理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
症例研究
抗好中球細胞質抗体関連血管炎による手指切断後の潰瘍に対して微小電流刺激療法を実施した一症例
榊原 僚子加藤 宗規髙橋 麻美飛田 美穂
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 31 巻 2 号 p. 349-354

詳細
抄録
〔目的〕抗好中球細胞質抗体関連血管炎による手指切断後,創傷解離となり,その後創傷部の上皮化が得られず,創傷治癒には長期化が予想された透析患者に対して,入院8ヵ月目から潰瘍の上皮化を目的に行った微小電流刺激による治療効果を診療録から後方視的に検証すること.〔対象〕25ヵ月の入院治療により潰瘍の上皮化が得られ退院した血液透析患者1名であった.〔方法〕退院後,診療録から後方視的に創部の状態等のデータを抽出し,微小電流刺激による治療前後の経過を比較した.微小電流刺激は,1日30分間を週6回の頻度で実施した.〔結果〕右Ⅰ~Ⅴ指の腐骨が脱落し,治療開始18ヵ月後には創傷部の潰瘍が上皮化した.〔結語]小型軽量の機器を用いた微小電流刺激による治療は血管炎による切断後に離開した創傷部の潰瘍に有効である可能性が考えられた.
著者関連情報
© 2016 by the Society of Physical Therapy Science
前の記事 次の記事
feedback
Top