理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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28 巻, 5 号
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原著
  • 山下 彰, 鈴木  俊明, 文野 住文
    2013 年 28 巻 5 号 p. 563-567
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳血管障害片麻痺患者のヒラメ筋の筋緊張評価における機能の評価指標となりうるかどうかを検証するために,刺激強度を増加させた際のH波,F波の出現様式で検討した.〔対象〕慢性脳血管障害片麻痺患者10名とした.〔方法〕背臥位にて刺激強度をH波が出現する弱刺激からF波が出現する最大上刺激まで増加させた時のヒラメ筋からのH波,F波の出現様式と神経学的検査成績との関連性を分析した.〔結果〕タイプ1が1名,タイプ3が9名で波形の特徴からAとBに分類することができた.H波とF波が混在するタイプ3-A,H波の後方にF波が出現するパターンをタイプ3-Bとした.〔結語〕H波,F波出現様式の変化は理学療法領域において運動機能評価と組み合わせれば客観的な機能評価として発展させることが可能である.
  • 海老原 知恵, 新井 智之, 藤田 博曉, 加藤 剛平, 筱岡 世英良, 森田 泰裕, 丸谷 康平, 細井 俊希, 石橋 英明
    2013 年 28 巻 5 号 p. 569-572
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕地域在住中高年者のロコモティブシンドローム(ロコモ)と主観的健康感とQuality Of Life(QOL)との関連性を検討した.〔対象〕地域在住中高年者122名であった.〔方法〕主観的健康感とEuroQOL日本語版の5項目法(EQ-5D)を質問紙で聴取した.その後ロコモーションチェックの結果から分けられたロコモ群と非ロコモ群との間で,これらの値あるいは該当者の人数を比較した.〔結果〕ロコモ群は非ロコモ群に比べ,EQ-5Dの効用値が有意に低値を示した.さらにロコモ群では主観的健康感とEQ-5Dの下位項目である「移動の程度」,「普段の生活」,「痛み/不快感」への該当者の割合が非ロコモ群に比べ有意に低かった.〔結語〕ロコモは主観的健康感や健康関連QOLの低下に関与することが示唆される.
  • 中島 三智世, 丸山 仁司, 菅沼 一男, 金子  千香, 増田 紗嘉
    2013 年 28 巻 5 号 p. 573-576
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕若年者と高齢者における遊脚相の足関節角度について検討することを目的とした.〔対象〕対象は若年者10名,高齢者14名(非転倒群10名,転倒群4名)であった.〔方法〕ビデオカメラで歩行時の足関節から下腿部を撮影しダートフィッシュにて足関節最大角度を計測した.〔結果〕若年群は遊脚初期と遊脚中期,遊脚初期と遊脚終期間に差が認められた.非転倒群は遊脚初期と遊脚中期,遊脚中期と遊脚終期に差が認められた.転倒群は各相間に差が認められなかった.遊脚初期は若年群と非転倒群,若年群と転倒群間に差が認められた.遊脚中期は若年群と非転倒群,若年群と転倒群間に差が認められた.遊脚終期は各群間に差が認められなかった.〔結語〕高齢者は足関節の底背屈運動の減少が認められた.
  • ―fNIRSを用いた検証―
    光武 翼, 一ノ瀬 和洋, 松本 幸, 佐藤 鮎美, 堀川 悦夫
    2013 年 28 巻 5 号 p. 577-581
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕頸部における運動イメージの想起方法の違いが脳活動に及ぼす影響を検証した.〔対象〕右利き健常成人15名とした.〔方法〕fNIRSを用いて頸部運動イメージを想起した時の脳活動を計測した.頸部運動イメージの想起時と,これに加えレーザーポインターを使用し,頸部運動による追従動作後の頸部運動イメージ想起時を行う2課題を設定し,安静時と各課題時の脳活動パターンを比較した.〔結果〕投射光の追従による運動イメージの想起を用いた課題とそれを用いない課題では脳活動領域に違いが生じ,前者では,より広範なOxy Hbの活動領域が認められた.〔結語〕頸部では,追従課題を行うことによって視覚的に頸部運動の認識を行うことができ,脳皮質活動が活性化している可能性がある.
