理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
33 巻, 2 号
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原著
  • 鈴木 加奈子, 塩島 直路
    2018 年 33 巻 2 号 p. 199-202
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕座面側方傾斜時における肩甲帯,肩甲骨,体幹の動きを検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常成人15名を対象に,傾斜板上での座位,座面を左右各々へ傾斜させた座位での上下部体幹角度,肩甲帯傾斜角度,肩甲骨回旋角度を計測し,3肢位間で比較した.〔結果〕両側ともに上下部体幹の座面傾斜と対側の側屈,座面傾斜側肩甲骨の胸郭上での下方回旋がみられた.一方,肩甲帯傾斜角度に有意差はなかった.〔結語〕座面側方傾斜時には上下部体幹の側屈と肩甲骨の胸郭上での下方回旋が生じ,肩甲帯傾斜角度は変化させずに対応することが示唆された.
  • —胸鎖乳突筋筋活動および筋厚と頸長筋筋厚の測定による検討—
    今田 康大, 遠藤 敦士, 竹井 仁
    2018 年 33 巻 2 号 p. 203-207
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕頸椎関節モビライゼーション手技の介入が,頭頸部屈曲運動時の胸鎖乳突筋の筋活動および胸鎖乳突筋と頸長筋の筋厚に影響を与えるかを,表面筋電図と超音波診断装置にて検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常男性42名(平均年齢26.5歳)を無作為に,頸椎離開モビライゼーション,頸椎屈曲モビライゼーション,頸椎離開+屈曲モビライゼーション併用,安静座位の4群に分けて介入した.〔結果〕頸椎離開+屈曲モビライゼーション併用の介入後に,胸鎖乳突筋筋活動および筋厚変化率が低下し,頸長筋筋厚変化率が増加した.〔結語〕頸椎分節での離開と屈曲方向への徒手理学療法の介入は,頭頸部屈曲運動時の頸部屈曲筋群の筋活動や筋厚に影響を与えることが示された.
  • 稲田 竜太, 三谷 保弘, 植田 篤史
    2018 年 33 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大腿四頭筋セッティングの肢位の違いが,大腿四頭筋の筋活動に及ぼす影響について検討した.〔対象と方法〕健常男性10名を対象とし,背臥位ならびに腹臥位でのセッティングを実施した.腹臥位でのセッティングは片脚で行い,非支持側の股関節を伸展0°と最大伸展位の2つに設定した.このときの支持側の大腿直筋,内側広筋,外側広筋の筋活動を表面筋電計にて計測した.〔結果〕非支持側の股関節を最大伸展位にした腹臥位でのセッティングは,他の肢位に比べて支持側の大腿直筋の筋活動が有意に増大した.〔結語〕大腿四頭筋セッティングは,腹臥位にて非支持側の股関節を最大伸展位にすることで支持側の大腿直筋の筋活動が増大することが示唆された.
  • 廣重 陽介, 浦辺 幸夫, 川野 大二郎, 三戸 憲一郎, 川端 悠士
    2018 年 33 巻 2 号 p. 215-218
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足部および足関節の体積測定を3種類の周径測定法について,測定の信頼性,水槽排水法を用いた体積測定との関連,測定時間を調査し,より正確かつ効率的な方法を検討すること.〔対象と方法〕健常成人10名20足を対象とし,Figure of eight(FOE)法,FOE変法,FOE法とFOE変法の和のCombi法の3種類の周径測定法と水槽排水法にて足部および足関節の体積測定を行った.〔結果〕検者間信頼性については,FOE法,Combi法,FOE変法の順に高かった.水槽排水法との関連はいずれも強い正の相関が認められた.測定時間はCombi法がFOE法,FOE変法よりも長かった.〔結語〕FOE法による体積測定は測定誤差が少なく短時間で測定可能なため,より臨床的な測定法であることが示唆された.
