2013 年 28 巻 5 号 p. 669-672
〔目的〕経頭蓋直流電流刺激(tDCS)を行うことで一側前庭小脳系の機能を一過性に抑制し,前庭小脳系が立位姿勢に与える影響を検討する.〔対象〕健常成人男性10名.〔方法〕tDCSは,頭頂部(Cz)に陽極,右乳様突起に陰極を接地し,2 mAのtDCSを10分間通電するものとした.開眼,閉眼時における足底圧中心(COP)の変化を,tDCS前からtDCS開始後5分,tDCS終了直後(tDCS-off),tDCS後15分,30分および60分の計6回計測した.〔結果〕COPは,閉眼時の総軌跡長の延長はtDCS-offまで,後方への変位がtDCS後15分まで見られた.一方,開眼時にはそのような変化を認めなかった.〔結語〕Czと一側乳様突起へのtDCSは,一過性に前庭小脳系の機能を抑制する.