理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
30 巻 , 2 号
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原 著
  • 平井 茜, 青木 修, 伴 由衣菜, 佐久間 香, 向井 公一
    2015 年 30 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,立脚初期における裸足歩行とハイヒール歩行の膝関節屈曲角度の違いを検討し,そのメカニズムを明らかにすることとした.〔対象〕被験者は,健常若年女性15名(平均年齢:19.8±0.7歳)とした.〔方法〕光学式三次元動作解析装置,床反力計,および表面筋電図を使用し,裸足およびハイヒール着用時の歩行を比較した.〔結果〕ハイヒール歩行では裸足歩行よりも膝関節屈曲角度が有意に大きく,大腿の起き上がり角度が有意に小さかった.しかし,下腿角度には有意差はなかった.〔結語〕ハイヒール歩行の立脚初期における膝関節屈曲角度の増大は,大腿部の起き上がりの不十分さによるものと考えられた.
  • 岡元 翔吾, 宇賀 大祐, 中澤 理恵, 坂本 雅昭
    2015 年 30 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕シャドーピッチング(以下,シャドー)の反復が肩関節回旋可動域と筋力に与える影響を明らかにすることとした.〔対象〕高校硬式野球部に所属する投手9名とした.〔方法〕連続した通常投球およびシャドーの前後で,投球側肩関節内外旋可動域,肩関節内外旋筋力および主観的疲労度を比較した.〔結果〕通常投球,シャドーともに肩関節内外旋筋力の低下が認められた.しかし,肩関節内旋可動域の減少は通常投球のみに認められ,シャドーでは肩関節外旋可動域の拡大が認められた.〔結語〕シャドーは,投球動作中の肩関節回旋運動における肩甲胸郭関節の関与が大きいことから,投球障害発生リスクを軽減させる可能性が示唆された.
  • 金井 欣秀, 山本 良平, 秋月 千典, 中野 渉, 大橋 ゆかり
    2015 年 30 巻 2 号 p. 167-170
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ダウン症者の歩行比を測定し,歩行の成長的変化について検討することを目的とした.〔対象〕ダウン症者24名(平均年齢18.7歳(2.5~43.0歳),うち17歳以下のダウン症児16名(平均年齢12.2歳(2.5~17.9歳),健常児111名(平均年齢 4.5歳(1.3~6.7歳)とした.〔方法〕歩幅,歩行率,歩行比,身長を測定し,各群の歩行比に対する回帰式を求めた.ダウン症児群で歩行比に与える歩幅と歩行率の影響を検討する重回帰分析を行い,年齢と歩幅と歩行率の関係についてPearsonの積率相関分析を行った.〔結果〕ダウン症児群で歩行率は歩行比に有意な影響を及ぼし,歩幅は歩行比に有意な影響を及ぼさなかった.〔結語〕ダウン症者では歩行率の影響で歩行比の増加が遅くまで続くと考えられた.
  • 荒巻 英文, 加藤 宗規, 奥田 裕, 伊藤 俊一, 高栁 清美
    2015 年 30 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕骨格筋の反復伸張における筋肥大および筋力増強効果を,ヒトを対象として検証することとした.〔対象〕健常成人男性20名とした.〔方法〕対象筋は下腿三頭筋とした.反復伸張による等速性筋力測定装置での他動的足関節背屈運動を実施する介入群と対照群との間で,筋形状指標(腓腹筋筋厚・羽状角),下腿三頭筋の筋力,自動足関節背屈可動域を比較した.〔結果〕介入群の腓腹筋筋厚と羽状角は介入前後で有意に増大した.群間では筋力と自動足関節背屈可動域に有意差はみられなかった.〔結語〕健常成人男性の下腿三頭筋には,反復伸張による筋肥大効果があり,筋力増強には筋肥大以外の要素も関与すると考えられる.