  • —寝返り,起き上がりを含む動作能力の重要性について—
    橋本 祥行, 吉松 竜貴, 新納 法子, 井上 沙理奈, 石本 加奈子, 加辺 憲人, 久保 晃
    2018 年 33 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕回復期リハビリテーション病棟入院時情報から退院時歩行自立に関わる因子を抽出することとした. 〔対象〕初発の片側性テント上脳卒中患者143例(男性82例,女性61例,年齢69 ± 12歳)とした.〔方法〕診療録より基本属性,医学情報,社会的情報,機能障害,動作能力に関する患者情報を後方視的に抽出.なお,動作能力の評価には,BBSに起居動作を点数化したものを加えた変数を用いた.退院時に病棟内歩行自立の可否で2群に分類し,因子を検討した.〔結果〕退院時歩行自立に関わる因子として,起居動作を点数化しBBSに加えた変数が抽出された.〔結語〕回復期脳卒中における歩行能力の予後予測には,寝返り,起き上がりを含む動作能力の評価の重要性が示唆された.
  • 邵 双燕, 丸山 仁司
    2018 年 33 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕我々は動的バランスをみるDiamond Steps Test(DST)を考案し,その測定値と測定回数の信頼性を検討した.DSTとは,頂点60度と120度で,(身長 × 0.5)の辺の長さの菱形を歩く時の歩数または時間の測定である.〔対象と方法〕対象は若年者16名,検者間の検討の検者は2名とした.3つの測定法である30秒DS,5回DS,正反DSの測定値と測定回数の検者内・検者間信頼性を検討した.〔結果〕3つの測定法のそれぞれのICC(1.1)(2.1)(3.1)は,30秒DSは0.77,0.77,0.83,5回DSは0.91,0.88,0.87,正反DSは0.83,0.92,0.92を示した.〔結語〕30秒DSと比べ,5回DSと正反DSのほうがより高い信頼性を得ることができると示唆された.
  • —加速度計を用いた解析—
    宍戸 健一郎, 田中 聡, 島谷 康司, 金井 秀作, 島 圭介, 大内田 友規, 大窪 実果
    2018 年 33 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕片麻痺者の方向転換動作において回旋方向の違いと麻痺の重症度が歩行安定性に与える影響を3軸加速度計を用いて明らかにすること.〔対象と方法〕対象は見守り歩行あるいは自立歩行が可能な脳卒中片麻痺者19名.3軸加速度計を装着し,5 mの直線歩行と方向転換(麻痺側回り・非麻痺側回り)を行わせ,定常歩行と方向転換直前,方向転換開始時の歩行規則性についてBRSを用いた麻痺の重症度別で比較した.〔結果〕麻痺の重症度が低い患者の方が,方向転換時に有意に規則性の低下を認めた.〔結語〕麻痺の重症度が低い患者は規則性を低下させても方向転換可能であり,重症度が高い患者は規則性を保ちながら方向転換を行っていた.
  • 中口 拓真, 石本 泰星, 赤澤 直紀
    2018 年 33 巻 2 号 p. 235-240
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕回復期リハ病棟の運動器疾患患者におけるFIM運動スコア利得の臨床的意義のある最小差(MCID)を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は回復期リハ病棟患者102名であった.入院時FIM運動スコアから30日後FIM運動スコアを差分し利得を求めた.FIMの外的指標は,患者が変化度合いを報告する指標であるGlobal rating of change scale (GRC)で調査した.GRC –1と1を日常生活動作の改善のSmall change群とし,平均値をMCIDとした.〔結果〕Small change群のFIM運動スコア利得の平均値は14.6点であった.〔結語〕今回の対象では,回復期リハ病棟の運動器疾患患者が,日常生活動作改善を自覚するFIM運動スコア利得のMCIDは14.6点である.
  • 橋本 留緒, 浦邉 幸夫, 利根川 直樹, 福井 一輝, 前田 慶明
    2018 年 33 巻 2 号 p. 241-244
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大学女子硬式野球選手のスポーツ傷害と貧血症状に関するアンケート調査を行うことで現状を把握すること.〔対象と方法〕5大学142名の大学女子硬式野球選手を対象にインターネットによるアンケート調査を行った.〔結果〕47名(33.1%)から回答が得られた.大学入学以降に受傷した選手は24名47件(外傷29件,障がい18件)だった.貧血症状がある選手は14名,栄養を考えて食事をしていない選手は24名であった.貧血症状の有無と栄養への考慮の有無に関連はみられなかった.〔結語〕半数以上の選手が大学入学以降にスポーツ傷害を受傷している.29.8%もの選手が貧血症状を経験しており,貧血症状は栄養だけでなく運動負荷など他の原因も考えられる.
