抄録
〔目的〕聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施し,難治性疼痛患者への効果検証を目的とした.〔対象〕腰部の慢性的な疼痛を主訴とする81歳女性.〔方法〕トレーニング介入は,脳波周波数帯域θおよびα波帯域のコントロールトレーニングを実施した.トレーニング介入による心理的効果の検証は,VAS,PCS,STAIにて評価した.また,神経生理学的評価は,脳波周波数解析により算出される周波数帯域毎の神経活動としての平均電位を指標とし,その変化を検証した.〔結果〕介入前後を比較したところ,脳波周波数成分β波帯域の活動電位の減少およびPCS,STAIの得点に減少が認められた.〔結語〕聴覚ニューロフィードバックトレーニングを実施したことで本症例において慢性疼痛への固執や不安感が改善される可能性が示唆された.