  • 菱山 明彦, 勝平 純司, 丸山 仁司
    2015 年 30 巻 2 号 p. 177-181
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下肢先端出力測定を参考に考案した下肢筋力測定方法により大腿骨近位部骨折術後者の下肢機能を調査すること.〔対象〕初発の片側大腿骨近位部骨折術後者10名とした.〔方法〕Hand-Held Dynamometerを使用し,背臥位,膝関節90°屈曲位における下肢先端部から発揮される力を測定した.力の方向は直立姿勢で重力に対応する方向と,その方向に直交する前後方向の3方向で行った.〔結果〕下肢先端部から発揮される力は直立姿勢で重力に対応する方向に最も大きく,3方向すべてで術側が有意に低値を示し,3方向の非術側に対する術側の低下の比率に関して有意差はなかった.〔結語〕大腿骨近位部骨折術後者の下肢先端部で発揮される力は多様な方向で低下し,低下の度合には差がなかった.
  • 及川 真人, 久保 晃
    2015 年 30 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕歩行パフォーマンスと生活空間の関係を明らかにすることとした.〔対象〕脳血管障害により片麻痺を呈し,当院外来に通院している138名とした.〔方法〕歩行パフォーマンス評価には10m歩行時間を生活空間評価にはLife-space Assessment(以下LSA)を用いた.両変数の相関を分析し,単回帰式を算出した.また,より適合する曲線回帰を検討した.〔結果〕LSAと10m歩行時間はr=-0.576と負の相関を示した.また,直線回帰に比べ,逆数回帰がr=-0.768とより適合した.〔結語〕10m歩行時間から生活空間を把握し,生活アドバイスを行うことは生活期リハにおいて有効であると考える.
  • 荒井 友章, 杉浦 令人, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    2015 年 30 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕主観的運動強度(RPE),重錘バンドを用いて低負荷かつ簡便的な膝関節伸展動作の運動負荷強度設定方法の考案を行う.〔対象〕要介護度3未満の高齢者16名を対象とした.〔方法〕1RMを100%とし,25,50,75,100%の負荷質量を与え,RPEの再現性と負荷質量との関係性を検証した.また,簡便的な運動負荷強度設定方法の信頼性と妥当性の検証を行った.〔結果〕再現性は重み付きk係数=0.72~0.92という結果が得られた.また,RPEと負荷質量との関係性はSpearmanの順位相関係数にてr=0.93であった.そして,考案した運動負荷強度設定方法の信頼性と妥当性が得られた.〔結語〕本研究で考案した方法が簡便的に高齢者に適した負荷を算出する方法であることが示唆された.
  • 菅沼 一男, 平林 茂, 大日向 浩, 金子 千香
    2015 年 30 巻 2 号 p. 193-196
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法学科に在籍する学生の大学生活不安を調査することとした.〔対象〕4年制大学の理学療法学科3年次に在籍し,長期臨床実習を間近に控えた70名の学生.〔方法〕集合調査法による回答から得られた大学生活不安尺度を留年未経験者からなる群と経験した者からなる群との間で比較した.〔結果〕留年経験者の群の日常生活不安が未経験者の群に比べてより高値を示した.男女の比較では,日常生活不安の程度と総合得点で男性が高値を示し,大学不適応の程度では女性が高値を示した.〔結語〕留年を経験すると日常生活不安が高くなることから,これらの学生に対する支援が必要である.また,臨床実習が大学生活不安に影響を及ぼす一因と推測されることから,実習後との比較など経時的変化の検討を行う必要がある.
  • 後藤 和也, 久保 晃, 神津 教倫
    2015 年 30 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕身体各部の筋量から要支援状態区分「要支援1」と「要支援2」に違いがあるのかを明らかにすることである.〔対象〕対象は要支援高齢女性27名(要支援1:17名,要支援2:10名)とした.〔方法〕BIA方式の体組成計を用いて全身筋肉量,大腿筋肉量,下腿筋肉量,体幹筋肉量を測定し,Mann-WhitneyのU検定を用いこれらの平均値の比較を行った.〔結果〕両群間で属性に有意差は認められなかった.筋肉量では下腿を除き,要支援2の群で有意に低値を示した.〔結語〕「要支援2」では筋量が少なく,生活様式や身体活動量が影響していると考えられる.