  • 菊元 孝則, 宮川 俊平
    2018 年 33 巻 2 号 p. 245-250
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,片脚着地時における矢状面上の下肢関節モーメントが,床反力垂直成分ピーク値にどのような影響を与えているか,明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象者は,大学女子バスケットボール部に所属している選手30名とした.三次元動作解析装置を用い,片脚着地時の矢状面上の各下肢関節モーメントを算出し,床反力垂直成分ピーク値との相関関係を検証した.〔結果〕足関節モーメントと床反力垂直成分ピーク値との間に強い負の相関関係が認められた.また,膝関節モーメントとの間には,正の相関関係が認められ,股関節モーメントとの間には,弱い正の相関関係が認められた.〔結語〕本研究の結果から,片脚着地時において足関節モーメントを高値にすることにより,床反力垂直成分ピーク値を抑える効率的な衝撃吸収となる可能性が示唆された.
  • —SARA,FIM,BBS,FACTとの比較—
    吉川 昌太, 伊藤 英隆, 長野 聖
    2018 年 33 巻 2 号 p. 251-254
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動失調を伴う急性期脳卒中患者に対し,退院先を予測するために最適な評価尺度を明らかにすること.〔対象と方法〕椎骨脳底動脈領域の脳卒中により運動失調を呈した34例を自宅退院群と転院群の2群に分類した.2群に対し,入院時のSARA,FIM,BBS,臨床的体幹機能検査(FACT)それぞれの得点を独立変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.また,尺度ごとにカットオフ値,および曲線下面積(AUC)を算出した.〔結果〕二項ロジスティック回帰分析では退院先に対して全ての尺度が関連を認め,AUCはSARAが最も高値であった.〔結語〕運動失調を伴う急性期脳卒中患者における退院先の予測にはSARAが最適である可能性が示された.
  • 長濱 優希, 小榑 健太, 足高 悠, 山下 聖弥, 菅野 雄大, 岡田 優佑, 山崎 馨子, 土田 ひかり, 中村 麻優, 大里 誠弥, ...
    2018 年 33 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕弾性ストッキング着用が漸増運動負荷中の呼吸循環反応に及ぼす影響を検討すること.〔対象と方法〕対象は健常成人男性7名.弾性ストッキング非着用条件・着用条件にて30分間安静をとった後,心肺運動負荷試験を実施した.〔結果〕各条件間で安静時心拍数は着用条件では70.6 ± 5.2 bpm,非着用条件では78.4 ± 6.3 bpmであり有意に着用条件で低値を認めたが,運動開始以後に2条件間で呼吸循環反応に有意な差を認めなかった.〔結語〕短時間の漸増負荷運動では,弾性ストッキング着用が呼吸循環反応に影響は及ぼさない.
  • 中越 竜馬, 武政 誠一, 柿花 宏信, 中西 亮介, 武内 孝祐
    2018 年 33 巻 2 号 p. 261-265
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕整形外科に通院している地域在住女性高齢者の生活活動量と手段的ADLおよび健康関連QOLとの関連性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕整形外科に通院する地域在住高齢者の女性27名とした.質問紙によりLSA,FAI,FES,SF-36の聞き取り調査を実施した.〔結果〕LSAはFAI,FES,SF-36と有意な相関がみられた.〔結語〕生活活動量を維持するためには,身体機能や日常生活動作能力の維持はもちろんのこと,地域活動への参加を促すことで抑うつや健康関連QOLなどの心理的健康を良好に保つことも必要であることが示唆された.
