抄録
〔目的〕本研究では杖操作を指導する際に応用できる知見を得ることを目的に,歩行時の杖の使用が距離知覚にどのような影響を受けるかを明らかにした.〔対象と方法〕健常成人14名を対象に,歩行時の歩幅調整課題を行った.独立変数は杖の使用要因(あり,なし)と歩幅要因(通常,小さい歩幅,大きい歩幅)とし,目標歩幅に対する誤差の大きさと歩幅のばらつきを従属変数として要因の影響を分析した.〔結果〕目標歩幅に対する誤差の大きさは杖の使用の有無による違いを認めなかったが,歩幅のばらつきは杖を使用する条件で有意に大きかった.〔結語〕歩行時の杖の使用は,歩幅のばらつきを大きくし,歩行リズムを不安定にすると考えられた.