  • 中西 智也, 橘 香織, 冨田 和秀, 塩川 まなみ, 水上 昌文, 居村 茂幸
    2015 年 30 巻 2 号 p. 203-206
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕腹横筋収縮能力向上のための練習方法として腹圧呼吸練習を考案し,その有効性を検討する.〔対象〕平均年齢20.7 ± 0.8歳の健常成人23名である.〔方法〕被験者を無作為に腹圧呼吸併用群,腹圧呼吸非併用群の2群に分類した.被験者ごとに,測定1,測定2,練習課題後の計3回腹横筋筋厚を測定し,経時的な筋厚の変化および課題間での差について分析した.〔結果〕腹圧呼吸併用群において練習課題実施後に有意な筋厚の増加が認められた.〔結語〕日常的に意識して活動させることが少ない腹横筋の収縮を学習するために,腹圧呼吸練習を用いることで,より強度な腹横筋の収縮が得られる可能性が示唆された.
  • 田邉 泰雅, 水上 昌文
    2015 年 30 巻 2 号 p. 207-212
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕階段降段速度の違いが下肢のバイオメカニクスに与える影響について立脚相を前半と後半に区分して明らかにすることとした.〔対象〕健常若年成人20名(男性12名,女性8名)とした.〔方法〕動作計測に三次元動作解析装置と地面反力計を用い,地面反力,関節モーメント,関節角度を算出した.降段速度として3条件のケイデンスを規定した. 〔結果〕立脚相前半の膝関節伸展と足関節底屈モーメントピーク値は速度が高くなるほど大きくなり,その際の膝関節屈曲角度,足関節底屈角度も増加した.一方, 立脚相後半の膝関節伸展モーメントピーク値は速度が高くなるほど小さくなり,その際の膝関節屈曲角度も減少した.〔結語〕降段速度が下肢のバイオメカニクスに与える影響は,立脚相前半と後半で異なる.
  • 白井 智裕, 竹内 幸子, 福田 憲子, 加藤 宗規
    2015 年 30 巻 2 号 p. 213-217
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大腿骨近位部骨折症例に対し,術後1週の歩行能力から退院時歩行能力を予測できる因子について検討した.〔対象〕大腿骨近位部骨折症例119例とした.〔方法〕術後1週の歩行能力から3群に分類し,退院時歩行能力の到達確率を算出した.また年齢や認知症などを加えた予測式を検討した.〔結果〕退院時に杖歩行獲得する確率は,術後1週の歩行能力が平行棒以下では24.2%,歩行器では86.7%,杖歩行以上では100%であった.また,多変量解析により,術後1週の歩行能力が平行棒以下群では年齢,手術までの日数,受傷前barthel index,歩行器群では年齢,認知症が採択された.〔結語〕術後1週歩行能力は大腿骨近位部骨折症例の予後予測をする上での指標となる.
  • 隈元 庸夫, 世古 俊明, 三浦 紗世, 中村 直人, 田中 昌史, 伊藤 俊一
    2015 年 30 巻 2 号 p. 219-224
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕座位と立位で多段階に前傾姿勢を保持した際の筋硬度の体位と構えの間の相違を検討すること.〔対象〕健常男性19名とした.〔方法〕腰部背筋,多裂筋を測定部位とし,体位を座位と立位の2水準,構えを体幹傾斜角0から60°の7水準の体幹前傾位とした.仙骨傾斜角,大腿傾斜角および股関節屈曲角の測定条件間の比較を行い,筋硬度値の相対ならびに絶対信頼性,運動課題による腰背部の筋硬度の違いを検討した.〔結果〕立位と比較して座位での仙骨はより後傾していた.筋硬度測定の信頼性と妥当性は高かった.体幹傾斜角が浅い角度では座位時の多裂筋部の筋硬度が立位時よりも高値を示した.〔結語〕筋硬度計は腰背部の硬さを確認することが可能であるが,立位と比較して座位での筋硬度の検討においては仙骨傾斜による影響を留意すべきである.