  • 高瀬 広詩, 松尾 善美, 柳澤 幸夫, 東根 孝次, 小田 実, 真鍋 誠, 嶋田 悦尚, 小倉 理代, 高橋 健文, 日浅 芳一
    2013 年 28 巻 5 号 p. 583-587
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕在宅における高齢心不全患者の運動実施状況を調査し,有効な運動指導方法を考案するための参考資料とすること.〔対象〕入院中に運動指導を受けた75歳以上の心不全患者93名.〔方法〕郵送によるアンケート調査により,回答の得られた分析対象54名における運動の行動変容ステージ,運動の必要性の認識,運動を行う上での問題点,医療・介護サービスの利用状況,健康関連QOLについて分析した.〔結果〕分析対象者の77%が運動の必要性を認識し,64%が運動を行っていたが,運動内容には具体的な指導は十分に反映されていなかった.〔結語〕高齢心不全患者においては,退院後も身体状況の変化に応じた運動内容の見直しが必要である.
  • 山田 洋一, 堀本 ゆかり, 丸山 仁司
    2013 年 28 巻 5 号 p. 589-595
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法非熟達者の視線を測定することで,動作探査能力を分析し技能指標の手がかりを模索する.〔対象と方法〕対象は養成校4年生12名.腱板断裂術後の肩挙上を投影し,プロフィール告知前後の停留点の測定と,「疾患名」「注目点」「注目点の変化」「動作分析の注目点」を回答させ視線特性を検討した.〔結果〕疾患名の正答者は1名で,告知前後の停留回数は肩関節・肩甲骨周囲・肘部で有意な差があった.注目点は,全員が肩関節,肩甲骨周囲を注目していると回答し,計測による結果と一致していた. 告知後,視点ポイントが変化したと回答した者は,停留点が絞られ,停留回数は減少していた.〔結語〕非熟練者にとって容易な課題を提示することで,視線は分析に必要なポイントに視点をコントロールでき,情報収集が可能になると考える.
  • 河石 優, 松本 直樹, 安田 夏盛, 水野 修平, 脇 聡子, 沖山 努
    2013 年 28 巻 5 号 p. 597-600
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中片麻痺者において,足底感覚への選択的注意が歩行立脚期での麻痺側下肢同時収縮に及ぼす影響を検討する.〔対象〕脳卒中片麻痺者7名.〔方法〕硬さの異なる4種のスポンジマットを用い,座位,閉眼にて足底で硬さを弁別する課題を試行した.課題前,課題直後,課題15分後にて麻痺側下肢の歩行時筋電図を測定し,立脚期での筋活動量,co-contraction index(CI)を算出した.〔結果〕課題前に比べ,課題直後で腓腹筋筋活動量,足関節CIに有意な減少が認められた.〔結語〕脳卒中片麻痺者において,歩行前の麻痺側足底感覚への選択的注意は,その直後の歩行時立脚期での同時収縮を軽減させることが示唆された.
  • 戸塚 満久, 萬井 太規, 新崎 真美子, 藤田 博之, 菅田 忠夫, 浅賀  忠義
    2013 年 28 巻 5 号 p. 601-606
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕パーキンソン病患者における立位時足圧中心の前後移動量と足圧分布の関連について調べた.〔対象〕パーキンソン病患者8名と健常高齢者8名が参加した.〔方法〕足圧分布計上で体幹前後動揺を行った.足趾部・中足骨部・踵部の荷重圧変化を独立変数,足圧中心の移動変化を従属変数とした重回帰分析を行い,偏回帰係数を算出した.〔結果〕パーキンソン病患者は健常群と比較して足長に対する足圧中心の移動比率が前後共に低下し,偏回帰係数は足趾部で有意に低く,中足骨部で有意に高かった.〔結語〕パーキンソン病患者における立位時の随意的な前方への足圧中心移動量の低下は,足趾部への荷重量低下に起因する.
  • ―転倒を回避するために必要な前方ステップ動作能力に対する評価法の開発に向けて―
    冨永 琢也, 勝平 純司, 丸山 仁司
    2013 年 28 巻 5 号 p. 607-611
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕我々はForward Accelerated Step Test(FAST)を考案し,測定値の信頼性を検討した.〔対象と方法〕検者内信頼性の検討は若年者19名を対象とした.検者間信頼性の検討は検者A,Bの2名とし若年者11名を対象とした.信頼性の検討には級内相関係数(ICC),Bland-Altman分析,SEM,MDC95を用いた.〔結果〕ICC(1.1)は0.90,SEMは4.31%,MDC95は11.96%であった.ICC(2.1)は0.88,ICC(3.1)は0.87,SEMは3.46%,MDC95は9.59%であった.いずれも系統誤差は認められなかった.〔結語〕検者内・間信頼性が高いことが明らかとなり,測定誤差の程度や境界値も実数にて示された.