  • 小田 桂吾, 大垣 亮, 村上 憲治, 黒澤 尚, 宮川 俊平
    2018 年 33 巻 2 号 p. 267-271
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大学女子サッカー部で発生した外傷・障害(以下,傷害)の実態を調査し,その結果を傷害予防の一助とすることを目的とした.〔対象と方法〕対象はS大学女子サッカー部に2014年から2016年に所属した44名で,傷害発生率,受傷状況,傷害のタイプ,受傷部位,重症度,競技復帰までの日数を前向きに調査した.〔結果〕3シーズンの傷害発生件数138件でその内訳は外傷が80.4%、障害は19.6%で,傷害発生率は5.7/1000 phであった.下肢の傷害が全体の91.7%で,最も多い傷害は足関節捻挫であった.また試合中に起こった傷害の方が競技復帰までの日数は有意に長かった.〔結語〕傷害の予防対策として,練習前,試合前でそれぞれ予防プログラムを確立する必要性が示唆された.
  • 入野 隆仁
    2018 年 33 巻 2 号 p. 273-276
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕疼痛により肩関節可動域訓練の難渋するケースで,複数の肩関節を単独で動かして改善がみられるか評価した.〔対象と方法〕腋窩神経領域に疼痛が発生し,関節可動域改善がみられない肩関節疾患患者32名へ,肩関節の分離した運動を行った.〔結果〕訓練前後の患側屈曲角度/健側屈曲と患側外旋角度/健側外旋に有意差が認められた.患側屈曲・外旋変化率の関係について,両変数に有意な正の相関が認められた.〔結語〕複数の肩関節の動きを分離することで,難渋する肩関節疾患の改善が行える可能性が考察された.
  • 酒井 克也, 池田 由美, 山中 誠一郎, 野口 隆太郎
    2018 年 33 巻 2 号 p. 277-280
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中片麻痺患者の足関節背屈機能障害に対し,視覚誘導性自己運動錯覚(Kinesthetic illusion induced by visual stimulation:KiNvis)の即時効果を検証することを目的とした.〔対象と方法〕対象は脳卒中片麻痺患者7名とした.方法はコンピュータにて対象者の非麻痺側の足関節背屈運動を一人称視点で撮影した映像を左右反転し,麻痺側の足の上にコンピュータスクリーンを設置した.足関節背屈運動の映像を5分間観察させ,運動錯覚を生じさせた.測定項目は Visual Analog Scale(VAS)と足関節背屈自動運動角度,下肢Fugl-Meyer Assessment Scale(FMA),10 m最大歩行速度とし,KiNvis前後に測定した.〔結果〕運動錯覚が生じ,VASは平均68.8 ± 20.6 mmであった.KiNvis前後において足関節背屈自動運動角度は平均7.3 ± 5.4°から平均10.2 ± 5.8°と有意に改善した.下肢FMAは平均20.7 ± 10.2点から平均21.5 ± 9.7点と有意に改善した.10 m最大歩行速度は平均51.9 ± 26.0 m/minから平均57.4 ± 27.2 m/minと有意に改善した.〔結語〕脳卒中片麻痺患者の足関節背屈機能障害に対するKiNvisの即時効果が示された.
  • 渡邉 観世子, 谷 浩明
    2018 年 33 巻 2 号 p. 281-284
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では杖操作を指導する際に応用できる知見を得ることを目的に,歩行時の杖の使用が距離知覚にどのような影響を受けるかを明らかにした.〔対象と方法〕健常成人14名を対象に,歩行時の歩幅調整課題を行った.独立変数は杖の使用要因(あり,なし)と歩幅要因(通常,小さい歩幅,大きい歩幅)とし,目標歩幅に対する誤差の大きさと歩幅のばらつきを従属変数として要因の影響を分析した.〔結果〕目標歩幅に対する誤差の大きさは杖の使用の有無による違いを認めなかったが,歩幅のばらつきは杖を使用する条件で有意に大きかった.〔結語〕歩行時の杖の使用は,歩幅のばらつきを大きくし,歩行リズムを不安定にすると考えられた.
  • 大野 一樹, 髻谷 満, 角田 健, 山根 主信, 髙尾 聡, 大松 峻也, 川原 一馬, 千住 秀明
    2018 年 33 巻 2 号 p. 285-288
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕非結核性抗酸菌(以下,NTM)症患者の身体活動量を測定し,慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)患者と比較することで,その特徴を明らかにする.〔対象と方法〕対象は女性NTM症患者13名と男性COPD患者10名とした.1軸加速度計を用いて2週間の身体活動量を測定して平均歩数を算出し,同年代健常者の平均歩数と比較した.〔結果〕NTM症患者の平均歩数は6632 ± 2202歩/日で,9名(69%)の患者が基準値を上回った.一方,COPD患者の平均歩数は3643 ± 1770歩/日で,基準値を上回ったのは1名(10%)であった.〔結語〕NTM症患者では,COPD患者より身体活動量が有意に高い.