  • 杉浦 令人, 畠中 泰彦, 荒井 友章, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    2015 年 30 巻 2 号 p. 225-228
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕膝関節伸展の等張性収縮における力─速度の関係の立証や等尺性最大トルクを推定する上で,人体にとって計測の安全性を担保するための適切な負荷を検討した.〔対象〕20~30代の健常男性6名とした.〔方法〕ハイスピードビデオカメラで撮影した映像を動画編集ソフトウェアにて連続静止画へ変換し,画像計測ソフトウェアの角度ツールを用いて角速度,関節角度を求めた.最小負荷では20%,30%,40%1RM,最大負荷では100%,130%,150%,160%1RMにおける角速度を比較した.〔結果〕最小負荷では3条件に有意差はなく,最大負荷では150%と160%の間以外に有意差があった.〔結語〕最小負荷は40%,最大負荷は150%が適切な負荷であると考えられた.
  • 武田 広道, 岡山 裕美, 大工谷 新一
    2015 年 30 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は胸椎弯曲角度,腰椎弯曲角度,骨盤後傾角度が胸郭可動性や呼吸機能に影響を及ぼす程度を明らかにすることを目的とした.〔対象〕対象は健常成人男性14名とした.〔方法〕骨盤前後傾中間位,10°後傾位,30°後傾位,50°後傾位の端座位で呼吸機能,胸郭拡張差,胸腰椎弯曲角度を測定した.また胸郭可動性,呼吸機能と胸椎後弯角度,腰椎後弯角度,骨盤後傾角度の関係について重回帰分析を行った.〔結果〕胸郭可動性と呼吸機能は骨盤後傾角度の程度に最も影響された.次いで腰椎後弯角度,胸椎後弯角度が影響した.〔結語〕骨盤後傾角度の改善が胸郭可動性と呼吸機能を改善する可能性があることが示唆された.
  • 杉浦 令人, 畠中 泰彦, 荒井 友章, 櫻井 宏明, 金田 嘉清
    2015 年 30 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕力─速度の関係に着目し,二次元動作解析による膝伸展等尺性最大トルクの推定に有効な関節トルクと角速度の組合せを検証した.〔対象〕24~38歳の健常男性10名とした.〔方法〕ハイスピードビデオカメラで撮影した映像を動画編集,画像計測ソフトウェアから求めた関節点の座標を力学モデルに代入し,角速度,関節角度,関節トルクを計算した.等尺性最大トルクの推定に有効な角速度と関節トルクの組合せを検証し,推定値と実測値の比較を行った.〔結果〕等尺性最大トルクの推定値と実測値のICCは0.601~0.760であり,推定値を求める上で適合性の高い組合せは最高角速度と最大トルクであった.〔結語〕今後,任意の筋力発揮における適合性の検証や対象者を増やし負荷数を制限させた場合における推定値の有効性も検証したい.
  • 松村 将司, 宇佐 英幸, 小川 大輔, 市川 和奈, 畠 昌史, 清水 洋治, 古谷 英孝, 竹井 仁, 篠田 瑞生
    2015 年 30 巻 2 号 p. 239-246
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕関節可動域(ROM)と筋力に関して,年代間の相違とその性差を検討すること.〔対象〕若年群,中年群,高齢群に分けられた脊柱,下肢に整形外科的既往のない男女141名.〔方法〕ROMと筋力測定は,股,膝,足関節に対して行った.〔結果〕ROMは,多くの項目が男性は中年群,女性は高齢群で著明に低下し,股関節内転,膝関節屈曲,足関節背屈では性差を認めず,股関節外旋のみ男性が有意に大きく,その他の項目は女性で有意に大きい値を示した.筋力は,多くの項目が男女とも中年群で著明に低下し,若年群の股関節伸展・外転・内転,膝関節伸展・屈曲,中年群の膝関節伸展において男性で有意に大きい値を示した.〔結語〕男女それぞれのROM,筋力の加齢による変化の傾向および性差を考慮した理学療法を実施することが重要である.