  • ―前遊脚期から遊脚初期の検討―
    田邊 泰雅, 山本 澄子
    2013 年 28 巻 5 号 p. 613-618
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中後片麻痺者の歩行速度増加による前遊脚期から遊脚初期の股関節および前遊脚期の足関節の正のパワーピーク値の変化を明らかにすることとした.〔対象〕中等度から軽度の麻痺を呈する片麻痺者8名と対照群としての健常者8名とした.〔方法〕三次元動作解析装置,床反力計により得られた計測値から関節パワーを算出し歩行速度増加に伴うその値の変化を分析した.速度条件は「通常」,「ゆっくり」,「速く」の3つとした.〔結果〕速度条件「速く」にて,正のパワーは股関節では8名中2名において健常者よりも大きく,足関節では8名中2名において健常者よりも小さくなった.〔結語〕前遊脚期の足関節機能のトレーニングの必要性が示唆された.
  • ―荷物の重さの違いによる検討―
    三谷 保弘, 橋本 雅至, 北川 智美, 松木 明好
    2013 年 28 巻 5 号 p. 619-622
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕異なる重さの荷物を持ち上げる際の身体運動を計測し,その特徴を検討した.〔対象〕健常な成人男性13名とした.〔方法〕三次元動作解析装置と床反力計を用いて無負荷,10 kg,15 kgの荷物を持ち上げる際の身体運動を計測した.〔結果〕持ち上げる荷物が重いほど,身体重心の上下移動範囲,膝関節屈曲角度,股関節屈曲角度,股関節伸展モーメント,足関節底屈モーメントは有意に増大し,身体重心の上方への加速度は有意に減少した.足関節背屈角度,体幹前傾角度,膝関節伸展モーメント,身体重心の上方への最大速度は,荷物の重さによる有意差が認められなかった.〔結語〕荷物が重くなるに従い,膝関節屈曲角度,股関節屈曲角度,股関節伸展モーメント,足関節底屈モーメントが増大した.
  • 杉浦 徹, 櫻井 宏明, 杉浦 令人, 岩田 研二, 木村 圭佑, 坂本 己津恵, 松本 隆史, 金田 嘉清
    2013 年 28 巻 5 号 p. 623-626
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕回復期リハビリテーション病棟における超高齢脳卒中患者の自宅退院に必要なADL条件を検討すること.〔対象〕85歳以上の脳卒中患者で,転帰先が自宅もしくは施設または療養病床である71名とした.〔方法〕自宅群(41名)と施設群(30名)の2群に分類し,これらの間で患者の基本的特性,退院時FIM得点を比較した.また,有意差の認められたFIM各合計点では,ロジスティック回帰分析とROC曲線からカットオフ値を算出した.〔結果〕自宅群と施設群の間で,年齢,発症から回復期入院までの期間,移動手段に有意な差が認められ,カットオフ値はFIM運動項目合計点で39点となった.〔結語〕新たなADL条件として,退院時FIM運動項目合計点が39点以下の場合,超高齢脳卒中患者の自宅退院は困難となる可能性がある.
  • 與座 嘉康, 前川 陽香, 高田 和也, 福川 貴大, 三川 浩太郎
    2013 年 28 巻 5 号 p. 627-630
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕携帯型呼気ガス分析器(METAMAX 3B)の再現性を検討することを目的とした.〔対象〕健常若年者22名.〔方法〕多段階運動負荷試験を2回実施し,VO2,VCO2,VEをMETAMAX 3Bにて測定し,ICCおよびBland-Altman分析を用いて再現性を検討した.〔結果〕ICCはVO2が0.96,VCO2が0.98,VEが0.98であった.Bland-Altman分析ではVO2,VCO2,VE全てに加算誤差および比例誤差は認められなかった.〔結語〕METAMAX 3Bは再検査法において良好な再現性を示し,臨床での使用が十分可能である.
