抄録
〔目的〕簡易器具(呼吸運動測定器)を用いた腹部呼吸運動測定から横隔膜運動を推定できるか否かを検証することとした.〔対象と方法〕健常若年男性15名を対象とした.呼吸運動測定器の腹部移動距離(Dab)(10,20,30 mm)に合わせた呼吸運動を行わせ,そのときの腹部上の反射マーカ移動距離(Dma)と横隔膜移動距離(Ddi)をそれぞれ三次元動作分析装置と超音波画像診断装置で測定した.またDdiを超音波プローブの動きで補正した(Ddi-c).〔結果〕Dabに比例してDma,Ddi,Ddi-cは増加し,DabまたはDmaによるDdiとDdi-cの回帰式は,高い決定係数を示した.〔結語〕健常若年男性においてDab測定は,DdiおよびDdi-cの推定に有用である.