  • 三浦 雅文
    2015 年 30 巻 2 号 p. 247-250
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕手指を個別に屈曲運動した時の正中神経の機械的機能を調査することとした.〔対象〕健常成人7名とした.〔方法〕手指を個別に自動的および他動的に屈曲運動させた時の,手根管部における正中神経を超音波画像診断装置で撮像した.次に正中神経の横断的移動距離を計測し各手指間で比較した.〔結果〕第3指自動屈曲時の正中神経横断的移動距離は1.4 ± 0.7mm(平均±標準偏差)であり,他指よりも有意に大きかった.一方,他動的な手指屈曲時の正中神経横断的滑走距離は小さかった.〔結語〕手指自動屈曲時に正中神経は隣接する第3 指屈筋腱からの圧迫を強く受けており,その圧迫から逃れるように横断的に移動すると考えられる.
  • 渕上 健, 松尾 篤, 越本 浩章, 河口 紗織, 北裏 真己, 松井 有史, 森岡 周
    2015 年 30 巻 2 号 p. 251-256
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕慢性期脳卒中片麻痺患者の下肢機能に対する運動観察治療の効果を検証すること.〔対象〕慢性期脳卒中片麻痺患者21名とした.〔方法〕参加者を運動観察治療群と対照群に分けた.運動観察治療群は他者が前方またぎおよび側方またぎ動作を施行している映像を各5分間観察した後,同様の身体練習を各5分間実施した.対照群はまたぎ動作の身体練習のみを行った.アウトカムは前方および側方またぎ動作の成功回数,functional reach test,four square step testとし,介入前後および介入1ヵ月後に抽出した.〔結果〕群間比較において,functional reach testに交互作用が認められた.また,運動観察治療群において,前方またぎ動作の成功回数,functional reach test,four square step testが有意に向上し,介入1ヵ月後まで持続した.また,効果量についてすべての項目で運動観察治療群が対照群を上回っていた.〔結語〕慢性期脳卒中片麻痺患者に対する運動観察治療は,身体練習のみに比較して下肢パフォーマンスを有意に改善させる.
  • 菅沼 一男, 増田 紗嘉, 齋藤 孝義, 金子 千香, 芹田 透
    2015 年 30 巻 2 号 p. 257-260
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は3mジグザグ歩行テストと運動機能の関係について検討すること.〔対象〕対象は地域に在住する高齢者50名.〔方法〕3mジグザグ歩行テストと運動機能との関係を検討するために3mジグザグ歩行テスト,Time UP & GO Test,Functional Reach Test,座位足開閉テスト,5m全力歩行,立位つま先立ち回数を測定した.〔結果〕3mジグザグ歩行テストは,全ての運動機能と有意な相関を示した.また,重回帰分析の結果,3mジグザグ歩行テストの測定値に影響を及ぼす運動機能として5m全力歩行が選択された.〔結語〕3mジグザグ歩行テストは,歩行能力との関係が深いと考えられた. 転倒リスクの評価は,いくつかの評価を組み合わせて行う必要があると考えた.
  • 池澤 秀起, 高木 綾一, 鈴木 俊明
    2015 年 30 巻 2 号 p. 261-264
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕腹臥位での下肢空間保持課題において,肩関節外転角度の変化が下肢空間保持側と反対側の僧帽筋下部線維の筋活動に与える影響を検討した.〔対象〕健常男性16名とした.〔方法〕課題は腹臥位での下肢空間保持とし,肩関節の外転角度を変化させ,各々の肢位での筋活動を比較した.測定筋は下肢空間保持側と反対側の僧帽筋下部線維とした.〔結果〕下肢空間保持側と反対側の僧帽筋下部線維の筋活動は,肩関節外転角度が0度・30度・60度に対して90度・120度において有意に増大した.〔結語〕僧帽筋下部線維は脊柱の固定に加え,上肢を重さとして利用するために肩甲骨の上方回旋作用にも関与したのではないかと考えられた.