  • 石田 弘, 廣瀬 良平, 小野 晃路, 江見 健太, 小橋 潤子, 篠原 沙織, 渡邉 進
    2013 年 28 巻 5 号 p. 631-633
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕荷重位で中殿筋活動を促す運動の考案と,その運動時の中殿筋活動を定量化することとした.対象:健常成人男性31名とした.〔方法〕右下肢に荷重をかけた片脚立位で左股関節に対する最大等尺性外転収縮を行っている際の右中殿筋の筋活動を記録し,正規化のための基準とする右股関節外転の最大随意収縮時(maximum voluntary contraction:MVC)の筋活動で除した値(%MVC)を筋活動量の指標とした.〔結果〕運動時の筋活動量は108 %MVCを示した.〔結語〕本研究で用いた運動は,荷重をかけた状態での中殿筋の筋力増強運動のバリエーションを増やすことにつながるものと期待される.
  • ―スタティック・ストレッチングとの比較―
    浅岡 良信, 鈴木 智, 山口 剛, 弦巻 徹, 岡本 栄行, 月城 美雪, 中村 祐輔, 岩井 実穂子, 齋藤 昭彦, 天本 藤緒
    2013 年 28 巻 5 号 p. 635-640
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Yamuna Body Rollingについて,筋弾性・伸張度と運動能力の効果を検証した.〔対象〕健常成人10名を対象とした.〔方法〕超音波診断装置により筋弾性と伸張度を測定し,片脚閉眼立位時間,前方・側方functional reach test,2steps,side stepの4項目に対し,Yamuna群とストレッチ群,さらに各群内においても介入前・後で比較した.〔結果〕筋弾性に有意差はなかったものの,Yamuna群において右側片脚閉眼立位時間,2steps,side stepにて有意差が認められた.〔結語〕Yamunaがコンデショニング方法の1つとして臨床でも有効であると示唆された.
  • ―ホットパックと極超短波療法に注目して―
    川口 梨沙, 吉田 英樹, 照井 駿明
    2013 年 28 巻 5 号 p. 641-645
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ストレッチングの前処置として,表在性温熱療法のホットパック(HP)と深部性温熱療法の極超短波療法(MW)の有効性を検討すること.〔対象〕健常例16名(女性5名,男性11名).〔方法〕大腿後面への20分間のHP,MW,コントロールを実施し,ハムストリングスの筋伸張性(筋硬度,膝伸展自動可動域)と大腿後面皮膚温を比較した.〔結果〕筋硬度については,3群間で明らかな違いが認められなかった.一方,膝伸展自動可動域と大腿後面皮膚温については,HPとMWの間では明らかな違いが認められなかったが,コントロールと比較してHPおよびMWで有意に高値を示した.〔結語〕HPとMWは,筋伸張性の向上よりも皮膚への温熱刺激を背景とした伸張痛の軽減によりストレッチングの前処置として貢献し得る.
  • ―正中位・体幹回旋位での左右脳損傷者の比較―
    小暮 英輔, 前田 眞治, 山本 潤, 櫻井 好美
    2013 年 28 巻 5 号 p. 647-652
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳損傷者が安全な移乗を行うために介助者が力を加えるべき方向を知る目的で,手すり把持時の立位両足圧中心(COP: center of pressure)を調べた.〔対象〕脳血管障害片麻痺者25例とした.〔方法〕正中立位と15°麻痺側への体幹回旋位(回旋立位)で3箇所の手すり把持時におけるCOPを計測した.〔結果〕右片麻痺者と比べ左片麻痺者は両立位においてCOPは広範囲に分布し,手すり把持位置の違いによるCOP間の距離で差がみられた.半側空間無視(USN: unilateral spatial neglect)を呈した者(USN者)は,回旋立位で麻痺側後方重心となった.〔結語〕左片麻痺者は,COPに適合した介助,USN者は回旋立位の際に非麻痺側前方への介助が必要である.
  • 中田 農生, 吉田 英樹, 吉田 舞
    2013 年 28 巻 5 号 p. 653-656
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕後頸部への電気刺激が座位バランス課題実施中のヒトの脳賦活状態に及ぼす影響を検討すること.〔対象〕右利きの健常例20名(女性10名,男性10名).〔方法〕左もしくは右後頸部への周波数の異なる電気刺激(100 Hz,10 Hz,3 Hz)を実施しながら座位バランス課題を行う際の脳賦活状態(前頭前皮質の酸化ヘモグロビン量:PF-HbO2)を検討した.〔結果〕左後頸部への比較的高い周波数(100 Hz,10 Hz)での電気刺激で,PF-HbO2の両側性に有意な増加が認められた.〔結語〕座位バランス課題実施中の脳賦活を目的とした後頸部への電気刺激では,左後頸部への比較的高い周波数の電気刺激が適している.
