2017 年 32 巻 5 号 p. 669-674
〔目的〕姿勢変化が吸気負荷時の左右胸郭形状に及ぼす影響を,上下胸郭体積変化から比較検討すること.〔対象と方法〕対象は若年男性10人とした.三次元動作解析装置を用い,吸気負荷を加えたときの胸骨切痕から第3肋骨の腹側から中点までの合計を上部胸郭体積変化,胸骨剣状突起から第10肋骨の中点から背側までの合計を下部胸郭体積変化とした.姿勢は,直立座位と後傾座位とした.〔結果〕直立座位および後傾座位の吸気負荷時の胸郭形状は,上部胸郭では右胸郭に比べ左胸郭で,下部胸郭では左胸郭に比べ右胸郭で有意に大きく体積が変化した.〔結語〕胸郭形状は,姿勢変化時の吸気負荷においても,上部胸郭は左の拡張性,下部胸郭では右の拡張性が大きいことが示めされた.