抄録
〔目的〕半腱様筋腱と薄筋腱(STG)を用いた膝前十字靱帯(ACL)再建術後9週における歩行立脚初期の膝伸展モーメントと1年後の脛骨前方移動量(ATT)の関係を検証し,膝伸展モーメントが再建靱帯に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象〕STGを用いたACL再建術後患者10例20肢(健側,患側)とした.〔方法〕歩行立脚初期の膝伸展モーメントは術後9週に三次元動作解析装置と床反力計から算出し,体重で正規化した.また,術後1年にATTを求めた.〔結果〕術後9週の膝伸展モーメントは健側より患側で有意に低値を示し,術後9週の患側の膝伸展モーメントと術後1年のATTに関連はなかった.〔結語〕二次的損傷予防から,ACL再建術後9週では歩行立脚初期の膝伸展モーメント低下の改善が必要である.