  • 岩村 真樹, 金内 雅夫, 梶本 浩之
    2015 年 30 巻 2 号 p. 265-271
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕骨格筋量のデータの蓄積とサルコペニア診断におけるカットオフ値の作成,加齢に伴う骨格筋量変化の検討を行なう為に,MRI法を基準に推定式が算出されたBIA法を用いて骨格筋量の測定を行った.〔対象〕18歳から84歳までの日本人男女1347名(男性622名,女性725名)とした.〔方法〕上下肢と全身骨格筋量,さらに骨格筋量指数(以下SMI)を測定し,性別・年齢別に検討した.〔結果〕全ての部位において男性と比較して女性の骨格筋量減少率が低く算出された.骨格筋量のカットオフ値は男性4.0kg/m2,女性2.9kg/m2となった.〔結語〕加齢に伴う骨格筋量の減少は男女ともに認められたが,男性により大きく生じていた.また,BIA法においては測定機器により値が異なることが示唆された.
  • 三浦 雅文
    2015 年 30 巻 2 号 p. 273-277
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は上肢の運動時における正中神経の運動について調査することを目的とした.〔対象〕健常成人13名(年齢の平均±標準偏差は23.4 ± 3.9歳)を対象とした.〔方法〕手指自動屈曲運動と正中神経動力学検査を行い,前腕中央部の正中神経超音波画像を撮像した.次に横断的移動距離,横断面積,外周径,最適楕円長短径比を算出し,運動の前後で比較した.〔結果〕手指屈曲運動および正中神経動力学検査はともに,正中神経は筋の動きに応じて横断方向に移動し,その動き方は被験者ごとに異なっていた.一方横断面積,外周径,最適楕円長短径比は運動の前後で有意な変化はなかった.〔結語〕正中神経は手指屈筋の収縮および正中神経の長軸方向の緊張による影響を受け,正中神経周囲の組織の動きに応じて様々な方向へ横断的に移動した.この運動には被験者ごとに差異がみられ,正中神経滑走の個別性が示唆された.
  • 隈元 庸夫, 世古 俊明, 田中 昌史, 伊藤 俊一
    2015 年 30 巻 2 号 p. 279-283
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕姿勢の違いが静的な屈曲弛緩現象へ及ぼす影響を筋電図学的に比較し,背筋群を弛緩,賦活すべき角度が異なるかを明確化すること.〔対象と方法〕健常男性30名において多段階な体幹前傾位保持の運動を立位と座位で実施した。前傾角度(0,10,20,30,40,50,60°,最大前傾位)の違いと体位の違いにおける筋活動量を比較検討した.胸・腰部脊柱起立筋,多裂筋,大殿筋,大腿二頭筋を導出筋とした.〔結果〕前傾角度別では前傾位ほど筋活動量が増加したが,座位では浅い前傾位保持の段階で多裂筋を含めた脊柱起立筋群の筋活動量が一定となった.体位別では座位で前傾位となるほど体幹筋活動量は立位時よりも有意に低値となった.〔結語〕立位と比較して,座位では浅い前傾位の段階で背筋群の筋活動量が低値で一定となる.
  • 藤堂 恵美子, 樋口 由美, 今岡 真和, 北川 智美, 平島 賢一, 上田 哲也
    2015 年 30 巻 2 号 p. 285-289
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕地域在住男性高齢者における外出頻度低下の関連要因を検討することとした.〔対象〕ニュータウンに居住する65歳以上の男性を対象とした.〔方法〕無記名自記式の質問紙を配布し,回収率は59.4%であった.分析対象者は116名とした.単変量解析にはχ2検定,多変量解析にはロジスティック回帰分析を使用した.〔結果〕単変量解析の結果,後期高齢者,居住棟にエレベーターがない,居住棟と近隣商店との高低差が大きいことが外出頻度低下に対する有意な関連性を示した.外出頻度低下に対する有意な独立関連因子は,「居住棟と近隣商店との高低差が大きい」(調整オッズ比4.03)および「後期高齢者」(調整オッズ比3.10)であった.〔結語〕地域在住男性高齢者の外出頻度には,環境要因が関連することが示唆される.