  • —側腹筋厚・股関節内転筋力に着目して—
    原野 達也, 二宮 省悟, 田島 慎也, 西原 翔太, 吉里 雄伸, 石塚 利光, 松山 裕
    2018 年 33 巻 2 号 p. 289-293
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ストレッチポールひめトレが,側腹筋厚と股関節内転筋力へ及ぼす影響について検証すること.〔対象と方法〕対象は健常な大学生62名とし,ストレッチポールひめトレを使用してトレーニングを行う群,トレーニングのみ行う群,何も行わない群の3群に設定.期間を3週間とし,1週間に3回のトレーニングを実施.初期と最終で側腹筋厚と股関節内転筋力を測定し,変化率を算出した.〔結果〕ストレッチポールひめトレを使用してトレーニングを行う群の股関節内転筋力に有意な増加が認められ,また,その筋力の差は女性で高い増加を示した.側腹筋厚の変化は認められなかった.〔結語〕ストレッチポールひめトレを用いた3週間トレーニングは,側腹筋厚は変化しないが,股関節内転筋力を向上させる可能性があることが示唆された.
  • 清水 貴史, 野口 翔平, 玉置 昌孝, 中道 哲朗, 鈴木 俊明
    2018 年 33 巻 2 号 p. 295-300
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕立位での一側下肢への側方体重移動における非移動側下肢の筋活動パターンと姿勢変化の関係性を検討した.〔対象と方法〕健常男性10名の10肢とした.立位より側方移動した際のビデオ画像と非移動側下肢の筋電図,足底圧中心を測定した.〔結果〕側方移動開始時の非移動側下肢において下腿踵骨角に変化が生じない群(7名),内反方向への運動が生じる群(3名)を認めた.前者では腓骨筋群,下腿三頭筋,足部内反筋群の筋活動増加を認め,後者では足部内反筋群の筋活動増加後に腓骨筋群,下腿三頭筋の筋活動増加を認めた.全例において中殿筋中部線維の筋活動増加を認めた.〔結語〕立位での側方移動開始直後に健常者においても異なる足部の運動,筋活動パターンを認めたことから,臨床場面では非移動側足部の詳細な評価の必要性が示唆された.
  • 中村 壽志, 小貫 睦巳, 山﨑 尚樹, 田中 一秀
    2018 年 33 巻 2 号 p. 301-305
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳血管疾患特有の歩行動作に対して,エンドエフェクター型歩行補助ロボット使用による変化を検証した.〔対象と方法〕対象は,発症6ヵ月以降の自立歩行可能な症例11名とした.歩行補助ロボットの補助の有無による歩行を比較した.評価項目は,歩行速度(m/min),歩行率(steps/min),歩幅(m),Physical Cost Index(beats/m)(以下,PCI),Borg Scale,心拍数変化量とした.〔結果〕歩行補助ロボットの補助なし歩行と比較して,補助があると歩幅は有意に広くなり,PCIは有意に低くなった.〔結語〕歩行補助ロボット使用によりPCIが低い結果となり,低い運動負荷量で歩行練習ができた.また,歩幅の改善が得られたため歩行能力の改善も示唆された.
  • 川口 沙織, 丸山 仁司, 久保 晃, 加藤 宗規
    2018 年 33 巻 2 号 p. 307-312
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Pusher症状を認める急性期脳卒中片麻痺患者に対し,段階的難易度調整を用いた立位練習の有効性を検討した.〔対象と方法〕対象は,急性期病棟に入院中のPusher症状を認めた脳卒中片麻痺患者10症例であり,全ての症例で高次脳機能障害を呈していた.全症例に10段階の難易度調整を立位練習に用いた.各段階と援助(介助・口頭指示+タッピング・監視),3つのオプション(三角巾,短下肢装具,膝固定装具)を0~148点で点数化した.〔結果〕全症例で練習初日から改善を認め,介入6日から26日で4段階から8段階に到達した.この間,運動機能など身体機能の変化を認めなかった.〔結語〕今回用いた立位への介入は急性期Pusher症状を認める脳卒中片麻痺患者に対し有効であることが示唆された.
