2015 年 30 巻 2 号 p. 247-250
〔目的〕手指を個別に屈曲運動した時の正中神経の機械的機能を調査することとした.〔対象〕健常成人7名とした.〔方法〕手指を個別に自動的および他動的に屈曲運動させた時の,手根管部における正中神経を超音波画像診断装置で撮像した.次に正中神経の横断的移動距離を計測し各手指間で比較した.〔結果〕第3指自動屈曲時の正中神経横断的移動距離は1.4 ± 0.7mm(平均±標準偏差)であり,他指よりも有意に大きかった.一方,他動的な手指屈曲時の正中神経横断的滑走距離は小さかった.〔結語〕手指自動屈曲時に正中神経は隣接する第3 指屈筋腱からの圧迫を強く受けており,その圧迫から逃れるように横断的に移動すると考えられる.