  • 池野 祐太郎, 田中 聡, 山田 英司, 福田 航, 片岡 悠介, 濱野 由夏, 竹内 謙太, 川上 翔平, 二宮 太志, 五味 徳之
    2015 年 30 巻 2 号 p. 291-295
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕半腱様筋腱と薄筋腱(STG)を用いた膝前十字靱帯(ACL)再建術後9週における歩行立脚初期の膝伸展モーメントと1年後の脛骨前方移動量(ATT)の関係を検証し,膝伸展モーメントが再建靱帯に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象〕STGを用いたACL再建術後患者10例20肢(健側,患側)とした.〔方法〕歩行立脚初期の膝伸展モーメントは術後9週に三次元動作解析装置と床反力計から算出し,体重で正規化した.また,術後1年にATTを求めた.〔結果〕術後9週の膝伸展モーメントは健側より患側で有意に低値を示し,術後9週の患側の膝伸展モーメントと術後1年のATTに関連はなかった.〔結語〕二次的損傷予防から,ACL再建術後9週では歩行立脚初期の膝伸展モーメント低下の改善が必要である.
  • 竹中 裕人, 西浜 かすり, 矢口 敦貴, 牛島 秀明, 宮地 庸祐, 古田 国大, 鈴木 惇也, 花村 俊太朗, 花村 浩克, 神谷 光広
    2015 年 30 巻 2 号 p. 297-300
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕病院職員の腰痛の実態とその関連要因を明らかにすることとした.〔対象〕整形外科病院に勤務する職員40人とした.〔方法〕腰痛の有無,腰痛特異的QOL尺度,職種,BMI,下肢伸展挙上角度,指床間距離,股関節前面筋のタイトネス(トーマス法変法),踵殿部距離,体幹屈曲・伸展筋力,腰痛の予後に対する認知(Back Beliefs Questionnaire: BBQ)を測定した.〔結果〕22名(55%)に腰痛を認めた.非腰痛群はBBQ得点が高かった.多重ロジスティック回帰分析の結果,BBQ得点が高いこと,職業分類で看護師以外であること,体幹伸展筋力が高いことが非腰痛群の特徴であった.〔結語〕病院職員の腰痛には,腰痛の予後に対する認知,職業分類,体幹伸展筋力が関連することが示唆された.
  • 大場 かおり, 寳珠山 稔
    2015 年 30 巻 2 号 p. 301-305
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕視空間情報が認知される前の情報弁別脳反応を脳磁計により検出し,その特性を明らかにすることを目的とした.〔対象〕神経的・精神的疾患の既往がない視力0.8以上の右利き健常成人10名を対象とした.〔方法〕仮現運動を利用し,同一方向に頻回に移動する標準刺激と反対方向に移動する逸脱刺激によるミスマッチ脳磁場反応(mismatch field, MMF)を測定後,上下左右方向への刺激で生じるMMFの推定電流強度を比較した.〔結果〕左方向の標準刺激と右方向の逸脱刺激により右半球に生じたMMF推定電流が有意に大きかった.〔結語〕右方向逸脱刺激の検出により多くの脳活動が生じることが示唆され,視空間認知機能には方向特異性が存在することが示唆された.この視空間認知機能と高齢者の転倒リスクとの関係が検討されるべきと考えられた.
  • 小諸 信宏, 坂本 雄, 吉村 正美, 加藤 宗規
    2015 年 30 巻 2 号 p. 307-311
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕退院時書類提出後の管理方法を整備することによる影響について効果を検討した.〔対象〕入院部門を担当していたスタッフ51~57名とした.〔方法〕書類提出不備率に変化がない時期をベースライン期,先行刺激を整備した時期を介入A期,後続刺激を整備した時期を介入B期,後続刺激を再整備した時期をフォローアップ期とした.統計解析として各期間の書類不備率をχ2 独立性の検定により検討した.〔結果〕書類不備率は,ベースライン期35.7%,介入A期37.1%,介入B期19.2%,フォローアップ期11.9%であり,ベースライン,介入A期と比較し,介入B期で有意な差を認めた.〔結語〕退院時提出書類不備率減少を目標に行った介入は,有効なものと考えられた.