  • 坂本 宗樹, 結城 俊也
    2013 年 28 巻 5 号 p. 657-663
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中患者の歩行の予後予測を,急性期より3つの予後予測モデルを用い,入院期間中(発症から3ヶ月程)の歩行自立率の精度と優位性を明らかにすることとした.〔対象〕脳卒中で入院し,初発で1週間以内にリハビリ開始となった40~79歳の患者153名とした.〔方法〕理学療法場面で各モデルの評価を行った.〔結果〕カットオフポイントは入院後,二木モデルで2週時(感度80%,特異度77%),石神モデルでリハ初回時(感度62%,特異度89%),著者モデルで2週時(感度87%,特異度75%)であった.〔結語〕著者モデルは入院2週時までは他の2モデルよりも僅かに優れている.
  • 岩坂 憂児, 大友 伸太郎, 山崎 瞬
    2013 年 28 巻 5 号 p. 665-668
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕心的回転課題が立位姿勢に影響を及ぼすかを調べることを目的とした.〔対象〕被験者は健常成人12名とした.〔方法〕被験者を介入群と対照群にランダムに分け,介入群には心的回転課題を,対照群には単純な側性判断課題を実施し,3つの立位姿勢(開眼両脚立位姿勢,閉眼両脚立位姿勢および片脚立位姿勢)で効果を確認した.〔結果〕両脚立位課題では変化が見られなかったが,片脚立位姿勢において,介入群の姿勢の変化率は対照群と比べ有意に高値を示した.〔結語〕心的回転課題による介入は身体状況の顕在化を促し,片脚立位姿勢の姿勢動揺を減少させ得る可能性が示唆された.
  • ─開閉眼による違い─
    岡 真一郎, 後藤 純信, 矢倉 千昭, 曽田 武史, 田原 弘幸
    2013 年 28 巻 5 号 p. 669-672
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕経頭蓋直流電流刺激(tDCS)を行うことで一側前庭小脳系の機能を一過性に抑制し,前庭小脳系が立位姿勢に与える影響を検討する.〔対象〕健常成人男性10名.〔方法〕tDCSは,頭頂部(Cz)に陽極,右乳様突起に陰極を接地し,2 mAのtDCSを10分間通電するものとした.開眼,閉眼時における足底圧中心(COP)の変化を,tDCS前からtDCS開始後5分,tDCS終了直後(tDCS-off),tDCS後15分,30分および60分の計6回計測した.〔結果〕COPは,閉眼時の総軌跡長の延長はtDCS-offまで,後方への変位がtDCS後15分まで見られた.一方,開眼時にはそのような変化を認めなかった.〔結語〕Czと一側乳様突起へのtDCSは,一過性に前庭小脳系の機能を抑制する.
  • 佐々木 英文, 文野 住文, 鈴木 俊明, 浦邊 幸夫
    2013 年 28 巻 5 号 p. 673-676
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足趾屈筋筋力低下に伴い転倒しやすくなる患者への処方の開発を目指して,動作イメージ練習の効果を脊髄神経機能の興奮性の指標であるF波にて検討することとした.〔対象〕健常者30名(男性16名,女性14名,年齢(平均±標準偏差)は29.2±8.6歳)とした.〔方法〕F波測定を,安静時,左短母趾屈筋運動の学習後の,左母趾最大努力屈曲のイメージの想起(動作イメージ試行時),動作イメージ想起の試行直後,想起の試行5分後,想起の試行10分後,想起の試行15分後の各時点において行った.〔結果〕動作イメージ試行想起の試行時における振幅F/M比,F波出現頻度は,安静試行時と比較して有意でないものの増加傾向が認められた.〔結語〕動作イメージ想起は転倒予防の運動療法に応用可能であることが示唆される.
  • ─男女における比較検討─
    吉澤 隆志, 松永 秀俊, 藤沢 しげ子
    2013 年 28 巻 5 号 p. 677-680
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕男女における下肢伸展トルクと膝伸展筋力の関係を調べることを目的とした.[対象]下肢に問題のない健常成人48名とした.〔方法〕StrengthErgoにより左右の下肢伸展動作時の体重比ピークトルクを測定した.また,Hand Held Dynamometerにより左右の体重比膝伸展筋力を測定した.その後,下肢伸展トルクと膝伸展筋力の関係を調べた.〔結果〕男女間での下肢伸展トルクについて有意差が認められたが,膝伸展筋力については有意差は認められなかった.また,男性では下肢伸展トルクと膝伸展筋力との間に中等度の相関がみられたが,女性では相関がみられなかった.〔結語〕男女における下肢伸展トルク発揮に対する膝伸展筋力の関与の違いがみられた.
