覚神経の影響が推察された.
  • 笠原 敏史, 齊藤 展士, 寒川 美奈, 水鳥 武蔵, 廣瀬 利彦, 戸塚 満久
    2013 年 28 巻 3 号 p. 395-398
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動療法で用いられる荷重移動課題において荷重量の大きさと運動速度の影響を明らかにする.〔対象〕健常若年者6名(平均年齢20.8±0.8歳)とした.〔方法〕視覚誘導型の荷重量移動課題を異なる運動方向,荷重量,運動周波数で行った.床反力計から得られた被験者の荷重量と視標の誤差を空間誤差と時間誤差に分けて課題間で比較した.〔結果〕空間及び時間誤差は運動方向に影響を受けなかった.軽い荷重量での空間誤差は重い荷重量に比べ有意に増加した.時間誤差は荷重量に影響を受けず,運動周波数とともに増大していた.〔結語〕荷重量移動課題時,空間的誤差は荷重量の大きさ,時間的誤差は運動速度の影響を受ける.
  • 三谷 保弘
    2013 年 28 巻 3 号 p. 399-402
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕乗馬シミュレータに騎乗時の体幹運動の特徴を明らかにし,運動機能に及ぼす影響について検討した.〔対象〕健常な男女30名とした.〔方法〕三次元動作解析装置を用いて,乗馬シミュレータに騎乗時の上部体幹および骨盤の角度変化を計測した.〔結果〕上部体幹および骨盤の各方向への運動は,乗馬シミュレータの動きに相反する傾向を示した.また,上部体幹は常に前傾位を示すとともに,左右への傾斜角が大きかった.〔結語〕乗馬シミュレータの揺れは体幹に作用し,姿勢制御や体幹機能の向上に影響を及ぼす可能性が示唆された.
  • 平島 賢一, 鶯 春夫, 田頭 勝之, 平野 康之, 近藤 慶承
    2013 年 28 巻 3 号 p. 403-406
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,二重課題下での動的バランスを「量的側面」と「質的側面」の観点から検討することである.〔対象〕健常成人32名と前期高齢者26名及び後期高齢者24名を対象とした.〔方法〕動的バランス課題のみをST条件,及び,ST条件に記憶想起課題を付加したDT条件を実施し,その際の外周面積,矩形面積を「量的側面」の指標に,矩形面積に占める外周面積の割合(外矩比)を「質的側面」の指標として比較した.〔結果〕条件間の比較では,健常成人と前期高齢者で外周面積と矩形面積に,後期高齢者では外周面積のみで有意な低下が認められた.また,後期高齢者のみで条件間に差を認めた.〔結語〕本研究から,加齢に伴い二重課題下における姿勢制御として「量的側面」の低下に加え,「質的側面」も低下することが示唆された.
  • 藤本 修平, 藤本 静香, 小林 資英, 大高 洋平
    2013 年 28 巻 3 号 p. 407-410
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/16
    ジャーナル フリー
    〔目的〕健常者において,頭頸部・体幹の前額面上の座位姿勢がSVVに影響するか検討した.〔対象〕健常者19名(男性11名,女性8名)とした.〔方法〕座位姿勢は5種類(正中位,頸部側屈位,身体傾斜位,立ち直り位,最大傾斜位)とした. SVVは,PC上で動く線分を垂直位と感じた時点で止めるように指示し,測定した.そして,真の垂直線との角度差を符号付きおよび絶対値SVV度として算出し,姿勢間の差を検討した.〔結果〕正中位および立ち直り位の絶対値SVV度の大きさは,その他の姿勢の場合の値より有意に小さかった.また,身体傾斜位の絶対値SVV度の大きさは,頸部側屈位および最大傾斜位の値より有意に小さかった.〔結語〕前額面上の姿勢変化はSVVに影響するため,姿勢の規定が必要であると考える.
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