  • 大西 智也, 橘 浩久, 武田 功
    2015 年 30 巻 2 号 p. 313-316
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕安静立位における足位の違いが身体動揺にどのような影響を与えるのか検討した.〔対象〕健常男性9名とした.〔方法〕左右の脛骨粗面直下と上後腸骨棘の中点を3 部位に加速度/角速度センサーを装着した.開眼による開脚立位と閉脚立位をそれぞれ約40 秒間保持したときに得られる3 軸角速度からオイラー角を算出し,極角と方位角を用いて,各部位ごとに最大の極角(最大傾斜角)とそのときの方位角を求めた.〔結果〕3部位の最大傾斜角について,開脚立位では有意な差がみられたが,閉脚立位ではみられなかった.骨盤部の最大傾斜角の向きは左右であった.〔結語〕健常成人の安静立位時の身体動揺の特徴は,支持基底面が狭くなることで傾斜角の範囲は3部位で類似すること,骨盤部は左右に動揺しやすいことであると示唆される.
  • 五味 雅大, 平野 正広, 加藤 宗規
    2015 年 30 巻 2 号 p. 317-321
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕上肢(肩関節)筋力測定において,ベルト固定を用いたハンドヘルドダイナモメーター(HHD)測定方法の妥当性を検討した.〔対象〕若年健常者20名とした.〔方法〕上肢筋力測定は,肩関節屈曲・伸展・外転・外旋・内旋の5種とした.HHDは,2名の検者(検者A・B)が測定した.HHDによる測定値の妥当性は,Biodexによる測定値を外的基準とした基準関連妥当性を検討した.〔結果〕ピアソンの相関係数は,検者A・B両者におけるそれぞれの測定項目において,有意な相関が認められた.〔結語〕ベルトを用いたHHDによる上肢(肩関節)筋力測定は高い妥当性を有しており,臨床において各種比較にも耐えうる測定値が得られると考えられた.
  • 金子 秀雄, 岡本 龍児, 鈴木 あかり
    2015 年 30 巻 2 号 p. 323-327
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,健常若年男性における吸気抵抗負荷時の胸腹部呼吸運動と呼吸努力感の関連を検証することを目的とした.〔対象〕健常男性15名を対象とした.〔方法〕安静呼吸と吸気抵抗時の呼吸努力感,胸腹部呼吸運動(左右の上部胸郭と下部胸郭,腹部),呼吸数,呼吸パターンを三次元動作分析装置により測定した.データ分析には多重比較法,一般化線形混合モデルによる赤池の情報量基準(AIC)を用いた.〔結果〕吸気抵抗増大に伴い修正ボルグスケール,胸部呼吸運動,胸式呼吸の優位性は有意に増大し,呼吸数は有意に減少した.左上部胸郭の呼吸運動は呼吸努力感に対して最も低いAICを示した.〔結語〕健常若年男性において上部胸郭,特に左上部胸郭の呼吸運動は吸気抵抗負荷による呼吸努力感の予測に適していることが示唆された.
紹 介
  • 木下 和昭, 橋本 雅至, 米田 勇貴, 中 雄太, 北西 秀行, 大八木 博貴, 星野 祐一, 柴沼 均
    2015 年 30 巻 2 号 p. 329-332
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は体幹機能を評価するために考案されたTrunk Righting Test(以下,TRT)の姿勢を重心動揺から検討した.〔対象〕対象は変形性関節症(股,膝)患者29名とした.〔方法〕測定はTRTと片側坐骨支持になる端座位の重心動揺の総軌跡長,外周面積,単位面積軌跡長,左右と前後方向の平均移動速度とした.TRTと各検査項目との関係を検討し,また各個人のTRTの結果の小さい側方(以下,劣位側)と大きい側方(以下,優位側)にて比較した.〔結果〕優位側は劣位側より外周面積が有意に小さく,単位面積軌跡長が有意に大きかった.〔結語〕TRTの優位側は劣位側より小さな重心移動範囲で,安定した姿勢保持をしていたと考えられた.
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