理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
症例研究
姿勢制御における足部感覚貢献度の向上により歩行能力改善を示した脳卒中患者の1症例
澳 昂佑木村 大輔松木 明好井上 純爾服部 暁穂中野 英樹川原 勲
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2016 年 31 巻 2 号 p. 355-360

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抄録
〔目的〕立位姿勢制御時の感覚統合の異常が改善したことにより,歩行能力が改善した症例を経験したので報告する.〔対象〕対象は脳梗塞発症後1ヵ月経過した70歳代女性とした.本症例は,明らかな麻痺がないにもかかわらず,麻痺側立脚期が短縮し,転倒の危険性を有していた.〔方法〕立位時の各感覚貢献度を算出すると,本症例は感覚情報の重みづけに異常を有していることが明らかとなった.通常の理学療法に加え,セラピストはディジョックボード上で麻痺側片脚立位姿勢をとらせ,足底からの感覚入力を促すトレーニングを行った.介入期間は1ヵ月とした.〔結果〕立位時感覚貢献度指数,歩行左右対称性,10m歩行速度に改善が認められた.〔結語〕今回の再重みづけトレーニングが本症例の立位時の感覚統合に効果があった可能性が示唆された.
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© 2016 by the Society of Physical Therapy Science
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