  • 池野 祐太郎, 福田 航, 片岡 悠介, 濱野 由夏, 竹内 謙太, 川上 翔平, 二宮 太志, 五味 徳之
    2013 年 28 巻 5 号 p. 681-684
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕膝前十字靱帯(ACL)再建術施行1年後の脛骨前方移動量の健患差(ATT)に関連する因子を抽出する.〔対象〕ACL再建術後患者10例(年齢(平均値±標準偏差)24.6±7.3歳,男8例,女2例).〔方法〕従属変数は術後1年時ATT,独立変数は手術前膝関節屈曲と伸展筋力の筋力比(H/Q比),手術前片脚スクワット時膝外反角度,手術後2週時膝関節最大屈曲と伸展角度とし,重回帰分析を行った.〔結果〕ATTに関連する因子は手術前H/Q比,手術前片脚スクワット時膝外反角度,手術後2週時膝関節最大伸展角度が抽出された.〔結語〕ATT増大予防には手術前H/Q比を大きく,手術前片脚スクワット時膝外反角度を小さく,手術後急性期の膝関節最大伸展角度を制限することが示唆された.
  • 菅谷 知明, 阿部 洋太, 坂本 雅昭
    2013 年 28 巻 5 号 p. 685-688
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕超音波画像診断装置を用いて,体幹中間位および50%回旋位における外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の等尺性筋収縮時の筋厚を測定し,信頼性を検討した.〔対象〕健常成人男性21名とした.〔方法〕体幹中間位および50%回旋位にて安静状態,腹圧を高めた状態,抵抗を掛け左右へ等尺性の回旋運動を行った状態の3条件それぞれで筋厚を3回測定し,信頼性係数を算出した.信頼性係数が0.70未満の項目がみられた場合は,高い信頼性が保証できる測定回数を探索した.〔結果〕外腹斜筋,内腹斜筋はすべての条件で信頼性係数が0.70以上であった.腹横筋にて最小で0.46を示した.目標値を0.70とし,必要な測定回数は2.7回であった.〔結語〕3回の測定を行いその平均値を用いることで,高い信頼性が得られることが示唆された.
  • ─背臥位及び立位での体幹筋活動について─
    和田 良広, 桜庭 景植, 鈴木 良雄, 鹿倉 二郎, 窪田 敦, 洪 定男
    2013 年 28 巻 5 号 p. 689-693
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕若年群と高齢群の体幹筋活動の相違を明らかにすることである.[対象]若年群30名,高齢群35名とした.〔方法〕超音波診断装置を用いて,背臥位と立位での安静時及び意図的収縮時の体幹筋厚,1分間の立位保持中の体幹筋厚を測定した.〔結果〕1)意図的収縮では,若年群は背臥位及び立位でlocal musclesを収縮させることができたが,高齢群は立位での収縮が困難であった.2)1分間の立位保持では,若年群の筋厚には変化はなかったが,高齢群は筋厚が有意に減少した.〔結語〕高齢群は姿勢によりlocal musclesを意図的に収縮させることが困難であった.また時間経過と共にlocal musclesの筋厚が減少することが明らかとなり高齢群はlocal musclesの持続収縮を行えない可能性が示唆された.
  • 芝 俊紀, 浦辺 幸夫, 前田 慶明, 篠原 博, 笹代 純平, 國田 泰弘, 河野 愛史, 松浦 由生子
    2013 年 28 巻 5 号 p. 695-698
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/09
    ジャーナル フリー
    〔目的〕股関節屈曲角度の増加が,投手のwind-up姿勢でのバランス能力に及ぼす影響を解明することである.〔対象〕大学野球投手12名と,野球経験のない健常男性12名とした.〔方法〕投手と健常男性では,股関節屈曲角度を投手の通常の投球動作における角度に,投手ではさらに,可能な範囲での最大角度に設定し,これらの条件間で測定された足圧中心偏移から得られるバランス能力を比較した.〔結果〕投手では,健常男性に比べ,足圧中心偏移が有意に減少した.投手において,股関節の最大屈曲時では通常の角度の時に比べ,足圧中心偏移が有意に増加した.〔結語〕通常のwind-up姿勢ではバランス能力に優れる投手においても,股関節屈曲角度の増加はその能力を低下させる.
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