  • —属性の異なる運動イメージ評価法を用いた研究—
    梅野 和也, 中村 浩一, 井元 淳, 白澤 浩太郎, 石田 猛流, 加来 謙治, 土井 康太
    2018 年 33 巻 2 号 p. 313-317
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕3種類の運動イメージ評価法とmental practice(MP)でのパフォーマンスの変化との関係を検討することとした.〔対象と方法〕健常学生20名とした.MP前後における運動課題の成績比較からMPの有効性を検討し,Movement Imagery Questionnaire-Revised Japanese Version(JMIQ-R),メンタルクロノメトリー,メンタルローテーションの3種類の評価結果とMPの効果との関係を検討した.〔結果〕MP前後の運動課題に有意な改善が認められ,メンタルクロノメトリーとパフォーマンスの変化量との間に中程度の相関関係が認められた.〔結語〕メンタルクロノメトリーで測定した運動イメージ能力が,MPの効果と関わりがある可能性が示唆された.
  • 伊藤 晃洋, 安部 泰広, 飯島 進乃, 大藤 範之, 塩見 誠, 上田 清史
    2018 年 33 巻 2 号 p. 319-322
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕地域在住高齢者の立ち上がり動作時での座位姿勢から離殿直前の体幹前傾位までにおける,脊柱アライメント・可動域の男女差を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は,地域在住高齢者47名(男性15名,女性32名)とした.測定肢位は,立ち上がり動作前の直立座位・slump座位と離殿直前の体幹前傾位の3条件とした.スパイナルマウスを用いて各条件の脊柱アライメント・可動域を計測した.〔結果〕各条件で女性が男性より仙骨傾斜角が前傾していた.直立座位と離殿直前で,女性が男性より腰椎弯曲角度が前弯していた.条件間の脊柱可動域に有意な差はなかった.〔結語〕女性は,男性に比べて各肢位で骨盤前傾していると示唆された.
  • —退院時の身体的因子による検討—
    吉田 啓志, 近藤 駿, 増田 裕里, 嶋尾 悟, 浜岡 克伺, 成冨 博章
    2018 年 33 巻 2 号 p. 323-326
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,リハビリ後自宅退院した脳卒中患者の活動範囲を屋内群と屋外群に分類し,屋外活動の可否を最も予測可能な退院時身体的因子のカットオフ値を明らかにすることとした.〔対象と方法〕自立歩行可能で自宅退院した脳卒中患者31名を対象とした.退院3ヵ月後の活動範囲をLife Space Assessment(LSA)を用いて調査した.退院時評価項目のうちLSA合計点と有意に相関する指標を抽出し,屋外活動判別に最も適したカットオフ値を求めた.〔結果〕6分間歩行距離(6MD)のカットオフ値が最も高い判別能を示し,その値は358.5 mであった.〔結語〕脳卒中患者の自宅退院後の屋外活動を維持・向上させるためには入院中の6MDにおいて350 m以上を目指す必要があることが示唆された.
  • 増川 武利, 井上 茂樹, 河村 顕治
    2018 年 33 巻 2 号 p. 327-330
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足圧分布計測システムを有するトレッドミルを用いて,足部内側縦アーチの高さの違いによる歩行動作の特徴を検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常成人26名を対象にアーチ高率の測定を行い,low arch(LA)とnormal arch(NA)の2群に分類し,歩行分析の結果を比較検討した.〔結果〕NA群に対してLA群の歩幅,重複歩距離,歩行速度,単脚支持期中の足圧中心軌跡長に有意な高値を示した.また,両脚支持期の期間に有意な低値を示した.〔結語〕内側縦アーチの低下した扁平足は歩行中の前方推進力を低下させる要因でないことが示唆された.
