2018 年 33 巻 6 号 p. 1003-1006
〔目的〕肩関節周囲炎2例に対して,ジクロフェナクナトリウムを用いたイオントフォレーシス(Iontophoresis:IP)の効果と安全性を予備的に調査すること.〔対象と方法〕罹患期間は症例Aが3ヵ月,症例Bが 1ヵ月で両例とも明らかな肩板断裂や石灰沈着を認めなかった.介入はIPと運動療法を週3回で2週間,計6回実施した.IPの適用部位は,著しい疼痛を認めた肩峰外側とした.疼痛評価はVisual Analogue Scale(VAS)と圧痛閾値を測定し, IP適用部位の発赤などの副作用の有無を確認した.〔結果〕両例ともVASと肩峰外側の圧痛はおおむね改善を認め, 副作用は認めなかった.〔結語〕適切なIP実施と運動療法によって副作用を伴うことなく疼痛が改善する可能性が示された.