  • —指導者の指導助言のもと治療が行えるジョブグレードについて—
    篠原 智行, 後閑 浩之, 平石 武士, 八木 巌, 谷 哲夫
    2018 年 33 巻 2 号 p. 331-336
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕指導助言のもと治療が行えることを到達目標として開発した,職員達成度評価の内的整合性と因子構造を検証することを目的とした.〔対象と方法〕理学療法士,作業療法士,言語聴覚士合計48名を対象に,指導者が評点をつけた職員達成度評価の結果をもとに,内的整合性および探索的因子分析を行った.〔結果〕Cronbachのα係数は0.86であった.探索的因子分析の結果,因子1に説明,臨床書類作成,書類管理,組織の理解,因子2に基本的態度,接遇,良識,因子3に情報収集,安全管理,因子4にアセスメント,治療の実践のカテゴリーが含まれた.〔結語〕職員達成度評価の内的整合性は良好であり,社会人としての基本的姿勢,事務的技能,準備的臨床技能,実践的臨床技で構成され,卒後教育の視点を示唆するものと考えられた.
  • 山口 育子, 内田 学, 丸山 仁司
    2018 年 33 巻 2 号 p. 337-342
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕地域在住高齢者の呼吸筋力・呼吸機能の実態把握と,運動機能や身体組成との関係について検討した.〔対象と方法〕対象は歩行が自立した地域在住要介護高齢女性29名とした.呼吸筋力は最大吸気・呼気口腔内圧,呼吸機能は肺活量,努力性肺活量,1秒量,最大呼気流速を測定した.運動能力は握力,等尺性膝伸展筋力,30秒立ち上がり回数,5 m歩行時間,TUG,片脚立位時間,FR,6分間歩行距離を測定した.身体組成は下肢総筋量,体内総筋量,体内総筋率を測定した.〔結果〕全身筋量,筋力は年代別基準値や予測値と近似したが,呼吸筋力と運動耐容能は著明に低下していた.相関分析の結果,吸気筋力と運動耐容能には正の関連が認められた.〔結語〕高齢者の運動耐容能には呼吸筋力が関連することが示唆された.
  • 大古場 良太, 長谷川 正哉, 吉塚 久記, 本多 裕一, 江越 正次朗, 光武 翼, 浅見 豊子
    2018 年 33 巻 2 号 p. 343-346
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕知覚入力型インソール(Perceptual Stimulus Insole:以下,PSI)を用いた歩行時の初期接地位置教示が足部動態に与える影響を検証することとした.〔対象と方法〕下肢に整形外科的既往のない健常成人15名とした.模擬的なPSIとして半球シールを足底踵3点(内側,外側,後方)に貼付した3条件および突起なし条件の計4条件を設定し,各条件下歩行の初期接地背屈角度および遊脚つま先高を比較した.〔結果〕突起なし条件と比べ突起条件(外側,後方)で背屈角度およびつま先高増大を認めた.〔結語〕PSIの位置に応じた能動的な歩行制御が確認された.これは着用者が足底感覚を識別しつつ課題に適応的な動作を企画実行したことを意味しており,新たな動的姿勢制御のトレーニング手法として応用可能性が示唆された.
  • —学生による実習の到達目標の達成度に対する 自己評価と実習指導に対する評価から—
    白石 和也, 宮原 拓也, 加藤 研太郎, 高島 恵
    2018 年 33 巻 2 号 p. 347-352
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕学生による,実習の到達目標の達成度に対する自己評価と,実習指導に対する評価から,実習の到達目標の達成に影響する実習指導要因を検討することを目的とした.〔対象と方法〕理学療法学科2学年の学生44名を対象とし,臨床実習終了後にアンケート調査を実施した.アンケート内容は,到達目標の達成度と実習指導に対する評価とした.〔結果〕目標達成度を従属変数,目標達成度と相関のあった実習指導に対する評価項目を独立変数とした重回帰分析では,説明変数として「時間的ゆとり」,「ロールモデル」,「理解・尊重」,「情報提供者」が選択された.〔結語〕本研究において,実習の到達目標の達成に影響する実習指導要因を検討した.今後,因子分析,共分散構造分析にて,各変数の因果関係や相互関係を明らかにしていく必要がある.
  • 藤田 和樹, 山崎 美帆, 堀 秀昭, 小林 康孝
    2018 年 33 巻 2 号 p. 353-356
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕片麻痺者の歩数を計測するための最適な活動量計装着位置を検証すること.〔対象と方法〕対象は,脳卒中片麻痺者23例および健常成人20例とした.3軸加速度計内蔵の活動量計を両上下肢および体幹に装着し,活動量計で計測される歩数と実測歩数との誤差率を算出した.〔結果〕片麻痺群は健常群に比べ非麻痺側上肢,体幹,非麻痺側下肢の誤差率が高値を示した.健常群における装着部位間の比較では,上肢の誤差率が体幹,下肢に比べ高値を示した.片麻痺群における装着部位間の比較では,非麻痺側上肢の誤差率が麻痺側上肢,麻痺側下肢,非麻痺側下肢に比べ高値を示した.〔結語〕非麻痺側上肢は誤差率が大きいため装着部位として適さない.麻痺側下肢は,誤差率が低い健常群の下肢と差がなく,誤差を最小限に抑えられる可能性がある.
  • 岡 真一郎, 池田 拓郎, 後藤 和彦, 近藤 遥奈, 吉田 誠也, 光武 翼, 後藤 純信
    2018 年 33 巻 2 号 p. 357-360
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕右頭頂葉に対する経頭蓋直流電流刺激(tDCS)が立位の姿勢調節に与える影響を検討した.〔対象と方法〕右利きの健常若年成人10名.tDCS Cathodal刺激あるいはSham刺激は,右頭頂葉に陰極,左前頭部に陽極を設置し,1.5 mAで15分刺激した.重心動揺検査は,静止立位および頭部回旋立位を開閉眼で測定した.〔結果〕tDCS前後の比較では,静止立位開眼時の総軌跡長が71.4(33.1)cmから79.7(67.4)cmおよびY方向実効値が0.5(0.1)cmから0.7(0.2)cmに増加した.一方,頭部回旋立位では開閉眼の条件で有意差がなかった.〔結語〕右頭頂葉は,立位姿勢調節時の視空間情報処理に寄与することが示唆された.
  • —骨盤,胸郭運動と肩関節可動域に着目して—
    打越 健太, 井川 達也, 保坂 亮, 松澤 克, 綱島 脩, 鈴木 彬文, 石原 慎一
    2018 年 33 巻 2 号 p. 361-364
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕腰部脊柱管狭窄症(LSS)症例における上肢挙上動作時の腰部運動と胸郭骨盤運動および肩関節可動域の関係を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は,LSS症例19例とした.片側上肢挙上動作時の骨盤,腰部,胸郭角度と肩関節可動域を計測し,腰部角度と他の変数に加え肩関節可動域と胸郭,骨盤角度についてそれぞれ相関関係を検討した.〔結果〕腰部角度は骨盤,胸郭,肩関節屈曲,1st内旋,2nd外旋角度と,また,胸郭角度は肩関節屈曲,1st内旋,2nd外旋角度に有意な相関を認めた.〔結語〕LSS症例の肩関節屈曲,1st内旋と2nd外旋角度の改善が上肢挙上時の胸郭および腰部伸展角度変化量を減少させることが示唆された.
紹介
  • —ルーブリック評価の導入—
    岩井 信彦, 大久保 吏司, 小形 晶子, 福元 喜啓
    2018 年 33 巻 2 号 p. 365-371
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ルーブリック評価を導入した臨床実習評価表を試作し,現行の評価表との比較によりその特徴を明らかにする.〔対象と方法〕現行の評価表と新評価表での評価とアンケートを25施設の実習指導者に依頼した.評価段階の優,良,可,不可に3,2,1,0点の成績点を与え,両評価表の「適性・態度」,「知識」,「技術」の3領域の成績を比較した.[結果]21名から回答があった.a係数では一部低い係数の項目もあったが,各領域の成績点は高い相関があった.アンケートでは新評価表が採点しやすいと肯定的な回答が多かった.[結語]試作した評価表は従来の評価表と成績点に大きな差はなく,採点しやすいとの意見も多いことから,項目の検討を慎重に行いながらも,実際に使用できる可能性が示唆された.
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